今、絵本ではじめるポジティブな性教育
園での集団生活がはじまる、ひとりで通学する、など、春は子どもたちの新生活がはじまる季節です。
子ども自身が安心して安全に過ごすために、そしておともだちなど周囲の人とよい関係を築いていくために、親子で「性教育」をはじめませんか?
今回ご紹介するのは、産婦人科医の遠見才希子さんがおくる「性とからだの絵本」シリーズです。
産婦人科医・遠見才希子さんが考える「性教育」
産婦人科医の遠見才希子(えんみ さきこ)さんは、学生時代から性教育の活動に携わり、これまで1,000校以上の学校で講演を行ってきました。自身の経験を語り中高生の声を直接聞く中で、これまでの日本の性教育が十分でないことを痛感したといいます。
その後、親となりわが子と向き合ったとき、幼いうちから「プライベートパーツ」などを知り、自分の体を大切にすること、自分や相手の気持ちを尊重することについて、きちんと伝える重要性を感じ、絵本の創作がはじまりました。
4・5歳~『うみとりくの からだのはなし』(絵・佐々木一澄)
ふたごのうみとりくは、そっくりだけど、ぜんぜんちがう。
おたがいの体を大切にすること、体をさわるときには「同意」が必要なこと、そして「プライベートパーツ」について、いっしょに考えよう。
自分の体は、だれともちがう自分だけのかけがえのないもの。
自分の体にだれがどんなふうにさわるかは、自分が決める=「からだの権利」
「いやだ」「いいよ」の気持ちを相手に伝える、そして相手の気持ちを聞く=「同意」
おたがいを大切にするために知っておきたいポイントを丁寧に伝えます。
自分の体のとくに大切なところ=「プライベートパーツ」について知ることは、自分を守る第一歩です。
「自分のプライベートパーツをさわるのは自分だけ」
「だれかのプライベートパーツをかってに見たりさわったりしない」
「プライベートパーツは写真や動画にとらない」
など、具体的に示します。
『うみとりくの からだのはなし』へ寄せられた声
●からだに対して感じている「モヤモヤ」は、大人になってもみんな違うもの。だからこそ、家庭の中での「性教育」はとても難しく感じてしまうのです。この絵本では、その違いを認めあうところから始まり、デリケートな性の話にいたるまでを、とても丁寧にわかりやすく進めてくれます。
「いやだ」「やめて」って いっていいんだよ。
「いやだ」って いえなくても にげられなくても ぜんぜん わるくないんだよ。
選ばれた優しい言葉の一つ一つに込められているのは、切実な問題。そして、どれも本当のこと。だからこそ、読めばそのまま子どもたちに伝わるはずだと確信できるのです。(絵本ナビ編集長 磯崎園子様)
●この本はやさしい語り口で性とからだのことをとことんわかりやすく、どこまでもていねいに私たちに届けてくれます。
子供はもちろん大人にもぜひ手に取って欲しいのです。
「はずかしさ」をいいわけに、こんなにも大切なことを語らずにきた時代を終わらせるために。
(紀伊國屋書店横浜店 花田優子様)
●「性」をテーマとして「互いの体を大切にする、相手の気持ちを聞き自分の気持ちを伝える、誰もがかけがえのない存在だと知る」ということの大切さが描かれています。自分の心や体を意識し始める幼児期の子どもたちに出会って欲しい1冊です。パラパラっと眺めてみる、「どういうこと?」「どう思う?」と親子で語り合う、そんな時間の中でじんわりと伝わってくることを大事にして欲しいと思います。
(文京区立お茶の水女子大学こども園元園長 宮里暁美様)
●父親としては、娘が心配でついてまわりたい気持ちと、自立心を大切にしてあげたいジレンマがあったのですが、この本を読んで、子どもが「自分で決める」気持ちをもっと尊重すべきだときづかされました。「自分の気持ちを大切にしていい」「相手の気持ちをきこう」というのは、人見知りの娘が人間関係の距離感をつかむのに、とてもよいメッセージでした。(5歳のお子さんのお父さん)
●子どもに、自分のからだや心の大切さを教えることが性教育の第一歩なんだと知り、これまで感じていた性教育へのハードルが低くなりました。また、子どもに当たり前にスキンシップをしていましたが、ボディタッチの感じ方は人それぞれ。わが子に対しても見直すきっかけになりました。
(8歳と5歳のきょうだいのお母さん)
●長年養護教諭を務めてきた中で、性に関する教育は学校でも勿論必要ですが、家庭での教育もとても必要だと思っています。何とかしたい、という保護者の方の相談を受けるとき、本を薦めることがあります。今、必要な大事なことを子どもにも大人にも伝える、とてもよい本だと思いました。みんな自分が大事、自分以外の人もみんなが大事な自分だから、一人一人を大切にしよう! と常に呼びかけてきた指導において、教材としても心強い味方ができた思いです。(小学校 養護教諭)
●小学校3年生の娘の母親です。今の小学生は、性の危険が身近にあるので、自分の心と身体をいかに守るかとても大切だと感じています。この絵本を読み終わったあと、娘は「みんなちがっていていいって分かっていたけど、絵本で読むとやっぱり嬉しいね」と言っていました。可愛らしい絵とともに、自分を大切にしたくなるメッセージがたくさんあって、少しお姉さんになった今でも何度も読んであげたいな、と思います。(9歳のお子さんのお母さん)
小学校低学年~『あかちゃんが うまれるまで』(絵・相野谷由起)
おかあさんのおなかにあかちゃんがきたんだって!
でも、どうやって?
「ぼく」の目を通して、生命が芽ばえ、育ち、誕生するまでの過程によりそいます。帝王切開や不妊治療なども紹介。
季節がめぐる中で育まれていく命の重み、尊さが美しくあたたかい絵とともに描かれます。
妊娠、性交と受精、そして出産を、読み聞かせやすい言葉で、やさしく丁寧に伝えます。
小学校低学年~『おとなになるっていうこと』(絵・和歌山静子)
せいりってなんだろう?
おとこのこはないちゃだめ?
やがて思春期に起こる心と体の変化、そして性の多様性について知り、ちがいを認めあうことの大切さを、きょうだいの成長を通して伝えます。
月経・射精などこれから起こる体の変化について、両親とのコミュニケーションのなかで考えます。
さらにトランスジェンダーであるお母さんの友人との対話から、それぞれがみな、ちがった心と体をもった存在であることを知っていきます。
ちがいを認めあい、たがいを大切にするために。
体の自己決定と同意、プライベートパーツ、生命の誕生、第二次性徴、そして性の多様性まで。
今、子どもたちに伝えたい性教育がぎゅっとつまった絵本シリーズです。
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