噛むことは人生を豊かにする
よく噛んで食べましょうという話です。
ご存知だと思いますがよく噛んで食べると身体に良いことがたくさんあります。
食べ過ぎによる肥満や糖尿病の予防。味覚の発達。胃腸の働きの促進。脳細胞の活性化。ガンや歯の病気の予防。など体に良い事ばかりです。
私は料理人ですので、今回は「味覚の発達」についてお話しします。
物をよく噛んで食べることで味細胞が刺激され味蕾(味を感じる器官)の働きがよくなり味覚が発達します。
すぐに変化が起こるわけではないですが、意識して続けていくと、今まで気が付かなかった味や食感を発見できるようになります。
(ここから少しふざけてしまうので読みたくない方はとばしてください)
言うなればそれは
味覚のマジカルミステリーツアーです
ポテトサラダを例にすると、数回しか噛まないで飲み込んだ場合に感じられる味はほぼマヨネーズの味です。良いとこせいぜいジャガイモの風味を感じるくらいでジャガイモそのものの味は感じられないと思います。
ところが味覚が良くなってくると、ジャガイモそのものの味が感じられるようになります。「このジャガイモは甘味がある」とか、「土臭いジャガイモだ」などと感じられるようになるわけです。
これはビートルズで例えると「ヘルプってなんでも鑑定団の曲でしょ? 」とか「やっぱレットイットビーでしょ!」といった知識レベルの段階です。(別に馬鹿にしている訳ではありません。私はヘルプもレットイットビーも大好きです)
もう少し味覚が進化してくると、ジャガイモの種類がわかるようになってきます。
「ホクホクしてるから男爵芋だ」とか、「このねっとり感はメークインだ」と分かるようになってきます。
「あっ、今の声はジョン レノンだ」とか「こっちはポール マッカートニーだ」と声の区別がつくのと一緒ですね。
更に味覚が上がってくるともっと色々な味や食感を感知できるようになり、料理の構成要素がわかるようになります。
「玉ねぎのみじん切りが入ってる」、「刻んだピクルスとケッパーが入ってる」、「隠し味にアンチョビが入ってる」、「ワインビネガーで酸味を足してサッパリさせてる」などが感知できるのです。
ここまでくると、レコーディング技術を駆使して、新しいサウンドを探究している中期のビートルズが理解できちゃうくらいのレベルです。
「多重録音でコーラスを重ねてるな」、「逆再生だ」、「テープループだ」、「バスが走り去る音が入ってるぞ」、「ジョージのシタールだ」、「リンゴがストローで水をブクブクしてる音だ」といったところまで理解の範囲が広がるわけなんですね。
上記の説明からもわかるように、味覚が発達するという事は紛れもなく
マジカルミステリーツアーです。
またふざけてしまいましたが、
よく噛まないで食べるということは、肥満や病気などの原因になるだけではなく、味覚も発達しづらく鈍くなってしまいす。そうすると、濃い味つけじゃないと物足りなくなります。その結果塩分を取り過ぎてしまい、高血圧や脳卒中、心筋梗塞の原因になってしまうこともありえるわけです。
一口あたり30回噛むのが理想とされています。
体の為にも味覚のためにも意識してみてください。
味覚が発達すると日々の食事が楽しくなります。そして日々の食事が楽しくなると"人生が豊かになる"と私は思います。