It's up to you 「あなた次第」
突然ですが、何か決めごとを「あなた次第よ」とふられて、あなたは自分自身で決断できますか?
小さいことでも「こうしたいけれど、あなたはどう?」と聞くと思います。大きいことは誰かに相談するのではないでしょうか?
日本の相手を敬う文化から、自分の意見だけで通していいものか?と考えてしまうと思います。
わたしは現在、オーストラリアに住んでいます。
今回、この言葉に戸惑いました。決断を自分自身でするのが困難だったのです。わたしの性格もあると思いますが、他にも育ってきた環境の違い、日本とオーストラリアの教育の違いなんだと感じました。今回はそのお話をさせてください。
あなたの意見
現在うちではキッチンリノベーションをしています。初めてのことでわからないことばかり。
「ハンドルはどこにつける?」「プロとしてのおすすめは?」「It's up to you」
「ここをこんな形にしたいのですが、おかしいですか?」「It's up to you」
「光沢はどうしたい?ある?なし?」「どっちのほうが見た目がいいのかしら?」「It's up to you」
「It's up to you」つまり「あなた次第よ」「あなたが決める」という意味です。
答えがすべてこれで、もしかして業者はあとで生じるクレームを心配していたのかもしれません。それもわかります。関わりたくないのか、正直、不親切だな、と思いました。
わたしはただ、プロの意見を参考にしたかっただけなのに。しかし、返事はすべて「It's up to you」ばかり。
でも気が付いたのです。
「決断を怖いと感じるのは日本で育ったわたしだからだ」と。不親切ではなく、それはいいことなのかもしれないと。
あなたは何をしたい?
それはオーストラリアの教育に関係があると思ったのです。長年わたしはオーストラリアの幼児教育に携わってきました。
もし、子ども達に「It's up to you」と伝えたら、それはとてもハッピーなこと。自分の好きなことができるからです。なぜなら、小さい時から選択、決断をたくさんさせているから、自分が何をしたいのか知っているのです。
先生方の子ども達への質問はこうです。
「Would you like to have lunch ?」(お昼ご飯食べたい?)
「What do you want to play?」(何をしてあそぶ?)
「Which colour do you want to paint with?」(どの色ぬりたい?)
選択のできる質問をします。決定権は子ども達なのです。
子どものチョイス
保育園では、お庭へのドアが常に開いています。子ども達がお部屋であそぶのか、お外であそぶのか、選べるからです。
テーブルにおもちゃをセットしておきますが、それをどのようにあそんでもいいし、棚から別の好きなおもちゃをだしてあそんでもいいのです。
アートコーナーでは、色鉛筆、カラーペン、絵の具、のり、はさみ、紙、色紙、葉っぱ、木のみ、リボンなどいろんな物をセットしておきます。自由にアートをクリエイトできますね。
ランチの時間は一斉に食べることなく、食べたい子ども達から食べていきます。食べない子は好きなあそびを続けます。
すべて子どものチョイス。自分で何をしたいか、何が楽しいか、自分で選び、決めていくことで好きな物を見つけて行動に移っていけるのです。
わたしが決める!
先程のリノベーションに戻ります。
日本だったらすべてパッケージで、至れり尽くせりではないでしょうか?それはとてもありがたいことです。今回のようにストレスを抱えることなく、スムースに運んだことかと思います。
今回、違う国にきて違うシステムには戸惑いました。
きっとオーストラリアの教育を受けた人々にはこの「It's up to you」に困ることなく、「わたしはこの形がいい」「この色がいい」「ここはこうしてほしい」と要望までしっかり伝えられるのでしょう。そのように育ってきたからです。
育ってきた環境によって違うもので、どちらがいいか、正解はないと思います。
ですが、ここに住んでいるからには自分の考えをオーストラリア仕様に切り替えないといけないんだと学びました。
またそうしないと、ここで生活していくには困難になるかもしれません。
「It's up to you」と降られたときは「自分の意見をしっかり伝える」それができたほうがこの国ではいいのかもしれませんね。
あなたがオーストラリアにお越し際には、勇気をもって自分の意見を伝えてほしいと思います。そのほうが、もっと会話が弾むことでしょう。
「It's up to you」喜んで受け止めて自分の好きな事をどんどん発展させてほしいです。
おまけ
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