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「平和な世の中にしようねえ…」子を思う親の心が胸にせまる『伸ちゃんのさんりんしゃ』


8月6日は広島平和記念日です。
78年前、広島に原爆が投下され、3日後の8月9日には、長崎に投下されました。犠牲となった全ての方々のご冥福を心よりお祈りいたします。


今日は、広島平和記念資料館に保管されている、1台の三輪車にまつわる実話をもとにした絵本をご紹介します。


終戦から40年の年、さびた1台の三輪車が広島平和記念資料館に新たに展示されることになりました。
三輪車を寄贈した信男さんが原爆で亡くなった長男の伸一くんについて、息子や孫たちにはじめて話すことにしました。

3歳の伸一くんは、絵本でみた三輪車にあこがれていて、自分もあそんでみたくてたまりません。
ところが、当時はおもちゃのない時代で、買ってあげようにも、お店には食べ物さえありません。

水兵として出征するという親戚のおじさんから、伸一くんはお古の三輪車をもらいます。




伸一くんが喜んで三輪車で遊んでいた8月6日の朝、ピカッ! あたりがいっぺんにまっしろになって……。

ハンドルをにぎったまま「ぼくのさんりん…」とつぶやいた伸一くんの手は、その夜冷たくなってしまいました。


伸一くんを三輪車といっしょに庭に埋め、おじぞうさんを置いて供養した信男さんでしたが、40年がたち、家を建てかえる時、伸一くんの骨をお墓にうつすことを決意します。

掘り起こすと、埋めたことをわすれていた三輪車といっしょに、小さな白い骨がでてきて、知らず知らずのうちに涙が流れました。

「こんなことが あっちゃあ いけんよね。」
「三輪車でおもいきりあそべる世の中、平和な世の中にしようねえ。」
孫たちにむけた、信男さんのこんな言葉で物語は終わります。



体験した方が年々少なくなっている現代において、子どもたちの心に戦争や平和について伝えていくことも、今を生きる私たち大人の大切な責任です。

子どもを思う信男さんの心、平和を願う切なる思いが胸にせまる絵本です。
親子でともに読み、ともに考えてみてはいかがでしょうか。

40ページ/4・5歳から(児玉辰春 作/おぼまこと 絵)
https://www.doshinsha.co.jp/search/info.php?isbn=9784494008544


広島平和記念資料館の以下のページで、この絵本の題材となった三輪車について紹介されています。

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