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算命学余話 #U18「中殺生まれと子供の教育」/バックナンバー

 前回の余話#U17では「持って生まれた宿命は生涯変えられないが、生まれた後の生き方次第で欠点は補える」という点を強調しました。
 いくら宿命が優れていても、教育もされず努力もしなければ運勢は上がりません。稀に大した努力もしないで幸運をつかむ人もいますが、それは余程特殊な宿命の持ち主か、さもなければ親や祖父母に大変努力をして財を成すなり人格を上げたなりした人がいて、その人の陰徳を子供が有難くも引きずっているという事態に過ぎません。親が立派な人間だとその子供もさぞかし、という評価になるのは当然です。親が裕福なら当然子供だって小遣いに不自由しないでしょう。そしてそうした親の威光は親が亡くなるとせいぜい孫の代くらいまでしか続きません。凋落したくなければ本人が自助努力して開運するほかありません。

 その一方で、世間では立派な親に限って放蕩息子やドラ娘が育つこともしばしばです。こうしたケースは、一つにはその親が世間で思われているほど「人間として立派」ではなく、単に金持ち(禄)とか有名人(官)とかいうだけの話で教育者(印)としては失格だったということもありますが、もう一つには、その親は本当に立派であったがそれは人一人の器量を超えたもので、その超えた部分は実は子供の運勢から奪ったものであり、だから親に奪われた子供は運勢や人格を落とした、という風に算命学では考えております。

 ちょっと残酷に聞こえるかもしれませんが、そもそも親子関係とはそうしたものです。通常の家庭では、夫婦は子供の養育のために自分の時間や稼ぎを注ぎ込むわけですから、立派な「犠牲」となっているわけです。しかし世の親御さんはそれを犠牲だとは思わない。これが愛情というものだと納得しているからであり、元より人間の子供は成人するまでに年月が掛かるので、自活できる年頃になるまで余力のある大人が支援するのは当然だと考えているからです。この「自らの犠牲を厭わない」親の姿を、人は尊いと感じるのです。
(そういう意味で、大成功した親というのは我が子の分の運勢をぶん捕っている可能性が高いです。有名人を見て下さい。いい例が沢山あります。なお、「子供の運勢をぶん獲る親」の最大の現象は「子が生まれない」ことであります。)

 我が子のための犠牲を厭わぬ親の姿に感動した息子や娘は、大人になったら親孝行したいと思うでしょう。そうかと思えばこれだけ献身してもらったのに全然感謝しないという子供もいるでしょう。道義的には後者は非難されますが、運勢的にそれが正しくないとは言い切れません。一方、親の方でも「自らの犠牲を厭わない」親ばかりではありません。子供のために自分が我慢している状態を苦々しく思い、子供が成人した暁にはたっぷり恩返ししてもらうつもりという卑しい親もいるでしょう。
 こうした価値観や心情の違いもまた、宿命に出てしまう先天的な原因と、成育・生き方が築き上げる後天的な原因とがあります。

 算命学の考え方を整理すると、世間一般の道徳や常識というものは(国や地域によって若干異なるものの)社会のスタンダードを形作っているという認識であり、その道徳が8、9割がた世間にまかり通っているなら社会は「概ね正常な平和時」、通用しなくなっているなら「異常な時代・動乱期」と考えています。

 算命学は陰陽二元論なので、平和があれば裏側には当然動乱があり、戦争もまた否定しておりません。ただし、戦争が日常化すると生命・繁殖を司る火性の働きが著しく脅かされるため、火性と相生関係にある木性(幸福)と土性(財産)も共倒れとなり、社会は貧困と不条理のまかり通るデススパイラルに陥るのです。
 火性の衰退で独り勝ちするのは相剋関係にある金性(名誉)です。名誉で飯は食えません。こうして飢餓が行き着くところまでいくと人間は戦う意欲も体力もなくなって戦争をやめます。平和が復活し、やっぱり平和がいいね、食べられて、という結論に達します。少なくとも戦争で飢えた世代が入れ替わるまでそういう価値観が続きます。これが概ね8、9割の世情を占めているというわけです。算命学は五行論でもあるので、五行が世界を等分すれば、金性が世界を占める割合は約2割というわけです。

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