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本当に「モーレツ!オトナ帝国の逆襲」な社会になってる

「日本を取り戻す」的な表現が蔓延している。
と、思う今日この頃。
その主観をまとめてみた。

(1)西武園ゆうえんちが気になる

西武園ゆうえんち、というけっこう大きな遊園地が埼玉県にある。
今年5月に、70年ぶりのリニューアルを経てニューオープンした。
※USJをV字回復させたマーケティング集団「刀」と協業のうえで実施

リニューアルのテーマは「昭和」。
「昭和の町」を再現したエリアの登場だ。

↓のような宣伝用映像もある。これは西武線電車内モニターでもよく流れる。

あとはゴジラや手塚治虫のIPを取得しており、関連するアトラクションやグッズを展開してるっぽい。

ホームページや宣伝動画を見てると、今より「昭和」のほうが人間味があって楽しい、みたいな受け取り方が出来てしまう。
この点に、僕はとても違和感・温度差を感じる。

(2)昭和に憑りつかれてない?

リニューアル内容しかり宣伝動画しかり、「昭和の熱気を遊びつくそう」というコンセプト。どこからこのような企画が生まれたのかな。

たしかに、最近はレトロ風デザインが若者に人気。
僕もかわいいと思う(1991年生まれが若者に当てはまるかは知らんが)。
あと、最も働き盛りな40~50代の人は、まさに昭和世代。
こういう人たち(世帯)に消費してもらう狙いもあるだろう。

昭和をコンセプトにして、売れたもん勝ちで良いならそれで良い。
でも僕が思うに、レトロ好きの感覚が、「一周回って新しいと感じる若者たち」と、「商品・サービスを企画する大人たち」、この二者間で乖離している

若者たち:デザイン、雰囲気が新鮮で可愛い
目新しさ(ノベルティー)

大人たち:懐かしい、熱気あるあの頃を再び日本に取り戻したい
懐かしさ(ノスタルジー)

西武園ゆうえんちがどのような意図で昭和をテーマにしたかは定かでない。ただ、クリエイティブを見る限りでは、世代間ギャップがぬぐえない。平成3年生まれっていう二者間の狭間の人間である僕はそう思う。

(3)デジタル庁のnoteにみる「ノスタルジー」

デジタル庁の平井さんが、ちょうどnoteに投稿していた。

気になる文脈をピックアップする。
加えて、焦点を当てたいキーワードを太字にしてみた。

私は今まで様々な場所で「デジタル庁を設立して成し遂げたいこと」を申し上げてきました。
それらをぐっとまとめて、あえて一言でまとめるのだとすれば、「日本はこんなもんじゃない」ということをもう一度国民と共有したい、ということです。
剣道や柔道などの「」と同じニュアンスです。
デジタルによって人助けをする「」、デジ

今の日本の雰囲気をぶった切りたいという誠意はすごく伝わってくる。
その点について僕は賛成で、いけいけ~!って思う。
けれど、掲載されている言葉には「昭和」への固執を感じる。「もう一度」や「道」など。
加えて、「国民」という言葉にも昭和を感じる。これは超絶個人的な意見だけど。。臣民という大日本帝国下の言葉に近しい、官民の上下関係を感じる。政治家が「国民」って言う度に、僕は違和感(他人事感)を感じる。

平井さんは、昔の日本にあった「何か」を取り戻そうとしている。

(4)小難しい解釈を書いてみる

人が自然と口に出す単語には、その人の精神論が反映されている。
また、日本語は単語一つ一つの意味合い・ニュアンスの幅が非常に広い。

つまり日本語は、「曖昧なニュアンスで表現して共感を得よう」としつつ「自己の精神論に無意識的に惹きつける」ことを両立させやすい。これって、立法機関や企業広報からしたらすごく好都合。

平井さんが書いたnoteが嫌だとか、そういう気持ちはない。
ただただ、なんだか矛盾を感じるだけ。

デジタルを活用して情報へのアクセシビリティを強化する。それは本当に素晴らしい。今日の日本の大問題は、政府がもつ「情報の非対称性」なのだから。
でも、大企業の商品・サービスしかり平井さんのnoteしかり、昭和に回帰する姿勢がある。

つまり、今の日本というマクロ社会・政府は、先進的な手法・クリエイティブを用いて、後進的(回帰的)な像(=昭和の成功?)を目指している。

なんかこのシチュエーション、既視感がある…。

(5)このnoteのタイトルに戻る

あれやん!あのアニメ映画!「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」やん!

昭和のテーマパークに憑りつかれた(洗脳された)大人たちが、子どもの世話や社会を放棄してテーマパークに入り浸る。
それに抗う野原しんのすけや子供たち、野原家の姿が描かれている。
かなり泣ける映画。

僕からすれば、この映画そのものをリアルに味わっている感覚だ。

(6)おわりに

憲法改正や緊急事態条項創設など、いまの政府と共通する「日本を取り戻そう」という姿勢が、いまの世の中、というか大人たちに蔓延している。
極端な話、「また戦争でもやるのでは」「経済重視の政治が神話化されるのでは」と思ってしまう。
まあでも、経済成長して、格差問題が少しでも改善すればそれで良っか。

なんて思ってない。
僕は、未来に向けて、平等な社会に生きたいんだ。

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