Bluetoothと世界遺産
世界遺産検定1級を目指して勉強しているみずたまです。
2024年8月現在、世界には1223件の世界遺産があります。
1級は全世界遺産が試験範囲なのですが、これだけたくさんあると時々「面白いなあ」とか「へえ~!」などと思う遺産に出会います。
今日はデジタル機器を無線で繋ぐ「Bluetooth」と世界遺産についてご紹介したいと思います。よかったらしばしおつきあいくださいね。
※
さてさて本日ご紹介したい世界遺産はデンマークの
イェリング墳墓、ルーン石碑と教会
です。
ルーン!
もうこの言葉だけで心ときめきます。
ルーン文字は中央ヨーロッパからスカンジナビアにかけて住んでいたゲルマン人が使っていた古い文字です。
現代では占いなどに使われていて「神秘的なもの」のように感じますが、古い時代には日常的に使われていたようです。
とはいえ呪術などにも盛んに使われていたようで、それが現在のルーン占いなどに繋がっているのでしょうか。
そんな神秘的なルーン文字が刻まれた石碑が、このデンマークのイェリングには2つあります。
一つ目は10世紀デンマークを治めていたゴーム王のもの。
石碑にはルーン文字で
と刻まれているそうです。
そしてもう一つの石碑。
こちらはゴーム王の息子、ハーラル1世が建てたもので、「イェリング獣」と呼ばれる獣や貼り付けにされたキリストが彫られており、10世紀当時は彩色されていたと考えられています。
Wikipediaに当時の彩色を復元したものの写真がありますが、なんと鮮やか!
そして石碑には同じくルーン文字で、
ハーラル1世は無血で東西デンマークを統一し、ノルウェーを支配下に置いた王。
彼はキリスト教に改宗し、国内をキリスト教化したので、このような文が石碑に刻まれたのですね。
伝説によると、ハーラル1世はキリスト教に改宗する際、大きな鉄の塊を火で熱し、
「おまえの信仰が本物ならこの鉄の塊をつかんでも火傷をしないはずだ!」
と司祭ポッポにこの鉄の塊を"素手で"掴むように命じたそうです。
ポッポは
「キリストのご加護を証明してみせます。」
と言って熱い鉄の塊をつかんだところ、火傷一つ負わなかったそうで、それからハーラル1世はキリスト教を信仰するようになったということです。
あ、熱そう・・・
まあ、伝説ですからね💦
さてさてこのハーラル1世、実は別名があります。
それが
青歯王
です。
いやいや、歯が青いってどういうことよ?
ハテナがいっぱいですが、その理由として、
歯の神経が死んでいて歯が青く見えたから
(全くもって不名誉なあだ名…)
とか
デンマーク語「Blå」(英語でblue)の「浅黒い」に「首領、族長」を意味する"Thegn"が転訛して "tan" となり、「浅黒い首領」を意味するというもの、
そして当時高価だった青色の服を着ていたからというものまで諸説ありますが、歯の神経が死んで青く見えたから青歯王なんて、ちょっとひどすぎですよねえ。
しかし、この「青歯王」こそ現在私たちが携帯とイヤホンをつないだり、パソコンとマウスをつないだりする時に恩恵を預かる「Bluetooth」の由来なのです。
そう、私たちが当たり前のように使っている"ワイヤレス"ですが、元々は異なる製品、異なる業界での無線通信は統一の規格がなく乱立状態でした。
そこでインテル、ノキア、エリクソン、IBM、東芝が中心となって無線通信の規格を統一し、今や私たちは世界中のどの製品の携帯でもイヤホンを無線で繋ぐことが出来るようになりました。
そのことから、この無線通信の乱立状態を統一したことを、デンマークとノルウェーを無血で統合したハーラル1世(青歯王)に見立てて
青歯=Bluetooth
と呼ぶことにしたのです。
そしてBluetoothのロゴはなんと前述のイェリングの世界遺産にあったあの「ルーン文字」から出来ています。
Harald Blåtand(ハーラル青歯王)の名前の頭文字「H」と「B」をルーン文字で組み合わせて示したものなのです。
はい、ここで携帯を確認してみてください!
Bluetoothのマーク、ルーン文字に見えてきましたか?
メガネを左に90度回転したような文字ですよね!
Bluetoothという面白い名前にも関わらず、全く気にも留めずに何気なく毎日恩恵にあやかっていた私ですが、世界遺産の勉強というひょんなことから由来を知り、得した気分になりました。
ハーラル1世もまさかこの時代に自分のあだ名を世界中の人が知るキーワードになるとは思ってもみなかったでしょうね。
そしてBluetoothという名前をつけた方のセンスのよさ!
私だったらもし青歯王を知っていたとしてもこんな名前は絶対に思い付かないなあ。
などと勉強しながら思ったしだいでした。
さてさていかがでしたでしょうか?
これを読んだ皆さんが明日からBluetooth使う時、思い出してちょっと楽しい気持ちになってくれたら嬉しいです🥰
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