魔法の粉
20年以上私をやっていると私のことが少しずつ分かってくる。私はどうやら、香ばしいものが好きらしい。
アーモンド、くるみ、ごま、玄米、もち麦などなど。そして、その括りの中での王道がきなこである。今日はきなこについて少しお話ししたい。いい大人がきなこについて2,000文字近く書きました。どうなってんだよ。
わらび餅にかけられた姿で出会ってから早20年以上。幼い頃はわらび餅の食感や冷たさに魅了されており、そこまできなこのことを特別だと思っていなかった私が、きなこをこんなに好きだと気づいたのはいつのことだっただろうか。でも、思えばあの頃から解けない魔法にかけられていたのかもしれない。普通の粉だと思っていたけど、Love…
チョコレートになったり、ケーキになったり、ふわふわのお煎餅になったり。食べ物だけにとどまらず、きなこラテ、きなこ豆乳などの飲み物にもなれる。お正月には一番輝く姿、きなこもちとなって私たちの新年に華を添えてくれたね。ダーリンダーリン……色んな角度から君を見てきた……。
和菓子にも洋菓子にもなれる、そんな君の変化に私はいつも魅了されるばかりだった。ねぇ、きなこ…アタシは、アンタの隣にいてもいいのかな……?
惚れた弱みというのは怖いもので、基本的に何をされてもきなこのことは大好きなのだが、そんな私にも少しだけ例外がある。黒蜜、そう、黒蜜との組み合わせだ。
様々な企業が日夜研究を重ね、素晴らしい食べ物を生み出してくれているのはわかっている。マーケティングの結果、きっときなこと黒蜜という組み合わせは「売れる」と判断されたのだろうし、実際売れているのだろう。
しかし、どうも私の舌には黒蜜が合わない。嫌いだとか苦手だとかそういうわけではないが、特別好きだとも思えない。きなこだけで充分だと思ってしまう。これも愛ゆえなのだろうか。
きなこが好きすぎるあまりに、白米、豆腐、明治エッセルスーパーカップ(バニラ味)にかけて食べてみたことがある。
白米にかけたらもうおはぎ。おはぎあんまり食べたことないけど多分これはおはぎだ。
豆腐にかける時は他に砂糖やメープルシロップ、蜂蜜など、とにかくその時家にある少し甘い成分を足せば、それはもう立派なスイーツである。少し砕いたくるみを散らしても良い。グラノーラやコーンフレーク、バナナも合う。
明治エッセルスーパーカップときなこに関しては美味しくないわけがない。こんな当たり前のことをわざわざ言わせるんじゃない。どうして「明治エッセルスーパーカップきなこ味」を商品化しないのか疑問なほどに、バニラアイスときなこは合う。バニラアイス自体に甘さがあるので、きなこを上からかけるだけで充分なのもポイントが高い。結局“ラク”は“旨い”だから。
先程、なぜ商品化しないのか!と言った手前こんなことを言うのは憚られるが、「きなこ味のアイス」だとまたちょっと違ってくるかもしれない。これはきなこ味のチョコレートなどにも共通して言えることなのだが、市販のきなこ味は少しきなこ感が強すぎる。うまく言えないが、鼻血が出そうになるような濃さを感じる気がする。
明治エッセルスーパーカップのきなこ味が出るなら、バニラの層ときなこアイスの層を1:1ぐらいにしてほしい。株式会社明治の偉い人、見てますか。
それか明治エッセルスーパーカップsweetsで新たに商品展開をして、ティラミス味のようにアイスの層の上にきなこをまぶしてもらうような形が理想に近いかもしれない。
ただ、バニラの層ときなこだけじゃ特別感が足りない。きっとこれが商品化されるとき、憎き黒蜜の層がここに加えられるのだろうと思う。それが企業努力なのはわかっている。わかっているが、私のど真ん中じゃない。もうだんだん黒蜜に嫉妬しているだけな気がしてきた。一体私は何と戦っているんだ、戻ってきてくれ人間の土俵に。
話が大きく逸れてしまった。きなこレシピとして挙げたものはどれも人間の尊厳を失いかけている者による限界メシ感は否めないが、おいしいので是非。栄養も多分あるよ、大豆だし。ホットケーキミックスに混ぜ込んで焼いたのもおいしかったなぁ。
癖がありすぎるわけでもなく、かといって主張しないわけでもない。ちょうどいい甘さとどこか懐かしい素朴な風味、それがきなこの魅力だ。
クラスの中で決して目立つタイプではなかったがなんだかんだ結婚はそこそこ早いタイプ、それがきなこ。
LINEのアイコンは実家の犬、それがきなこ。
中学時代はバスケ部だが、高校時代はいきなり文化部に入る、それがきなこだ。
なんとなくだが、きなことはこれからも末永くよろしくやっていけそうな気がする。味覚が大人になっても、色々な組み合わせで私の舌に馴染んでくれることだろう。君となら永遠があると思ったよ。まぁ、きなこサイドがどう思っているかはわからないけど。
愛を込めて。