教員しながら転職活動やってみた
元小学校教員のドラ(@dora_webchenge)と申します。この記事では、教員の仕事は好きだけど、このまま続けるべきか悩んでいる方に向けて、教員しながら転職活動をやってみて、わかったことについて書いていきます。
「教員はブラックだ」
教員の厳しい労働環境が、少しずつ世の中に知られ始めています。
令和2年度の小学校教員採用試験の倍率は、過去最低の2.7倍です。
(画像出展:文部科学省 令和2年度(令和元年度実施)公立学校教員採用選考試験の実施状況のポイント)
最近では、埼玉県の小学校教諭である田中まさお氏が、長時間労働是正のため訴訟を起こしたことも話題ですね。
令和3年10月1日にさいたま地裁で出た判決では、残念ながら多くの業務が正式な労働時間として認められませんでした。
教員の労働環境が改善されるまでには、まだまだ時間がかかりそうです。
「このまま教員を続けていて大丈夫なんだろうか…」
そんな考えがぼんやり浮かんできたら、とりあえず転職活動をしてみることは、おすすめできます。
「転職活動なんてめんどくさそう」
「教員の仕事は好きだから、不安でも続けるつもりだよ」
「日々子どもたちと向き合うので精一杯、転職活動なんてする余裕ないよ」
という方にこそ、検討してみてほしいのです。
「ここからが転職活動です!」という明確なラインはありません。できることからちょこちょこやってみるので実は十分だったりします。
「とりあえず転職活動」してみてわかったこと5つ
1. 転職活動自体はノーリスク
2. 教員の魅力を再発見できる
3. 教員以外の仕事を知れる
4. 自分のやりたいことを内省できる
5. いつでも学校現場に戻ってこれる
以下、具体例や体験談を交えて1つずつお話します。
1. 転職活動自体はノーリスク
「転職」にはリスクがつきものです。
業務内容、勤務地、勤務時間、人間関係…あらゆるものが大きく変化し、「合わなかったらどうしよう」という不安におそわれることもあります。
しかし、「転職活動」自体はノーリスクです。
転職サイトに登録する
エージェントと面談する
求人票をながめる
企業に応募する
カジュアル面談をする
面接を受ける
これらの活動をすることに、リスクはありません。
オファーが来なくても、魅力的な求人が見つからなくても、面接に落ちても、教員を続けているかぎりは食いっぱぐれることはありません。
来月も今月と同じ分だけの給料がもらえます。
そうしたなかで、ちょっとだけ求人をのぞきにいったり、興味のある企業の人と話をしたりすることは、思っている以上に有益です。
2. 教員の魅力を再発見できる
転職活動をしていると、教員が恵まれている点に多く気付くことができます。
私が実際に、転職エージェントや企業の担当者と話をするなかで感じた教員の魅力は、
・毎日子どもたちの成長を間近で見ることができる
・給食が安くておいしい
・目の前の子どもにだけ集中できる(集客が必要ない)
・子ども、保護者からとても感謝される
・教え子が会いに来てくれる
・仕事量はある程度自分でコントロールできる
などです。他にも条件面では、
・同世代と比較して年収が高め
・給料が抜群に安定している(景気に左右されにくい)
・毎年、必ず給料が上がっていく(年功序列)
・年収に男女差が生じにくい
・各種手当が充実している(家賃補助、付加給付など)
・産休、育休がしっかり取得できる
・夏休みや冬休みにまとまった休みがとれる
・基本的には土日休み(部活動や行事以外)
などがあります。
転職エージェントや企業の担当者と話をすると、募集ポジションの具体的な業務内容だけでなく、休みがどの程度とれるか、年収はいくらになるかなどの条件面についても話題に上がります。
「教員はブラック」と言われていますが、提示される条件と今の待遇と比較することで、気付いていなかった教員の恵まれている部分にも気付くことができます。
結果として、「転職活動はやってみたけど、転職はしないことにした」のなら、教員を続けることへのモヤモヤが解消されるかもしれません。
3. 教員以外の仕事を知れる
実は世の中には、教育について本気で考え、向き合っている企業、団体が多くあります。これは、転職活動で様々な企業について調べていくなかで気付くことができました。
学校の先生になった方は、多くの場合
「子どもが好き」「教えることが好き」
これに当てはまるでしょう。
こうした方々に伝えたいのは
「学校だけが教育の舞台ではない」ということです。
私は、子どもが好きで教えることが好きです。学生時代からそうでした。多くの子どもたちの成長を支援していきたい、そんな思いで小学校教員になりました。
そんな私も「このまま続けていいのだろうか」という漠然とした不安から、転職サイトに登録したり、転職エージェントと話をしてみたりしました。
そうしたなかで様々な企業や団体の事業にふれ、率直に「楽しそう!」と思える仕事がたくさんあることに気付かされました。
私は、小学校教員になる際、他の選択肢をあまりよく検討しませんでした。
でも就職してから他の選択肢を検討するのでも、全然間に合うのだということを、転職活動をすることで知りました。
4. 自分のやりたいことを内省できる
転職活動を通じて、自分のやりたいことに向き合う時間がとれました。
他の仕事との比較によって、わかることもあります。
私が興味をもった求人の多くは、EdTech関連企業やプログラミング教育事業などの教育分野でした。このことから、やはり「教育」という分野に関心があるんだなということがわかりました。
一方で、塾講師などの直接教えるポジションにはあまり興味がわきませんでした。このことから、自分は直接教えることよりも、教育の場をコーディネートできる仕事がやりたいのかも、と気付きを得ました。
教育分野に興味がありながら、やりたいことは講師ではなく場のコーディネートだとすると、学校現場にこのまま長くとどまっても実現しにくいと判断しました。
こうして自分のやりたいことと向き合った結果、私は転職活動を加速させるに至りましたが、「やっぱり私は教員がいい」という結論になったらそれはそれでアリだと思います。
むしろ自分のやりたいことができているので、何よりです。そのまま教員としての道を突き進むのが幸せなのかもしれません。
5. いつでも学校現場に戻ってこれる
仮に、私のように転職活動から実際に転職を決断したとしても、いつでも学校現場に戻ってくることができます。
教員免許状があるからです。本来10年の有効期限が設けられていましたが、これも2022年中に事実上廃止となる見込みです。
この改正によって、現役教員のもっている教員免許状は無期限のものとなり、いつでも教員として再就職可能になります。
また、現役教員の方ならよくご存じかと思いますが、学校は圧倒的な人手不足です。前述のように、倍率も低下しています。
教員としての実務経験があることは、採用試験でも大きなアドバンテージです。
やれることからやってみる
転職活動をするために、実はまとまった時間をとる必要はありません。
転職サイトに登録して、ひまな時間に求人をながめるだけでも十分気付きは得られます。前述のように、転職活動自体はノーリスクです。
転職を決断したとしても、一般的な会社員に比べて教員の転職は圧倒的にリスクが低いです。
学校現場にはいつでも戻れるし、教員の給料水準は高め、かつ抜群に安定しています。自治体によりますが、教員以外の職業に従事していた場合も考慮して給料に反映してもらえる場合もあります。
教員だけをやり続ける未来に違和感があったら、転職活動をしてみることは一つの解決策になり得ると思います。興味のある方は、ご自身のできるところから、やってみてはいかがでしょうか。