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【ガチャとは】 舞台 「球体の球体」
決めずとも良いじゃないか。
世界は決まっていないんだから
https://www.umegei.com/kyutai-no-kyutai/
劇場に入ると「????の作品を展示しております」的な場内アナウンスが流れている。ちゃんと聞き取れないまま、席につく。落ち着いてよく周りを見てみると、何やら舞台に上がって「美術作品」を鑑賞できるらしい。
そう、本作の舞台である「美術館」たる(シアタートラムの)舞台に上がり、そこに展示されている本作のモチーフである「作品」を間近で鑑賞することができるのだ。
天才か
展示されているのは、「スフィアオブスフィア」という作品。
黒い球体入りのガチャガチャマシーンが縦に積んであるような作品だ。
松本の草間彌生美術館で鑑賞した、上を見ても下を見ても、ポールが続いている作品を思い出した。
シアタートラムの舞台に上がり、繁々と鑑賞。ここでこれから、どんな物語が紡がれていくのだろう。期待は膨らむ一方だ。
そこからの、幕開け。舞台に上がるのは、一人のダンサー。かなり長い間、一言もセリフがない。
そこから、このダンサーがインスタレーション作品のアーティスト、モトジマコウジであること、現在は、ここ、央楼国の大統領であることが判明する。しかも、今我々に語りかけている大統領が、ホログラムであることも。
そこからの、怒涛の展開。
こんなに「パイプカット」が連呼されるのを初めて聞いたけれど、それが示唆することのウェットさと、そのウェットさをドライにする語り口に慄然とした。
たくさん子供を作ったけど、たくさん愛してはくれませんでした
そう、これは親ガチャの話だったのだ。だから、ガチャガチャが積み上がっていたのだ。だからパイプカットだったのだ。
親ガチャで思い出すのは、やはり自分の親のことだ。
長い間、私は父とソリが合わなかった。
でも、父は私を確かに愛してくれていた。今でも愛してくれていると思う。
その愛し方が、私が理想とする父親としての愛し方とは違っただけだ。
だとしたら、それを理由に父を否定するのは、お門違いだ。父は私の思うような父になるために生まれてきたのではない。父は、父としての生を歩むために生まれてきたのだし、その父として、私を愛してくれたのだから。
人生で、表現する
私は欲張りだ。人生を使って人体実験をしているような感覚がある。この身体でできる限りのことを体験したい。感じたい。何のために?それは分からない。死ぬ間際になって初めて悟るのかも知れない。全てが茶番だったと。
ダンサーとは、魂のレベルで踊らずにはいられない人種なのだと思っている。そのDNAが父親から受け継いだものだと知らなくても、踊りたいという衝動は沸々と湧き上がってしまうものなのだろう。遺伝子の不思議。
これらの物語を可能にする、「ホログラム」役の相島さん。一時停止したり、巻き戻したり、先送りしたりを続ける中でのストップアンドゴーが天才すぎる。あ、美術館でよく見るスタンションを使った「流血」も。
この物語を、たった4人の役者が紡いでいる。
衝撃だった。もう一回見たいのだけれど… 締切ががが。
明日も良い日に。
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