油断大敵!?初めてのとんぺい焼き作り
何事も油断は禁物です。
これぐらいなら簡単にできるだろうという、その考えが失敗を生むのです。
料理人はあまり家で料理をしないという人が多いですが、私は休みの日でもよく晩酌用のおつまみを自分で作ります。
とは言っても、別に手の込んだものを作るわけではありません。マカロニサラダとか、春雨サラダとか、どれも10分〜15分くらいで作れるような簡単なおつまみです。
今日は午前中に酒屋に行き、新しい日本酒を仕入れてきていたので、晩酌のおつまみは何にしようかと冷蔵庫の中身と睨めっこをしていました。
すると中途半端に残ったキャベツと、卵と豚肉が目に飛び込んできたので、「よし、今日はとんぺい焼きにしよう」となったのです。
とんぺい焼きを作るのは初めてだったのですが、私の頭の中には理想のとんぺい焼き像がしっかりと出来上がっていました。
カリッと芳ばしく焼き上げた豚肉と、さっと炒めて甘みを引き出した千切りキャベツ、それを羽毛布団のようにフワッフワの卵焼きで包みます。そして、仕上げにお好み焼きソースとマヨネーズをたっぷりかけたら出来上がりです。
完成形のイメージもしっかりできているし、自分は料理人なのだから簡単に作れるだろうと、この時点では勝手にそう思い込んでいました。
ちなみに今回私が挑戦したレシピはこんな感じです。
卵 2コ
豚肉 100g
キャベツ 100g
揚げ玉 適量
麺つゆ 少々
おたふくソース たっぷり
マヨネーズ たっぷり
卵2つ分でフワフワの卵焼きをつくるためには、なるべく小さめのフライパンで作る必要がありました。
そこで、私は最近めっきり使われなくなっていた卵焼き用のフライパンがある事を思い出し、それを引っ張り出してきて使うことにしたのです。
卵焼きのフライパンを十分に熱して、油を引き、豚肉を並べます。
本来ならフライパンを熱している間に、酸化した油の匂いがしてきた時点で異変に気づくべきだったのですが、どうやら私は初めてのとんぺい焼き作りに浮き足立っていたようで、フライパンの表面のコーティングが剥がれてしまっていることにも全く気がついていませんでした。
並べた豚肉はカリッと焼くどころか、ベッタリとフライパンにこびりついてしまいました。
急いで剥がそうとしましたが時すでに遅し。
無理やり剥がした豚肉は、使い古されたマジックテープのように表面は毛羽立ち、なんとも無残な姿になっていました。
急遽、別のフライパンに持ち変えて、まだ半生だった豚肉を焼き直しました。そこに千切りキャベツと揚げ玉を加えてさっと炒めます。
炒め終わったら一旦お皿に取り出して、フワフワの卵焼きを作るためにフライパンに卵を投入しました。
しかし、出来上がったのは思い描いていたのとは程遠い、縁日の屋台で売っているソース煎餅のような薄っぺらの卵焼きでした。
落ち着いて考えてみれば当たり前です。卵の量とフライパンのサイズが合ってないのですから、フワフワの卵焼きなんてできるはずがありません。
どうやら私は冷静さを欠いていたようです。
本来なら卵を入れる前にこうなることに気がつき、フライパンを斜めに傾けたまま作るとか、卵を増量するとか、打つ手は色々あったはずです。
そもそも、豚肉も無理やり剥がそうとせずに、しっかり焼き切ってからそっと剥がしていれば、被害は最小限に抑えられていたはずです。
にも関わらず、私は判断を誤り、途中で修正することもできませんでした。
その要因は、油断していたからに他なりません。
さらには具材を包む際に卵が破れてしまうという
、なんともプロらしからぬ大失態まで犯す始末。これでは、あわや引退の危機かと思われても言い返す言葉もありません。
最終的にお好み焼きソースとマヨネーズをかけて、なんとか見た目はそれっぽくなりましたが、卵はやはり破けたままで、豚肉はぼそぼそで、完全に失敗作でした。
その卵の裂け目から覗く無惨な豚肉の破片は、私をひどく落ち込ませました。
何事も油断は禁物です。
普段なら当たり前にできていることさえも、ままならなくなってしまいます。
そもそも、世の中に簡単に作れる料理なんてものはないと思うべきなのです。
ゆで卵だって、味噌汁だって、インスタントラーメンだって、そこにはちゃんと美味しく作るための手順とコツがあるのですから。
普段は当たり前にできるようなことにこそ、気を引き締めて挑むべきなのかもしれません。
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