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夫@ASD受動型さんの外部記憶装置

夫さんは、記憶や更新は苦手ですが、記録したり、
情報を集めて自分に必要なものを抜粋したり
することは得意で、” 外部記憶装置 ”と言って
再び読むことはないであろう、フリーペーパーの
類やら、イベントのフライヤーをいつまでも
捨てずに取っておくことはほんの生活の一部です。

夫さんの趣味の部屋には、半世紀前の高校時代に
書いた訳の分からない落書きにはじまって、
漫画や雑誌、もう再生して視聴することも不可能な
レーザーディスクや、数年前に定年した前前職の
初任給からの給与明細、販売促進でもらった
ロゴ入りのコップやら鞄といったガラクタが、
本人のルールで収納されています。

新居は夫さんの現在の自宅である2DKのマンション。
私が引っ越してくる前には頑張って片づけたと
言っていましたが、右のものを左に動かしただけで、
私が持ち込めたのは当面必要なものだけでした。

決して広くない居住空間なのに、自分の
ガラクタを死守する夫さん。
前妻さんとの新婚旅行のアルバム!を
見えるとこにしまっているクセに、
私の冬服は、「置くとこないな~。」
百万歩譲って、やんわり断捨離を促したら、
あからさまに不機嫌になって、ただでさえ
薄暗くて不穏な場所に更に不穏な空気が 漂うことに。
これを、仕方ないなー♪ って気にせずに
受け流せる人がいたらひれ伏して教えを請いますぜ。

ある日、夫さんが放った言葉。
自分の感情がよくわからない。
悲しいとか嬉しいとか、あまり記憶にないというか、
そもそも、心が揺さぶられるとか経験がない。

それを聞いた時に、!と感じるものがありました。
もしかしてあのガラクタたちは、冷静すぎる夫さんの
貴重な感情の記憶が紐づいている外部記録媒体なのでは、と。
夫さんの歴代の感情の貯蔵庫???

その証拠に、必要ないと思ったものは容赦なく捨てるし、
我が家のごみ捨て係は夫さんで、分別も梱包も完璧に
こなし、ゴミ出しの日を忘れる事は全くありません。

実際はどうかわかりませんし、本人も自覚はないでしょう。
もし前妻さんとの新婚旅行アルバムが、人生の幸せの
記憶の象徴なら、捨ててとは言えない・・・かなぁ。
表に見えないだけで私の頭の中にもいろいろあるし。
なんとかしないとなぁ・・・と言ってくれているし。

夫さんの物書きデスクにありました。
結婚以来、喧嘩にならないように、口で言えなかった
私の気持ちを広告の裏に走り書きした何枚もの置手紙。
その全てが。

幸せを感じた記憶だったらいいな。











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