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【見えない声を御仏にするとは】 特別展 「空也上人と六波羅蜜寺」

上野の国立博物館にある庭園の桜からは、桜餅の香りがする。上等の桜餅が放つ塩漬けの桜の香りが、梢から漂ってくるのだ。

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そういう種類なのかも知れない。

強いのは二箇所。出口側の一本の木。もう一箇所は、奥にある小さい茶室付近の木。

桜の塩漬けを使った和菓子は、季節を舌でも愛でようという試みから生まれたものだと思っていたけれど、本当は、自然の桜の香りをそのまんま食でも再現しようとしたのだ。

そういう順番で生まれたのが桜餅であり、桜の炊き込みご飯であり、桜のしんじょ碗なのだ。

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桜池。

ここにくると、いつもそう思う。

鼻がさほど良くない私でもそう感じるのだから、鼻が良い人にはこの桜餅香はもっと強く感じられるはずだ。

さて、その国立博物館でのお目当ては、こちら。

1部屋のみの展示だけれど、いつまででも眺めていられた。

あの人たち、人間がいなくなったら絶対に立ち上がって庭園の夜桜見物に出て行ってるに違いない

そうでなければ、あんな肉体感、木彫りで出せるわけがない。

地蔵菩薩立像の手の肉球の弾力感とか、

空也上人立像の鎖骨の浮き出し方(リンパマッサージしたくなる)、足の大地を踏み締める強さ(泥を濯いで差し上げたくなる)、お念仏を唱えながらじっと見送りたくなる背中とか、

地蔵菩薩坐像の、右胸辺りの袈裟の「てろん」具合とか。

いや、あなたたち絶対生きてるでしょ... (本日2回目)

特に好きだったのは、地蔵菩薩立像でした。人も少なかった為、至近距離でじっとそのお顔を見上げていると、地蔵菩薩さんの方も、薄目を開いてじっとこちらを見つめておられる。

凝視、まではいかない。でも、何かを問いかける瞳。

さあ、また春が来ましたね。あなたはどうされますか?

突きつけるような鋭さはない。だけれども、きちんと自分と対峙なさい、と問われているような眼から、なかなか眼を逸らすことができなかった。

お念仏を唱えることは、形のない声を用いて仏を生じさせること。それを表現している一体なのだ、と改めて実感する。

やわらかな喝を入れられた後は、同じ敷地の法隆寺宝物館へ。

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この佇まい、好き。こんなに綺麗なのに、敷地内の端っこにあるからか、人が殆どいない!なんてこったい。

こちらの金銅仏は小ぶりな方々。

奥の方にいらした観音菩薩立像の端っこの方が好きでした。なよやかで、お優しくて。

思いかけず、仏像三昧となった休日でした。

庭園はまだしばらく開放されています。GWの新緑の頃もとっても気持ちがいいのでオススメ。

前は移動コーヒー屋さんも登場していたけれど、昨日はいなかった。コロナでやらなくなってしまったのかな。昨日は閉館間近でいなかったのかも知れないしな。そうだといいな。

明日も良い日に。









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いしまるゆき
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