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湘南移住記 第242話

火曜日。追浜。仕事終了後、〈yaam〉のオコゼから電話。合流する前に泌尿器科に行く。検査をしてもらい、結石は腎臓にも膀胱にもなくなっていた。一安心。そういえば、ここ一ヶ月、かなり稼働しているがそこまでしんどくならない。石はだいぶ体力削られる。

オコゼの仕込みを見ていると、気合が入る。膨大な量の仕込みを、丁寧に丁寧にひとつひとつこなす。料理についての情報交換も。キノコはテンパリングする前に、空焼きにすると香りも食感も良くなる、とか。麹の使い方について相談する。新作のヴィーガン餃子を試食させてもらう。肉が入ってるかのようにうまい。

追浜駅の朝


水曜日。追浜。明日の営業に向けて買い出し。堀内のハードオフで衣料品が半額セール。オコゼに「シュッとしてて」と怒られたので、服を買うようにしている。やすきはおそらく着道楽になってしまうくらい服が好きなのだが、少ないお金を全て店に投資してきたので買えなかった。服は余裕がある人が買うものか。とはいえ、見た目も大事なので1000円以下のものをちょこちょこ買うことにした。

品川のプリンセスホテルでバイトしていたとき、人々の往来を観察していると、気づくことがあった。裕福な人と、そうでもない人が入り混じっていたのだが、そうでもない人はナイロン製の服を着ていることに気づく。これ、葉山の定食屋でバイトした時も思ったんだよなあ。

津山にいるとき、〈西海岸〉で70年代のからし色のコートをディグったことがあった。見事な縫い合わせと記事で、冬は重宝していた。昔の人って、よくできたものをひとつ持って着倒してたのだと思う。ミニマル。

MA-1という軍もののジャケットを一つ持ってるけど、よくできてる。袖口が三角に仕立てられたり、縫製や、内ポケもある。仕事用にも外出用にもたいへん便利だ。現代でこういうものを買おうとするとウン万円するだろうが、古着なら3000円そこらである。ずっと何年にもかけて使えるし。しかも、軍モノってデザインがかっこいい。軍がカッコいいっていうイメージにしたかったのだろう。

やすきが欲しい服は60〜70年代のヨーロッパ古着とか、鳥取で手仕事で作られてる1着20000円するシャツとか、価格帯が高いのでおいそれとは買えない。hatisが成功し出したら、そういうものを着よう。今、衣笠のB型作業所で買ったエメラルドグリーンのセーターを着ている。100円。

木曜日。追浜。からの営業。ついに新規のお客さんくる。

金曜日。追浜。今日で一段落した。2月も引き続き仕事を頂いた。財政がかなり安定して、改装費に充てれる。ありがたい。新規のお客さん。近所のご夫婦。hatisにずっと来たかったらしい。スパイスカレーを食べ、美味しかったので鍋を持ってきてルーだけ買ってくれた。嬉しい。

仕込んでなかったので完売とさせてもらった。というか、さすがに疲れ果てて休ませてもらった。テーブルのとこでハァ〜となった。〈のぼり雲〉のサウナに行く。一息つけばよかったのだが、早く行動しなくちゃと思う癖がついてしまっので早く出た。後で分かったのだけど、この日、hiklyくんとダッチくんがhatisに訪ねてきてくれていたらしかった。やすきもダッチくんと話かったので、これは後悔した。焦って行動すると縁を失ってしまう。落ち着こ。

土曜日。張り切って仕込み。岡山の母が津山の米を送ってもらったので、hatisで出す。ありがたい。正午のオープン前から来客があり、いい流れと思いきやいつもの半分の来客。藤沢から通ってくれる常連さんができて、神奈川の長く喋っていた。二宮に〈ガラパゴス〉という山の上にあるカレーを出すお店があるらしい。どうもやすきと馬が合いそう、と紹介してもらった。

夜、上町の〈京急ストア〉で買い出しをしていると、〈マグヨコ〉のようこさんが笑顔で話しかけてくれた。おでん食べない、と誘ってくれたので、飲みに行く。hiclyくんが店番をしていた。トニーは体調が悪く、店には立っていない。

だし巻きのおでんははじめてたべた

おでん定食を食べさせてもらった。横にhiclyくんがいて、一緒に食べた。普段、店があるときは自分用の飯ってほとんどパーっと作ってパーっと食べるから、こうやって時間をかけて食べることが少ない。振る舞われたご飯を、誰かと食べる暖かさと言ったら。ああ、俺はこういうことを仕事にしているんだな、と改めて感じた。大事だわ、これ。hatisを大切にしていこう。コミュニティを作ろう。家族を作ろう。温もりのある空間にしよう。

日曜日。朝からhiclyくんとわかなちゃんと車で長井に出かける。このダグドリオ、いや旅トリオと行動するのも一ヶ月ぶりだ。二人は夜行性なので朝はテンションが低い。

〈長井水産〉で野菜を購入。キャベツが1玉250円と、どえらい安い。大きなカリフラワーも買う。生牡蠣と、コノシロのつみれ汁を食べた。そんなにお金かからないけど、ほんとの贅沢。

生牡蠣。みんなでシェア。
〈長井水産〉。新鮮な野菜がお安い
コノシロのつみれ汁 300円

三浦海岸の〈もったいない食堂〉でマルシェへ。ヴィンテージで、整ったデザインの素敵な空間。美しい着物で、目鼻、顔立ちがはっきりした、獅子座感が強い女性がパウンドケーキを売っていて、思わずチョコ味を買ってしまった。

〈もったいない食堂〉

中にはお茶屋さんもあって、スミーさんを連れてきたくなった。アンティークの蚤の市もあって、蚕の栽培に使われていた棚を買い求める。hatisの看板に使うつもり。中にいたリノベ設計士の人とリンクする。わかなちゃんが逢いたい設計士さんとも繋がっていた。三浦半島は空き家のリノベが多い。横須賀は家の解体が進んでいるが、もったいないので再活用できる仕組みが作れないものだろうか。移住組がそこで商売を始めたら、地域が活性化する。



わかなちゃんイチ推しの〈ペンギン荘〉。かわゆし。


今日の営業は酷かった。2食しか出なかった。オープン当初くらいの出で、何かやってしまったのかと省みたけど、わからなかった。まあ、長いことやってるとこういう日もある。今週は、利益がほとんど出なかった。

ポピーシード、ケシの実のスパイスカレーを作ったのだが、テンパリングだけだとポピーシードのナッツのような風味が出ない。レシピをディグると、カシュー、ピーナッツ、ごまとココナッツミルクを合わせて、コルマにするといいみたいだった。来週はそうする。

谷戸の活動されている方が来店して、たまたまいたhiclyくんとわかなちゃんとリンクした。夜、スミーさんと、スラムの生茶さんが来る。群馬からわざわざ来てくれたらしい。群馬はリリカルスクールのminanがいるので一度訪れてみたい。

スミーさんと熱い話になって、上町の〈圏外書房〉に流れる。この日の話し合いはとても重要だった。佐野町〈めい鍼灸院〉のめいさんがお友達を連れてやってきた。ホロスコープ を見ると、めいさんと太陽星座が対抗していて、二人で一緒感が強かった。

月曜日。1ヶ月ぶりの休み。自分のために味噌汁を作る。休みの日の儀式。くたびれたが、財政状況も良くなって、改装費が捻出できそうだ。ついてる。昼、〈Tea Cross〉さんに行く。常連さんと話す。ようやく横須賀に溶け込んできたなあ。岡山の紅茶を出してくれていた。

平成町へ、改装用の機材や、店の物を買いに行く。リビンで髪を切る。1000円カットで、フレンチクロップの画像を見せるのだが、いつも角刈りにさせられていたが、今日の人は仕事が細かく、いい仕上がりになった。今年はSNSで顔出ししていくので、ダイエットと、見た目パシュっと仕上げていく。

買い出しが終わるともう夕方だった。疲れたので寝る。店を開けれる時間が増えて、気分が明るい。

やすきの地元、岡山は高梁市の和紅茶。スミーさんは淹れ方を工夫していた。技がふえてやがる
キャラメリゼナッツ。ボリューミー

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