藤井五冠、20歳また強くなる
このところの豊島九段との王位タイトル戦2局と永瀬王座との棋聖タイトル戦2局は先手後手番ともほぼ藤井五冠の完勝に終わっています。
永瀬王座は「藤井五冠のギアが上がっている。」と評していましたが、まさにその通りの結果が出ています。
双方の棋戦で初戦を落としてしまったほんの一か月前の6月からは別人のようです。
一つにはタイトル戦の対局が続いたことで疲れるよりは、ほとんど研究時間が取れない中でも実戦慣れによる技量の向上の方が大きいこと。
もう一つこれが個人的には重要と思うのですが、対局する相手の読みの量と深さを把握できてることではないでしょうか。
つまりソフトの研究範囲を外れれば「読みのスピード、量、深さにおいて藤井五冠を上回る棋士は居ない」という事実です。またそれを自覚することによって藤井五冠は相手の読みのスピードや量をかなり正確に掴めていると。
これまで相手が明らかに読んでない部分まで読みまくって余計な労力と時間を消費する上に、相手が想像もしてない応手に対する懸念から踏み込みが甘くなり、さらにその決断自体も鈍っていたように思います。
ところが王位戦第三局など藤井五冠は1時間を超える長考を一度もしていません。逆に豊島九段の方が3時間を超える長考でリズムを崩していました。
適性なレベルで読みを打ち切り、攻めと受けの切り替えを上手くやれるようになっています。それでも豊富な研究を誇る豊島九段をして「どこで悪くしたのか分からなかった。」と言わしめていることは驚異的です。
身体的にはきついかも知れませんが本当は今の状態と勢い、流れのまま、王位戦4局、5局と連戦した方が藤井五冠にとってはプラスになるかと。
来月15日王位戦までに10日に菅井八段との順位戦がありますが、出来れば久保九段との棋王戦もどこかに入ると良いなぁと考えています。(観る将ファンとしても・・・)
2022年度可能対局数残:54局 7/22現在(段位、冠位、敬称略)
順位戦23年03月 08局○○○○○○○○(今期1勝,次 菅井竜也 未定)
王位戦22年08月 04局タイトル4○(今期2勝1敗,次 豊島将之 8/15,16)
JT杯戦22年11月 03局本戦○○○(次 羽生or菅井 9/23)
竜王戦22年11月 07局タイトル7○
銀河戦22年12月 05局本戦○決勝トーナメント○○○○
王将戦23年02月 07局タイトル7○
朝日杯23年02月 04局本戦○○○○
NHK杯23年03月 05局本戦○○○○○(次 伊藤匠 未定)
棋王戦23年03月 11局本戦○○○○挑決2○タイトル5*○(今期1勝,次 久保利明 未定)
合計 54局(トーナメント全勝、挑決とタイトル戦フルセット)
今期初可能対局数 78局
今期勝ち数計 10勝(勝率 0.769、振り駒勝率 0.400 2:3)
今期負け数計 3敗
今期喪失局数 8喪失(棋戦敗退による対局機会喪失)
今期早失局数 3早失(番勝負早期決着による対局機会喪失)
今期防衛・奪取・昇級棋戦:
叡王戦22年06月 叡王防衛 対出口若武 (今期3勝,2早失)
棋聖戦22年07月 棋聖防衛 対永瀬拓矢 (今期3勝1敗,1早失)
今期敗退棋戦:
王座戦22年10月 本戦1回戦●大橋貴洸×××タイトル5*×(今期1敗、8喪失)
今期対戦結果:
2022/04/28 ○ 出口若武 叡王戦 タイトル戦 1回戦(先手 相掛り)
2022/05/06 ● 大橋貴洸 王座戦 本戦 1回戦(後手 矢倉)
2022/05/15 ○ 出口若武 叡王戦 タイトル戦 2回戦(先手 相掛り:千日手指し直し局)
2022/05/24 ○ 出口若武 叡王戦 タイトル戦 3回戦(先手 相掛り)
2022/06/03 ● 永瀬拓矢 棋聖戦 タイトル戦 1回戦(先手 角換わり:千日手指し直し2局)
2022/06/15 ○ 永瀬拓矢 棋聖戦 タイトル戦 2回戦(後手 角換わり)
2022/06/22 ○ 佐藤康光 順位戦 A級 1回戦(先手 向い飛車)
2022/06/29 ● 豊島将之 王位戦 タイトル戦 1回戦(後手 角換わり)
2022/07/04 ○ 永瀬拓矢 棋聖戦 タイトル戦 3回戦(先手 角換わり)
2022/07/08 ○ 中川大輔 棋王戦 本戦 1回戦(後手 角換わり)
2022/07/14 ○ 豊島将之 王位戦 タイトル戦 2回戦(先手 角換わり)
2022/07/17 ○ 永瀬拓矢 棋聖戦 タイトル戦 4回戦(後手 相掛り)
2022/07/21 ○ 豊島将之 王位戦 タイトル戦 3回戦(後手 角換わり)