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🟩なぜボッシュが半導体を作るのか?


🟩ボッシュ史上最大の半導体工場を開設

自動車部品サプライヤのボッシュがドイツ ドレスデンに半導体工場を開設しました。投資額はボッシュの135 年の歴史過去最大の10億ユーロ(約1330億円)となります。開設した工場は半導体ウエハ製造プロセス、つまり半導体の前工程工場です。

🟩世界的な半導体不足に対応か?

2020年後半から車載半導体が世界的に不足し、半導体不足は2022年まで続くといわれています。実際ドレスデンの新工場が完成しても半導体の不足が完全に解決するわけではないです。ドレスデンで扱う半導体はパワー半導体で、不足している車載マイコンを製造工場ではないためです。

ボッシュも半導体不足に対応したものではないとコメントしています。

🟩ドイツ政府の要請によるもの? 

開所式にはメルケル首相や欧州委員会のベステアー上級副委員長が出席しました。10億ユーロの投資のうち2 億ユーロを独政府政府が支援しているためです。これは IPCEI という欧州共通の利益を狙ったプログラムから支援です。メルケル首相から最近の地政学を反映した発言がありました。

「EUがマイクロチップを生産する立場にないのを、快く思わない」

🟩自動車における半導体需要が高まっているから

工場新設は2017年に計画されたものなので、最近の半導体製造を自国に取り戻す活動に影響されたものではないです。自動車の運転支援システム、つながるクルマ、電動化により新車1台が搭載するの半導体の数が増えていることに、自動車部品メーカーとして対応するためです。

🟩自動車部品メーカーがなぜ半導体を?

じつはボッシュは 50 年間、半導体チップを製造しています。車載センサー半導体では世界首位 パワー半導体とASICでも主要プレーヤーとなっています。

🟩工場新設は事業性を織り込み済み

「工場建設を決めた時点では、建設理由は純粋にテクノロジーでした。300mmウェーハの製造する必要があったのは明らかで、キャパシティ拡大に投資する必要もありました」

ボッシュの既存の工場では200mmウェーハで半導体を製造しています。新工場ではチップコストを低減するため、300mmウェーハを採用し生産効率を高めます。製造プロセスは65nmであり、最新の5nmプロセスと比較して決して最先端ではないです。しかし最先端ではないプロセスを使った、アナログICも300mmウェーハにして大口径化していくのは現在のトレンドです。工場には人工知能(AI)とIoTを組み合わせ最新の生産技術を導入します。半導体不足に対応というよりは、最新の技術で生産性を高める投資になっています。

🟩まずは電動工具の分野から

ボッシュは2021年7月から自社の電動工具向の電力制御に使う「パワー半導体」の生産を始めます。さらに9月からは車載向けのASIC(特定用途向け半導体)も生産する計画です。まず人命にかかわらない電動工具からスタートするという戦略をとっています。

🟩まとめ

なぜボッシュが半導体を作るのかというと「儲かるから」

今回工場を新設するドイツのドレスデンはEUのチップ生産工場の 3 分の 1が集まっている集積地域です。日本と同じくヨーロッパでも「ほぼ失われた産業」といわれる半導体ですが、台湾の新竹のように半導体製造が集積した地域があるのはメリットです。

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