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「リクルタAI」開発の裏話 - 人事がつくる、人事のためのAIサービス
こんにちは!株式会社Algomatic Works COOの高橋と申します!
本日プレスリリースを出させていただいたのですが、HR×生成AI領域のスタートアップの株式会社Algomatic Worksは、採用を支援するAI人材リクルーター『リクルタAI』を発表しました。その第一弾として、書類選考のサポート機能である『リクルタAI 書類選考』を提供開始しています。
こちらの記事では『リクルタAI』サービス開発の経緯やサービス概要、今後目指す世界観について紹介させていただきます。
【この記事には何が書いてある?】
・なぜ「採用×生成AI」なのか?
・AI人材リクルーター『リクルタAI』シリーズ
・書類選考の"負のループ"を解消する『リクルタAI 書類選考』
・(おまけ)デザインに込めた思想
▼2025/01/30追記
第2弾なるサービスをリリースしました!
▼以下のWEBサイトからお問い合わせいただけますので、ご関心がある企業様はぜひご連絡ください!
1. なぜ「採用×AI」領域なのか?
Algomatic Worksは、HR×生成AI領域で連続的にプロダクトを提供するスタートアップです。しかし、「HR」と一口にいっても、その領域は幅広く、「採用」「人材育成・研修」「人事制度」「労務」など非常に多岐にわたります。
そんな中で、私たちが最初に「採用」領域を選んだ理由はとてもシンプルです。人事部門内での忙しい業務として、約8割が「人材採用」を挙げているように、特に忙しさや負担感につながっているのが採用業務だからです。
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私が改めて書くまでもなく、日本は少子高齢化による労働人口の減少を背景に人材不足が深刻化しています。中途採用において必要な人数を採用できなかった企業は約6割とも言われており、どの会社にとっても採用難は経営課題の大きなひとつであると言えます。
そして人材獲得競争が激しくなっていること、採用手法が複雑化していることで、結果として人事・採用担当者への業務負荷が増加しています。
採用担当者の方々へインタビューを行うと「人海戦術で足元の採用活動を行っており、本質的な活動に時間を割けていない」といった声も多く聞こえてきました。
Algomatic Worksは「人事のためのAIは、人事がつくる」をスローガンにしているHR Techカンパニーです。こうした人事担当者の方々の声を反映し、採用支援AIの『リクルタAI』を開発することに決めました。
2. 採用担当者に伴走する『リクルタAI』シリーズ
『リクルタAI』シリーズは、採用業務のサポートに特化したAIエージェント、さしずめAI人材リクルーターです。
求人票作成・人材募集からはじまり、採用候補者との日程調整・面談サポートから内定後のオンボーディングまで、採用に関わるあらゆるプロセスを各社専用のAI人材リクルーターが支援します。
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さきほど記載したように「人海戦術で足元の採用活動を行っており、本質的な活動に時間を割けていない」といった悩みを抱えるHRパーソンの方は非常に多いです。そこで、AI人材リクルーターがルーチンワークや業務をサポートすることで
面談・面接などの候補者と向き合う仕事
候補者体験(Candidate Experience)の向上
採用業務に関する意思決定
といった本質的な仕事に人事担当者が向き合えるようにすることがサービスの目的です。
実際に、当社の採用活動でもAI人材リクルーターが活躍しています。あたかもリモートーワーカーに仕事を依頼するような感覚で、AI人材リクルーターと協働できるプロダクトを目指しています。
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『リクルタAI』ではAI人材リクルーターに様々なスキルを装備していく計画で、『求人票作成』や『面接コパイロット』などの機能群を想定しています。
そしてその第一弾が本日リリースした『リクルタAI 書類選考』です。
3. 『リクルタAI 書類選考』とは
『リクルタAI 書類選考』は一言でいうと、AI人材リクルーターが書類選考をサポートする機能です。
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人間による書類選考の前に、各社専属のAI人材リクルーターが求人内容と求職者の「マッチ度評価」を行うことで、採用担当者の負担を軽減しながら、候補者が公正に評価される採用プロセスを目指しています。
3-1. たったの「7.4秒」
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採用にまつわる「7.4秒」という数字。
突然ですが、これが一体何の数字かイメージはつきますか?
答えは「採用担当者が履歴書の"スクリーニング"にかけている時間」です。
米国で求人検索エンジンを提供しているLadders社の研究によれば、採用担当者が7.4秒で履歴書の内容を「スキャン」し、自社の採用要件とマッチする場合にはさらに詳しく内容を読み込み、おおよそ60秒以内に応募者について判断を行うとのこと。
7.4秒の「スキャン」の時点では「候補者の名前」「学歴」「前職の社名」「特定のスキルを示すキーワード」といった特定の情報のみが注目される傾向にあるようです。
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国外かつ特殊な条件下の実験ですので、そのまま日本国内に当てはめられるデータではありません。実際に私の周りには、丁寧にお一人お一人の履歴書を読み込んでいる採用担当者の方が多くいらっしゃいます。
とはいえ、頑張って書いた履歴書が、もしかしたら7.4秒しか読まれていないのかもしれない…と考えると、採用候補者の気持ちとしてはどこか少しモヤモヤしていまいます。
3-2. 採用現場で起きている「負のループ」
ここで強調したいのは、履歴書のスクリーニングが7.4秒で終わってしまうのは決して採用担当者の怠慢ではない、ということです。
むしろ、7.4秒しか時間をかけられないという表現が、実態に近いと考えます。
大企業の中途採用現場では、年間数万人以上の候補者から応募を受けつけており、毎日何百通もの書類に目を通す必要があります。
また、新卒採用ではエントリー受付期間が限られていることもあり、数千から数万の応募書類が短期間に殺到します。「この1週間で数百人の応募書類にすべて目を通さなくては…」という状況で、エナジードリンクを飲みながら、夜なべして書類をチェックした採用担当者の方も多いのではないでしょうか。
就職活動や転職活動の構造的な"負"が「7.4秒」の背景にあると考えられます。
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さらに、人事組織は一般にコストセンターに位置づけられてしまうことも多く「忙しいからと言えどなかなか増員できない」という声も聞こえてきます。膨大な業務を少数精鋭のメンバーでこなさなくてはいけない実情があるのです。
こういった構造的な課題が、採用候補者の「書類を応募して1週間たったけど、音沙汰がない…」「応募後、しばらくしてから書類合格の通知が来た…本当はこの会社に入社したかったけど、もう他社に決めてしまった…」という悩みに連鎖し、負のループに繋がっています。
3-3. プロダクトに込めた思い
何度も書いているように、人事担当者のみなさんは膨大な業務量をハードワークでこなしています。ゆえに、限られた時間内で応募者一人ひとりのスキルや適性を十分に精査することが難しくなっており、適切な採用活動が困難になるケースも少なくありません。
そこで『リクルタAI』では、大規模言語モデル(LLM)や、従来の機械学習を組み合わせたAIエンジンにより、求人票に記載されたスキル要件や職務内容と応募者の履歴書・職務経歴書とを分析し、マッチ度判定を行うことで、採用担当者の意思決定を支援します(AIが意思決定をするわけではなく、あくまで人間の"サポート"が目的です)。
これまでの先行提供期間で、通算6万人以上のキャリアデータを匿名化したうえで分析しており、このデータとノウハウを活用することで、企業ごとの採用状況に応じたマッチ度判定を実現しています。
先行導入した企業様からは「リクルタAI上でマッチ度が高い候補者様は、面接後の合格率も通常に比べて10%以上高い」との嬉しいフィードバックも頂いています。
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私たちが最終的に目指すのは「AIの力で、企業だけでなく採用候補者も幸せになる世界」です。
AIが採用業務をサポートすることで、性別や見た目、年齢、出身地といったアンコンシャスバイアスを排除したうえで、スキル・適正・経験のみで採用候補者が適切に評価されること
AI人材リクルーターが求人内容と採用候補者のマッチ度評価を行い、スピーディな選考をサポートすることで、適切なフィードバックを採用候補者にスピーディに届け、選考期間の短縮が実現すること
こういった世界をつくることが『リクルタAI』開発チームの願いです。
📞お気軽にお問い合わせください!
以下のWEBサイトからお問い合わせいただけますので、AI人材リクルーター『リクルタ』の利用にご関心がある企業様はぜひご連絡ください。
📣Algomatic Worksで一緒に働きませんか?
Algomatic Worksでは、AIネイティブな体験をもたらす新たなHRプロダクト・HRサービスを連続的に生み出すべく積極採用中です。
当社に少しでも興味を持っていただけた方、まずはメンバーと話をしてみませんか?
特に参画いただきたいのは、現役のHRパーソンのみなさんです。
Algomatic Worksのスローガンのひとつは「人事のためのAIは、人事がつくる」です。
既に、CHRO・人事責任者の経験者、人材企業の経営者、HRBPやリクルーターとして活躍している現役のHRパーソンが、すでにドメインエキスパートや事業開発、CSなどの様々なロールで参画しています。
事業開発やプロダクト開発にキャリアチェンジしたい人事の方
生成AIプロダクトの開発に挑戦したいエンジニア・PdM・デザイナーの方
0→1の事業立ち上げに興味のある事業開発・セールスの方
など、全方位全職種で募集をしております。
下記のAlgomaticグループ採用ページから30秒でカジュアル面談が応募できますので、ぜひご連絡ください!
おまけ: クリエイティブに込めた思い
最後に余談ですが『リクルタAI』シリーズに込めた開発チームの思いを「カラーコード」「サービスロゴ」の視点から、少しだけ紹介させてください。
カラーコード:"黒子"として人事部を支える
『リクルタAI』シリーズのカラーコードには #102400という黒に近い色を採用しています。ここには『リクルタAI』シリーズとして重視している理念を意味として持たせています。
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「バイアスや差別、先入観といった色眼鏡が存在しない転職活動や採用選考を実現する」
「各企業の人事部門が持つ独自の文化や価値観(色)を邪魔しない。リクルタAIは各社の人事部の"黒子"として存在する」
こうした思想を反映する形でカラーコードには、あえて黒に近い色を採用しています。
サービスロゴ:"コア業務"に集中し、組織がより輝く
また、サービスロゴも一見すると非常にシンプルな形状をしていますが、リクルタAIシリーズを通して最も重要な2つのコンセプトを文字の形に落とし込んでいます。
人事の方が「コア業務に集中できる」ことを示す円形(コア=核=円形)
「会社全体と人事組織がより輝く」ことを示す"キラキラ"のモチーフ
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「生成AI」「AIエージェント」という単語はバズワードと化している側面もあり、どこかセンセーショナルな響きも帯びています。ゆえに「採用向けのAIエージェント」と聞くと、どこか地に足ついていない印象を受ける方も、少なくないかなと思います。
しかし、私たちAlgomatic Workにとって生成AIの導入は「目的」ではなく、あくまで以下のような世界観を実現するための「手段」です。
「転職活動や採用選考がバイアスや先入観なく行われる世の中を作る」
「各企業の人事部門が持つ独自の文化や価値観(色)を邪魔しない。AI人材リクルーターが各社の人事部の"黒子"として仕える」
「人事の皆さんがコア業務に集中できることで、会社全体と人事組織がより輝くようになる」
この初心を片時も忘れず、地に足ついたサービスを開発し続けるために、ロゴやカラーコードに上記のような意味を持たせています。
記事は以上です。最後までお読みいただきありがとうございました。