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331/366 薄紫の催花雨

10月の雨とえば秋の長雨はたまた台風。だがそれは北半球のお話だ。

メルボルンの10月の雨は、蕾の背中を押す恵の雨。

かの地で10月末から薄紫の花を咲かせ始めるジャカランダという木がある。

並木の花びらがひらひらと舞い散り始めると、路面が薄紫のカーペットと化す。北海道のラベンダー畑のようだ。富良野、行ったことないけれど。しかもかの街の姉妹都市は大阪市だけど。

往来で踏み潰された銀杏臭漂う帰り道で思う。

今頃メルボルンの友人は、薄紫の花霞を歩いて帰る途中であろうかと。

これから冬に向かう中、白い息を吐きながらコートの前を掻き合わせる私も、これから夏へ向かい、コートを徐々に脱いでいく彼女も、同じ地球上に生きている。

次会えるのは、いつだろう。

「銀杏臭いから晩秋はそっちに行くね」なんて軽口を叩いたことを思い出した。それを思い出させてくれたことに感謝したくなるほど、この臭さが今年は妙に愛おしい。


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