センバツ2025当確ライン【注目20校】
北海(北海道ブロック)
山形中央(東北ブロック)
花巻東(東北ブロック)
東農大二(関東・東京ブロック)
早稲田実業(関東・東京ブロック)
佐野日大(関東・東京ブロック)
至学館(東海ブロック)
岐阜第一(東海ブロック)
小松工業(北信越ブロック)
大阪学院大高(近畿ブロック)
滋賀学園(近畿ブロック)
滋賀短大付(近畿ブロック)
岡山学芸館(中国ブロック)
矢上(中国ブロック)
新田(四国ブロック)
鳴門渦潮(四国ブロック)
鹿児島実業(九州ブロック)
育徳館(九州ブロック)
有明(九州ブロック)
壱岐(九州ブロック)
北海道ブロック
特別枠なら北海一択
北海道は1枠。すなわち東海大札幌が明治神宮大会で優勝すれば、自動的に秋準Vの北海が特別枠の恩恵を得られる。
北海ファンは、全力で東海大札幌を応援するしかない。ついでに、こちらも一読しといてくれ。
東北ブロック(激戦)
2校で残り1枠
東北3枠目は、準決勝敗退組の2校で争う。東北チャンピオンの聖光学院に敗れた山形中央と、青森山田の継投リレーを攻略できずに涙を飲んだ花巻東だ。
青森山田は県大会初戦から毎試合、3投手による継投リレーを崩していない。
そして先発を乕谷朔ノ助が務め、セットアッパーの菊池統磨を経て、エース下山大昂の順で締めるスタイルも一貫している。
3人の中で最少自責点はクローザー下山だ。青森大会の防御率0.00で、これを決勝の聖光学院戦まで継続していた。
つまり、全く簡単ではないが、先発投手から点を奪い青森山田ペースにさせず、あわよくば中継ぎからワンチャンでの逃げ切り、が攻略法になる。
これをやってのけたのが聖光学院だ。両校の差は互角だが、青森山田のことだから次は通用しないだろう。
なので、この2強に負けた山形中央と花巻東は甲乙つけ難い。
特別枠なら4強オール当確
このまま聖光学院の神宮優勝なら、山形中央と花巻東にセンバツの当確ランプが灯る。まずは東洋大姫路との初戦勝利を祈るしかない。
山形中央(東北ベスト4:山形3位)
絶対的エース左腕の小坂楓が先制点を守り切るパターンで、東北大会もベスト4まで駒を進めた山形中央。
決して強力打線ではないが、どこからチャンスメイクが生まれるか分からない全員野球のチームだ。得点に関しても、打順に関係なく返してくる驚異的なパワーも秘めている。
聖光学院戦は唯一、差をつけらた試合ではあるが、春までに必ず立て直してくるはずだ。センバツ当確なら、旋風も有り得るぞ。
詳しくは、こちらを一読してくれ。
花巻東(東北ベスト4:岩手2位)
東北随一のクリーンアップを擁する花巻東。「1年生の4番打者」として甲子園を沸かせた古城大翔(180cm94kg)は、全国区の知名度を有する右の大砲だ。
この秋も不動の4番に座り、東北大会では初陣の秋田商業戦で鋭い弾道の3ランホームランを放ち怪物ぶりをアピールしている。
入学から間もない春季岩手地区予選で、いきなり4番デビューの器は伊達じゃない。
この秋から5番を担う同じく1年生の赤間史弥(180cm98kg)も、古城にやや遅れること春季本大会デビュー組で、この2戦後には一発も飛び出した右の大砲だ。
そして注目は3番打者。破壊力抜群のパワーで打線を牽引する、2年生の新田光志朗(180cm79kg)だ。
春の地区代表決定戦では特盛場外弾を含む2打席連続ホームランを叩き込み、この秋も専大北上戦で1ホーマー4打点をマーク。
東北大会は秋田商業戦以降、無安打と鳴りを潜めたが、ホームラン量産のポテンシャルを伺わせる期待株だ。
センバツ当確なら、盤石の投手陣を誇った旧チームとは対照的な「打の花巻東」が見られるに違いない。
関東・東京ブロック(鬼激戦)
毎年恒例「物議を醸す選考問題」
なぜか秋季大会のみ関東と東京を分ける方式で、センバツの出場基準を複雑化させている選考問題。
関東と東京の直接対決を行わずに、神宮大会の成績で優劣を決める方式を、毎年の如く論争を繰り広げようが構わず採り続けている。
そもそも東京を関東大会に食い込ませれば白黒はっきりするところだが、現行改善に向けた動きすらない。
東京は優勝校を関東大会のスーパーシードにする、そして4強進出の全てに出場権を与えれば済む話だ。
ざっとまぁ、こんな感じになる。
緑枠はメジャーリーグのワイルドカード方式に倣い、都県予選でのチーム打率や防御率、はたまた試合内容などを基に割り振れば、より公平性が増すはずだ。
まずは何かしら動くことが重要。ダメなら、またやり直せばいい、ただそれだけのこと。何もしないで毎年不満を募らせるより、よっぽどマシだ。
残り1枠、神宮制覇なら2枠
そんな訳で、今年も残り1枠を巡り、関東大会ベスト8進出の4校と東京大会準Vの早実が当確ライン上に名を連ねる。
仮に関東代表の横浜、あるいは東京代表の二松学舎が神宮大会で優勝すれば、そこに東京ベスト4進出の2校を加えた合計8校が当確ライン上という構図だ。
ただ、東京ベスト4進出の2校は表向きで、内実は早実を加えた合計3校による2枠争いになる。
早実と二松学舎は双璧で、東京ベスト4敗退の2校との差を引き離した感は否めない。関東の実質2校は、以下の通りだ。
・東農大二(関東ベスト8:群馬2位)
神宮決戦における横浜が二松学舎に勝利することで開ける、関東の残り1枠。その一番手候補が、横浜を最少失点に抑えた「農二」だ。
予想通りの投手戦が繰り広げられたなか、農二の絶対的エース山田琉聖(184cm77kg)は、世代ナンバーワンの呼び声高い横浜打線を2失点に食い止める力投を披露。
山田は2年春からエースナンバーを背負う、MAX143kmの本格派右腕だ。
この春のチーム2戦目で初先発を果たし、いきなり前橋商の清水大暉(日ハム:ドラフト4位)と投げ合ったエピソードを持つ。
負け試合にはなったが、清水を目当てに集まったスカウト陣を前にし、自己最速を3km更新する143kmをマーク。
まだ無名の2年生が、清水と同じ8奪三振完投の実力を見せつけたことで、一躍スポットライトを向けられている。
この秋は防御率1.85、24.1回15被安打26奪三振と夏同様の好投を披露。関東大会初戦でも、帝京第三を相手に7回5被安打9奪三振3失点で完投勝利を収めている。
続く横浜戦では、スーパー1年生右腕の織田翔希に2安打完封と翻弄されたが、差を広げさせず最後まで喰らいつく好ゲームを見せた。
とはいえ、決して農二が貧打な訳ではない。帝京第三戦では10得点を奪い、7回コールド勝ちを収めている。
そんな農二打撃陣の主力は左の荒井奏遼(172cm73kg)と、右の小川來皇(180cm74kg)だ。
荒井はチャンスメイクの起点となる安打製造機で、小川は巧みなバットコントロールから一発も狙える長距離砲。2人とも勝負強い。
センバツ当確なら、この3人が躍進の鍵を握る。
・早稲田実業(東京準V)
戦力的に大本命に上げられながらも、二松学舎との延長11回に及ぶタイブレークの死闘で敗れた早実。
とはいえ、東京を代表するエース左腕の中村心大をはじめ、夏の甲子園戦士は健在だ。聖地では見られなかった、新戦力の台頭も目覚ましい。
詳しくは、こちらの記事を一読してくれ。
・佐野日大(関東ベスト8:栃木1位)
横浜の神宮制覇で出現する特別枠。このケースの場合、残り2枠を関東ゲットが、ほぼ例年通りの傾向にある。
逆に二松学舎の神宮制覇なら、残り2枠を東京と関東で1つずつ仲良くね、が例年の傾向。
つまり「佐野日大のセンバツ当確=横浜の神宮制覇」一択になる。ただ、選考側が同じベスト8進出の山梨学院、あるいは早実を適正と判断する可能性も考えられる。
まずは早実について。実績に伴う結果を残した点でいえば、早実は佐野日大より上だ。佐野日大は健大高崎にコールド負けを喫している。
それなら、同じ関東ベスト8敗退組の山梨学院とつくば秀英はどうか。いずれの勝者は共にベスト4で敗れている。
佐野日大は健大高崎に大敗したとはいえ、相手エースの石垣元気から3点を奪い、一時リードする流れも見せたほど。
健大高崎が失点した試合は、決勝の横浜と佐野日大の2試合のみ。山梨学院を降した千葉黎明にも継投リレーで完封勝ちしている。
注目のリードオフマン「井上遥翔」
そんな健大高崎戦で、満塁走者一掃のタイムリー2ベースを放ってのけたのが、関東トップクラスの強打者・井上遥翔(178cm83kg)だ。
関東大会は初登場だが、栃木では1年夏から名を知らしめている左の強力スラッガー。
この1年夏はチーム初陣で公式戦デビューを果たし、続く2戦目に早速豪快な一発を叩き込み一躍話題をさらった。
まだ1年生にしてスイングスピード150kmを誇ることも報じられ、栃木界隈では大きな反響を呼んだ。
この秋も栃木大会での一発を含む5試合7安打5打点を引っ提げ、自身初の関東大会に乗り込んでいる。石垣元気からもチーム唯一の2安打と気を吐いた。
期待のポイントゲッター「和栗虎雅」
この秋デビュー組で不動の4番をまっとうした和栗虎雅(178cm78kg)も、佐野日大が誇る右の大砲だ。
栃木大会では全5試合8安打6打点をマークし、関東大会でも初陣の平塚学園戦で4打数4安打5打点、そのうち3本の長打を放ち一躍脚光を浴びた。
健大高崎戦後のインタビューで流した、大粒の涙が印象的な今後の期待株だ。
栃木のドクターK「洲永俊輔」
エースの洲永俊輔(180cm78kg)も栃木を代表する好左腕の1人。
ストレートを低めに集められるのが持ち味で、1年春にベンチ入りを果たしたMAX146kmの本格派だ。
この秋からエースナンバーを背負い、栃木大会では25.1回35奪三振のドクターKを発動。低めのストレートでカウントを稼ぎ、伝家の宝刀スライダーが決め球というピッチングスタイルだ。
関東大会は健大高崎にKOされたが、初陣の平塚学園戦では11安打5失点を許しながらも12奪三振で完投勝利を挙げている(自責点2)。
東海ブロック(激戦)
全体的に僅差の試合が目立ち、県1位校の順当勝ちで進んだ東海大会。
大垣日大は立て続けの逆転劇で頂点まで上り詰め、大会準Vの常葉大菊川はホーム開催の静岡パワーで底力を発揮した。両校の差は、ほぼない。
この2校と準決勝で互角に渡り合ったのが、至学館と岐阜第一だ。
2校で残り1枠
センバツ当確を巡る東海大会は3枠。つまりラスト1枠を至学館と岐阜第一で争うことになる。総合力が高い至学館に対し、強打を誇った岐阜第一。
両校ともに甲乙つけ難い。
特別枠なら4強オール当確
明治神宮大会で大垣日大が優勝すれば、自動的に至学館と岐阜第一の争いはなくなる。
・至学館(東海ベスト4:愛知1位)
常葉大菊川と互角に渡り合った至学館。惜しくも僅差で敗れはしたが、全国最激戦区の愛知を制した実力を見せつけている。
大柄なパワータイプはいないが、機動力と繋ぐ野球で創部初の秋季県制覇を果たし話題をさらった、1年生主体のチームだ。
打線は旧チームからスタメンに名を連ねる、2年生の船橋幸多と坂下虎太郎が牽引。
主将の船橋は俊敏な動きとパンチ力を兼ね揃え、この秋から不動の4番に座る坂下は小技も駆使する器用なタイプだ。
エース右腕の尾﨑陽真と井口睦丈の1年生バッテリーも頼もしい。
尾崎は最速120km台ながら、これまで全ての試合で先発のマウンドに上がり、高い完投能力も誇る。圧巻は愛知大会で記録した防御率0点台のコントロールだ。
そのハイレベルな数値を維持できた秘訣は、同じく0点台の与四球率。1試合9回を投げ切って四死球1つ与えるかどうか、という異次元なレベルだ。
打たせて取る技巧派のなかでも、尾崎ほどの制球力を誇る投手は、まずいない。まだ1年生なので球速アップも充分に期待できる。
この尾崎をリードする井口も、打って走れる強肩の秀逸キャッチャーだ。東海大会は持ち前の打棒こそ鳴りを潜めたが、井口キャノンは健在。
常葉大菊川戦ではポップタイム1.94秒の盗塁刺で、序盤の攻撃を凌ぐ活躍を見せている。リード、キャッチング、フレーミングも1年生離れした扇の要だ。
・岐阜第一(東海ベスト4:岐阜3位)
至学館とは対照的に、鍛えられたガッチリ下半身タイプが目立つ強打の岐阜第一。夏の優勝候補に推されていた旧チームのスタメンが7人も残る。
バッテリーを組むエースで4番の水野匠登と永安弘和、クラッチヒッター酒井昊の3人が強打を象徴する中心選手。
攻守に光るショート固定の灰谷叶翔は、この秋からリードオフマンを担う。
中軸に座る平田将大も手強い中距離タイプ。これら個性派集団をまとめるのが、小柄なガッツマンこと主将の兼松秀真だ。
兼松・水野・酒井の3人は1年夏からスタメンで活躍。永安は1年夏の代打機会を経て、続く秋季大会からレギュラーの座を掴んでいる。
同じく1年秋からスタメンに定着した灰谷は中学時代、滋賀野洲ボーイズで奥村頼人とチームメイト。高い身体能力をもって攻守で起点をつくれるタイプだ。
辻琉沙(履正社)を含めた3人は当時から注目されていた。
3人のキーマン
やはり注目は、岐阜ナンバーワン二刀流の呼び声高い水野匠登(181cm80kg)。
MAX138kmを誇る本格派左腕にして、広角に打ち分けられる打撃センスも定評がある。スラッガーというよりは、安打量産型のポイントゲッターだ。
そのほかセンバツ当確なら、リベンジあと一歩まで迫った大垣日大戦において、序盤の奇襲的な畳みかけ攻撃を奏功させた三神陽人が要チェック。
水野の成長と永安の配球力、そして物怖じしない三神のメンタルがセンバツの大舞台で鍵を握る。
北信越ブロック
特別枠なら小松工一択
北海道と違い、北信越の特別枠はベスト4進出の2校で争う。相手は高岡第一だが、北信越準Vの日本航空石川に8回コールド負けを喫している。
航空石川は県3位通過ながら、決勝で敦賀気比と互角に渡り合った強豪チーム。その航空石川を押さえ、県準V校として北信越大会でもベスト4まで駒を進めたのが小松工業だ。
なので実質は北海道と同じ。敦賀気比の神宮制覇で出現するプラス1枠は、自動的に小松工業と見て問題ない。
北陸屈指の強打者「東大輝」
チーム中心選手は、主将の東大輝とエース右腕の宮西陽汰。特に東が絶好調で、今後も注目すべき左の大砲だ。
県予選に続き、敦賀気比との準決勝でも豪快なアーチを叩き込んでいる。北信越大会3試合で9安打10打点と県予選以上の結果を残した。
公立校なので投手陣は宮西一辺倒に頼らざるを得ないところでもあるが、21世紀枠最有力候補というダブルリーチは魅力だ。
秋季石川大会で魅せた、東や宮西ら小松工の活躍は、こちらの記事に詳細を記してある。ぜひ一読してみてくれ。
近畿ブロック(激戦)
「東の関東・東京、西の近畿」と呼ばれる激戦区を17年ぶりに制覇した東洋大姫路。
注目右腕の阪下漣は前評判通りの躍動を見せ、それに応えるように打線も大会を通じて成長を遂げている。
世代トップクラスと称される強力打線の智辯和歌山を相手に打ち勝ち、神宮切符を掴んだ。
阪下同様に点を与えない相手エースの渡邉颯人を攻略した点は大きい。
明治神宮大会では関東チャンピオンの横浜、後述する沖縄尚学と共に優勝候補の一角に上げられている。
4校で残り2枠
そんな東洋大姫路打線を最少失点に食い止めたのが、近畿8強の大阪学院大高だ。近畿は6枠なので、4強以上でセンバツ当確。
つまり残った2枠を準々決勝敗退組の4校で争うことになる。目下のところは大阪学院大高と滋賀学園の2校が有力だろう。
特別枠なら4校で残り3枠
仮に東洋大姫路が神宮制覇を果たせば、残りの8強敗退組2校で1枠を争うが、京都1位の立命館宇治は10対0の6回コールド負けを喫している。
やはり軍配は、天理と接戦を繰り広げた滋賀短大付だ。
・大阪学院大高(近畿ベスト8:大阪3位)
1年生主体のチームながら、府大会3位決定戦で近大付属との乱打戦を制し近畿切符を掴んだ大阪学院大高。
近畿大会は、新チームの主将を務める2年生の朝田光理が9打数7安打と大暴れ。
リードオフマンとしてチャンスメイクを何度も演出したものの結果、打線は思うように繋がらず。注目された1年生の鶴丸巧磨も1安打のみと不完全燃焼に終わった。
鶴丸は、今年のドラフトを沸かせた今坂幸暉(オリックス育成1位)から背番号6を引き継いだ逸材。今春の近畿大会でデビューし、夏も初戦敗退ながらスタメンに名を連ね耳目を集めた。
センバツ当確なら、阪下から猛打賞と気を吐いた朝田と共に刮目の1人だ。
・滋賀学園(近畿ベスト8:滋賀1位)
夏の甲子園を“魔踊”こと、キレキレなダンスで沸かせた滋賀学園。当時のスタメンは3年生を揃えたことで、この秋はフレッシュな顔ぶれで臨んだ。
まさにレギュラー総入れ替えの新チームは滋賀大会制覇にとどまらず、近畿初戦でも番狂わせを起こす。
この秋からエースナンバーを背負う長崎蓮汰が、大阪桐蔭を相手に渾身の快投劇を披露。蓋を開けてみれば、9回1奪三振ながらも2失点の完投勝利で大阪桐蔭打線を手玉にとった。
甲子園で共にベンチ入りメンバーだった土田悠貴は聖地のマウンドを踏んだが、長崎は出番なし。
この秋は磨き込んだカーブを武器に、最終的には大阪桐蔭に通用するレベルまで仕上げている。
続く智辯和歌山戦は先発の土田が捕まり、火消し役に回った長崎も打ち込まれ涙を飲んだ。それでも収穫はあった。
滋賀大会決勝でダメ押し弾を放った1年生の吉森爽心は、大阪桐蔭戦でも先制タイムリーをマーク。智辯和歌山戦でも大会注目右腕の渡邉颯人から、チーム唯一の猛打賞と気を吐いた今後の期待株だ。
・滋賀短大付(近畿ベスト8:滋賀2位)
春夏を通じて、近畿大会初出場の滋賀短大付。新チームのメンバー構成は滋賀学園と同じ、レギュラー総入れ替え。
投打の軸は旧チームでベンチ入りした2年生コンビ。エース左腕の櫻本拓夢とバッテリーを組む、4番打者の大窪玲輝だ。
森伸文と加藤龍之介の1・2番コンビで攻撃の起点をつくり、北嶋朔太郎ら3人の1年生がスタメンに名を連ねる。
滋賀大会では創部16年目にして初の決勝進出、かつ近畿切符も掴んだことで脚光を浴びた。
決勝は滋賀学園に圧倒されたものの、近畿初戦では県予選以上の話題を振りまく。大阪1位通過の履正社を撃破という。
履正社は大阪大会で1試合平均10得点超の超強力打線を誇る。
それを滋賀短大付のエース櫻本が1失点完投、さらには開幕カードでジャイキリを巻き起こしたことも手伝って大きな反響を呼んだ。
続く天理戦も好ゲームを繰り広げ、櫻本も2戦連続の完投で粘りを見せたが、終盤に突き放された溝を埋めきれなかった。
ただ、天理は次戦で東洋大姫路に7回コールド負けの大敗を喫しているだけに、滋賀短大付は上記2校より立場が弱い。
東洋大姫路の神宮制覇で、滑り込み当確だ。
中国ブロック
広島商業の31年ぶり制覇で幕を閉じた秋季中国大会。屈強な守りから攻撃に転じる「久々に強い広商が帰ってきた」というムードを漂わせつつ、いざ明治神宮大会へと突入する。
やはり光ったのは、この秋から古豪広商のエースナンバーを背負う本格派右腕の大宗和響だ。180cmに迫る上背から、角度をつけたキレのあるストレートで三振の山を築いている。
打線は4番に座る1年生の名越貴徳を中心に、伝統校らしい粘り強さを発揮。名越は広商復活をアピールすべく、決勝の米子松蔭戦で先制ツーランを放ってのけた。
特別枠なら2校で残り1枠
そんな名越を封じ込め、打ってはエース大宗を苦しめたのが岡山学芸館だ。
惜しくも米子松蔭には敗れたが、立て続けに旋風を発動させた県立矢上の勝負強さも頼もしい。
・岡山学芸館(中国ベスト4:岡山1位)
夏の甲子園でベスト16に進出した岡山学芸館。その時のスタメン3人が新チームを牽引する形で、中国大会では2戦連続コールド勝ちの強打を誇った。
不動のショート高安凰真が新チームのリードオフマンを担い、1年生ながら甲子園でクリーンアップを務めた繁光広翔は4番に座る。
繁光はチーム最多の8安打7打点、広島商戦でも猛打賞と気を吐いた。
佐藤滉起は引き続きマスクを被り、新エース左腕の青中陽希を好リード。青中は速球派ではないものの、力強いストレートを低めに集められるピッチングに定評がある。
この秋デビュー組の山田涼は毎試合の5安打4打点と下位の要的な働きを見せた。
・矢上(中国ベスト4:島根3位)
初戦の高川学園(山口1位)と続く倉敷商戦で、逆転に次ぐ逆転劇というミラクルを巻き起こした矢上。
クリーンアップの3人は旧チームから変わらず。マスクを被る花田峻坪、1年生4番打者の重富大翔、セカンド固定の原道夢という3人。
高川学園戦と倉敷商戦で2試合連発を記録した高橋遼太の存在も大きい。
もし特別枠を争うことになれば、夏の大社旋風さながらの勢いに乗る矢上か、あるいは投打で安定感を誇る岡山学芸館か、そこがポイントになるだろう。
四国ブロック
四国チャンピオンに輝いた明徳義塾と準Vの高松商との間に、力差はない。
甲子園で快投を見せたプロ注左腕の池崎安侍朗、名門のエースナンバーを引き継いだ右腕の末包旬希の2人はともに防御率1点台。
高松商はMAX147km右腕の行梅直哉も好調で、強力二枚看板を形成している。
そして打線も、両チーム遜色ない。強力打線とまではいかないが、粘り強さを誇る。高松商の橘朋宏は準決勝で逆転V弾となる、2打席連続ホームランを放ち話題を振りまいた。
特別枠なら2校で争うも「ほぼ互角」
このセンバツ当確組を相手に準決勝で喰らいついたのが、下記の新田と鳴門渦潮だ。新田は終盤までリードし、鳴門渦潮は最後まで粘りを見せた。
総じて明徳義塾が明治神宮大会で優勝すれば、残り1枠は甲乙つけがたい。
・新田(四国ベスト4:愛媛1位)
旧チームを支えた複数のメンバーが主軸を担う布陣。投手陣はエース當眞嗣胤を筆頭に3人の経験組が残る。
打線は、この秋から4番に座る得居飛翔の脇を固めるのが、二刀流の重野育夢と木下春空だ。
得居と木下、そして不動のリードオフマンを張る酒井真聖の1年生トリオには勢いもある。
・鳴門渦潮(四国ベスト4:徳島1位)
下位からクリーンアップに昇格した中山仁翔が唯一の甲子園戦士だ。
四国大会は1安打と思うような結果を残せなかったが、この秋デビュー組の3人がチームを牽引。
特に石本倭斗は、明徳義塾のプロ注左腕「池崎安侍朗」から3安打と気を吐いた。1年生リードオフマンの西丸皇槻と4番に座る長嶋颯斗も好成績を収めている。
九州ブロック(大激戦)
特別枠なら4校で残り1枠
残念なことに九州は4枠なので、自動的にベスト4進出=センバツ当確だ。つまり特別枠の権利を持つ、九州チャンピオン校の沖縄尚学に頼るほかない。
とはいえ、仮に沖縄尚学が神宮大会を制すれば、新たに出現する特別枠を巡る争いは一気に熾烈と化す。
秋季九州大会ベスト8進出組のなかから、その1枠を選ぶという関東・東京ブロックに肩を並べる壮絶な争いだ。
4校拮抗「オール2位校の巻き返し」
優勝した沖縄尚学と西日本短大付以外、すべての1位校が初戦敗退という番狂わせで幕を開けた九州大会。
最終的には前出の2校に、エナジックスポーツ(沖縄2位)と柳ケ浦(大分2位)を加えた4校が九州4枠に収まっている。
余談だが「横浜vs沖縄尚学」の下馬評も
豊富なタレント陣を揃える横浜は、人気も注目度もナンバーワン。明治神宮大会で本命視する声は多い。
松坂大輔を擁した高校無敗の四冠達成を熱望するコアなファンもいるほど。
そこに対抗一番手として浮上しているのが、横浜と逆ブロックから初陣を切る沖縄尚学だ。つまり神宮決勝は、この2校の一騎打ちと踏んでいる。
MAX150km怪物1年生左腕
投げては、1年生にして最速150kmを計測しているエース左腕の末吉良丞が24.1回21奪三振、防御率0.74と圧巻のドクターKを披露。
打率8割弱ワンダーボーイ
打ってもクリーンアップ昇格の比嘉大登が、5本の長打を含む3試合連続猛打賞をマーク。チーム断トツの11安打8打点と大爆発の活躍を見せ、打線を牽引している。
この勢いをキープできれば、いくら明治神宮大会とはいえ、あっさり敗退だったり、大崩れだったりは想像し難い。
2勝してファイナルで横浜と激突、という大方の予想も頷けるところ。
つまり世代最強の呼び声高い横浜を倒せる可能性を秘めているのが、沖縄尚学だ。よって九州は特別枠をチラつかせる激アツ地区になる。
・鹿児島実業(九州ベスト8:鹿児島2位)
守りと繋ぐ野球で無念の“夏超え”を果たした鹿実。
旧チームの大黒柱で中日ドラゴンズからドラフト育成2位指名を受けた、最速151kmを誇る井上剣也のようなスター選手が不在のなか、鹿児島準V校として九州大会ベスト8まで駒を進めている。
エースは若鷹「大野稼頭央」の弟
そんな井上からエースナンバーを引き継いだのは、「奄美大島の雄」を兄に持つ大野純之介。兄は大島高校初のプロ野球選手として脚光を浴びた大野稼頭央だ。
2022年に福岡ソフトバンクからドラフト4位指名を受けた快速左腕にして、今季限りで引退した和田毅ばりの活躍が期待されている若鷹の注目株だ。
純之介は兄のような速球タイプではないが、島を離れてエースの座を勝ちとっている。兄譲りの身体能力、いわゆる大野家に宿るDNAの賜物といったところだろう。
やはりチームとしては、大野の成長と全体の打力向上に尽きる。
・育成館(九州ベスト8:福岡2位)
旧チームからバッテリーを組む、エース右腕の島汰唯也と隅田勇輝が中心選手。
福岡大会の準決勝は壮絶な打ち合いを制したが、以降チームの打線は鳴りを潜める形に。それでも九州初戦を突破できた点は大きい。
この秋から2番センター固定でスタメンに定着した小森航汰は、例の準決勝で一発を放ってのけた要チェック打者だ。
21世紀枠とのダブリー
21世紀枠の福岡推薦校でもあるだけに、ダブルリーチからセンバツを狙える位置につけている。
まずはセンバツに備えた守備力の強化が急務。投打の歯車が噛み合えば、面白いチームだ。
・有明(九州ベスト8:熊本2位)
旧チームのスタメン組で引き続き主軸を担った松本悠来、新リードオフマンの笹尾瞳真が中心選手。
そこに石松功大を加えた3人の2年生以外は、全て1年生がスタメンに名を連ねる。
熊本大会では、この秋からエースナンバーを背負う1年生左腕の斉藤遼汰郎が粘投を見せ、夏の甲子園出場校である熊本工業との打ち合いを制し九州切符を掴んだ。
九州初戦の相手は優勝候補の一角に上げられていた、MAX150km右腕の陣内優翔を擁する長崎海星。
初回に先手を取った有明は終盤までリードする試合運びで、最後は延長11回のタイブレークにもつれ込んだが、逆転サヨナラの大ミラクルを巻き起こし陣内攻略に成功している。
評価対象は海星撃破か、それとも
続く西日本短大付戦は、夏の甲子園ベスト16に貢献した新エース中野琉碧を攻略できず、完封負けを喫した。
そんな中野から13安打11得点を奪い、6回コールドに追い込んだ沖縄尚学は驚異でしかない。
西日本短大付との一戦を選考側がどう評価するか、そこが有明の明暗を分けるポイントだ。
・壱岐(九州ベスト8:長崎2位)
博多港から海を渡ること北西へ約60kmの位置に浮かぶ島、長崎県壱岐市。そんな離島から旋風を巻き起こしたのが、公立の壱岐だ。
この秋からエースナンバーを背負う右腕の浦上脩吾が主将を務める。リリーバーの山口廉斗はショートからマウンドに上がる二刀流。
この右腕二枚看板をリードする岩本篤弥、リードオフマンの小西桜ノ介、攻守を誇る中上仁の5人が旧チームからのスタメン組だ。
そして彼らは島民期待の伝説メンバーとしても語り草。
壱岐史上最強の伝説メンバー
山口や岩本、小西らは島内の勝本中学出身で、この代の野球部は壱岐市初となる全国大会に出場し1勝を挙げている。
この秋から壱岐の4番に座る日髙陵真が当時エースを務めていた。
一方の浦上や中上、この秋からスタメン入りした島村昊尚、唯一の1年生である久保田空輝らも、同じく島内の郷ノ浦中学野球部出身で輝かしい実績を残している。
彼らは全国大会を設けていない、春の中学選抜大会における九州制覇のV戦士。勝本中学同様、壱岐市初の九州王者という快挙を成し遂げた英雄メンバーだ。
さらに補足すると、浦上・山口・岩本・日髙の4人は長崎県中学選抜メンバーとしても共闘。九州沖縄ブロック予選でベスト4まで勝ち進んだ。
21世紀枠なら期待大
九州大会ベスト8決戦で唯一、コールド負けを喫している壱岐。仮に沖縄尚学が神宮大会を制したとしても、壱岐の特別枠は厳しい状況といえる。
準々決勝に進んだ4校拮抗とはいえ、やはりコールド負けは痛い。
それでも21世紀枠でいえば、前述した小松工業同様に超絶有力だ。全国の推薦校を秋の実績だけで重視するなら、壱岐と小松工は断トツを誇る。
ちなみに小松工は甲子園の出場実績があるものの、壱岐はまだ一度もない。
中学九州最強メンバーが島にとどまり、初めての甲子園出場に懸けるアナザーストーリーも、センバツ当確なら一躍数多の共感を得るはずだ。
ソース(情報源)一覧
川村友斗:北海OB
仙台大・川村がソフトバンク育成2位 同級生の活躍刺激に 道新スポーツ
武田陸玖:山形中央OB
好きで始めた野球、全力で DeNAの武田陸玖が球児にメッセージ 朝日新聞デジタル
大谷翔平:言わずと知れた花巻東レジェンド
周東佑京:東農大二OB
【祝】WBC 優勝 日本代表 周東選手(本校卒業生) 東京農業大学第二高校公式サイト
清宮幸太郎:早稲田実業OB
高校野球っぽい「しつけ」はしない 清宮幸太郎を育てた早実の監督 朝日新聞デジタル
五十幡亮汰:佐野日大OB
【卒業生の活躍】五十幡選手 座談会 佐野日本大学高校公式サイト
阪口楽:岐阜第一OB
【田村藤夫】ホームランか三振か…日本ハムの大型野手、3年目・阪口楽の魅力を探る 日刊スポーツ
江夏豊:大阪学院大高OB
大阪桐蔭、履正社の2強を撃破した大阪学院大高 元カリスマ営業マン監督のマネジメント力 産経ニュース
金村尚真:岡山学芸館OB
本校OBの金村さんがプロ野球ドラフト2位指名! 岡山学芸館高校公式サイト
徳山一翔:鳴門渦潮OB
【ドラフト速報】環太平洋大学・徳山一翔投手が東北楽天から2位指名 KSBニュース
横田慎太郎:鹿児島実業OB
以上。
持ってけ泥棒。
ここから先は
¥ 50,000
Amazonギフトカード5,000円分が当たる
ちゃんと身銭を切ってくれた正直な人には、ガチ開運倍返しを絶賛お裾分け。効果は2週間前後まで。スキ8記事クリアも滑り込みで特別サービス。