見出し画像

映画『ロン 僕のポンコツ・ボット』友だちってなんだっけ?を考える。

せっかくの夏休み。
だが、我が家は夫に連休がないことや帰る郷里がどこにもないこと、私がものぐさなこと(笑)、自動車運転免許を持たないなどの理由で、外は暑いし母と子で家にこもって暮らしている。
これを最低というのか最高というのかはこどもが後で勝手に評すればいい。

せめて一本は親子で映画を観たいと思い、ディズニープラスで映画を探した。
映画はわがままな私たちの心をひとつにまとめるツールである。
娘と息子はふたりでいろいろ視聴しているので、三人共が未視聴のものを探す。

すると『ベイマックス』を思わせるロボットの顔が映った。
私たちはベイマックスが大好きだ。
日本の鈴をモチーフにしたという顔もそうだが、アジア人風の主人公で事件、友情、家族、別れなどの笑って泣いての要素が詰まっていて、観た後も想像が膨らむし、愛着が残る。

開始早々、

Ron's Gone Wrong

という原題が画面いっぱいに現れて、
「まちがったことするんや!」(ドタバタ劇!)と嬉しくなってしまった。
正しいことばかりではドラマにならない。

主人公は陰キャなので、休み時間はひとりぼっち。
私たち母子はひとには好かれるほうだが、陽キャみたいになれたことがないので、パーティーの多い文化圏ではいちいち㋛ぬよな、などと娘と話す。
ひとり一台、友だちとつながるデバイスのBボットを中学校に持参し、休み時間にも動画投稿し、いいね!をもらったり世界とつながったりしているが誰も目の前の友だちとは真の意味ではつながっていない。
そのBボットを主人公は持っていないため、自分は浮いた存在だと感じている。
そこで父親が息子に「完璧ではない」Bボットを持ってきて与えてしまう。
インターネットにつながれないバグだらけのBボットは下手なりに友だちをつくるための情報をロードするが、その行動はめちゃくちゃで主人公の生活を引っ掻き回す……っていうコメディ。

Bボットはキティちゃんのような目で、鼻はなくて、たまに笑う。
笑うことがストーリー上、重要な意味を持つ。
よくあるスマイルマークなのだが、目と口の距離が近いので幼児のほほえみのような愛らしさを感じさせる。
そして、制御され切っていない動きはインターネットに縛られない自由奔放でリアルな喜びをもたらし、現実面でトラブルを招いたりする。
次第に心がつながるような感覚をおぼえたところで、諸々の事情のせいでBボット自体を失う危機に瀕する。

娘はベイマックスの終盤では号泣したそうで(彼女は映画館で観た)、同じ失う悲しみを感じたくないと途中で自室へ行ってしまった。(「これ絶対泣くやつやん!」と言いながら)
もう中学生なので、話しの筋があらかた読めてしまったのだ。
息子は「ウィスパー(妖怪ウォッチ)の声や!」と声優を当てたりして最後まで楽しく鑑賞した。こどもたちは耳がいいのでCVをよく聴き分ける。

結果的には主人公はBボットの働きのおかげで目の前のリアルな友情を手にする。
そして、それはずっと傍にあったものだと気づく。

学校にこのようなデバイスを持ち込みOKになるのは何年後だろうね、とこどもと話した。
いま中学校では、休日の部活の遠征にもスマホを持参してはいけない。
しかしながら、こそこそカバンに隠して平日の帰り道に見ている生徒は大勢いる。娘はビビりなのでやっていない。
適切な管理を家庭や学校でおしえるのはよい機会だと私は考えているが、学校教育と教員のカリキュラムは一向に更新されない。
リアルないじめなどの問題にすら十分な対応ができていないから、ネットを使用することで起きると思われるさらなる負担を避けたいのだろう。

映画の描写で見られた、自己顕示、それに伴う歯止めのきかない情報共有、その世界への過度な執着、依存。
Bボット(我々のスマホ)の開発者は世界を破壊する目的でひとびとにリリースしたわけじゃないのだが、人間が馬鹿すぎるため、自制心を放棄し、悪用し、悪用されるほうへ突き進む。
人間はもっと賢く生きなければいけない。
一昔前の映画では、一民間企業が個人情報を把握してはいけない設定であったのに瞬く間にそれが金を産む資産になり、「うっかり流出」という建前で取引されるように変わってしまった。
再三、注意を促されていたのに根拠なく大丈夫な気がして、晒してしまっている。

私たちは友だちがほしかったのか?
それはほんとうに友だちか?
そのひとたちは、大変な目に遭ったとき助けてくれたり、傷ついたら心配してくれるのか?
そもそもそんなにたくさん友だちが必要なのか?


映画の主人公は、6歳の頃、近所に住んでいて誕生日パーティーに来てくれた幼馴染との友情を取り戻す。

友だちってそれくらいミニマルなものじゃないのかな。

自分のことをいつでもすべて明かして、なんでも理解してもらう必要なんてない。
イケてない自分でも、いいんじゃない、って言って許容してくれるひと。
そういうひとが数人いたらいいのに、と思った。


覗いてくれたあなた、ありがとう。

不定期更新します。
質問にはお答えしかねます。

また私の12ハウスに遊びにきてくださいね。








いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集