<連載③>土の力、根っこの力――『14ひきのやまいも』
おかげさまで今年40年という節目をむかえる「14ひきのシリーズ」。
毎月1作ずつご紹介する連載企画、第3回です。
『14ひきのひっこし』『14ひきのあさごはん』刊行の翌年、1984年に『14ひきのやまいも』が出版されました。
こちらの絵本は、秋の森で、14ひきが力をあわせて大きな大きなやまいもをほるおはなし。
丹念に描きこまれた美しい風景、おいもほりの楽しさが画面いっぱいに広がります。
この作品でいわむらかずおさんは、「土の力、植物の力、根っこの力――生命を描きたかった」と語っています。
いわむらかずおさんご自身、やまいもでつくるとろろが大好きなんだそう。
戦後、疎開先から東京へ戻りふたたび家族で暮らせるようになったころ、「麦とろ」がごちそうだった、といわむらさん。
お父さんがとろろをするときに、すりばちをおさえる手伝いをしたことをよく憶えていると、話してくださいました。
やまいもをもちかえった14ひき。
家族みんなで食事を準備する姿も描かれています。
ほうちょう トントン、
せんぎり トントン。
おなべ クツクツ、
むかご クツクツ。
すりこぎ ゴリゴリ……
「絵で表現する絵本作家になりたいと考えていた」といういわむらさんですが、「トントン」「ゴリゴリ」などの音や言葉があることでリズムがうまれ、場面が豊かになる、と感じているそうです。
声に出して読んでみると、台所のにぎやかさや、14ひきがはたらく様子がよりいきいきと伝わってきますね。
次回は、初めて「とっくんトラック」が登場するあの作品です。
どうぞお楽しみに!
(いわむらかずお・さく)
前回までの記事はこちら。
(広告宣伝担当・はな)
私はシリーズの中でこの『14ひきのやまいも』が大好きです。やまいもほりが得意な祖父、おいしいとろろをつくってくれる祖母と重ねながら、この絵本をくりかえし読みました。やまいもをすっているときに感じる土の香りが、画面から伝わってくるようです。
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