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【禍話リライト】「庭の茶室」
体験された方の小学生の頃の出来事。
当時その方の友達に、A君というお金持ちの子供がいた。
一例を挙げると、モフモフとした体毛を持ち、機嫌が悪い時なら小学生ぐらいは倒せてしまう程の、そんな高そうな大型犬を飼っている大きな家だったそうだ。
そのA君の家に、友人数名と遊びに行くことが何度かあった。
小学生の頃ということもあってか、お金持ちのA君や彼の家に対して、劣等感などは感じず、純粋に(A君んちすごいな~)などとアミューズメント気分で楽しんでいたそうだ。
そんなある日、友人の一人が「いやぁすごいな。裏庭にもなんかあるなぁ」と言った。
(裏庭って、なんかあったっけ?)
体験された方も含め、その場にいる全員が小首を傾げた。
確かにA君の家には裏庭があり、草花が植えられている綺麗な庭だったとのことだが、続けてその友人は「茶室みたいなのがある」と言った。
「茶室?なかったでしょ」
「あそこ、割と洋風の家だったよ」
「え、ないよ」
全員が口々に否定するが、その友人は「いや、あった!」と自分の意見を曲げようとしなかった。
(頑張るなぁ、こいつ・・・)
体験された方はそう思い、「じゃあ、ちょっとみんなで今から行ってみようや」と話し、A君の家へ今から向かうことにしたのだそうだ。
A君の家に着き、裏庭を確認した。
しかしそこには茶室はおろか、それらしい建物も見当たらなかった。
「ないじゃん」
「どこにあったんだよ」
茶室を見たという友人に尋ねると、
「ちょっと盛り上がった、小山みたいになったところの上にあった。ちっちゃい茶室みたいなのが」
と話すが、やはりそれらしい建物は全く見当たらない。
A君にも尋ねるが、
「なんにもないよ、昔からなんにもない」
「建てる予定もないし、そもそも紅茶にうちのお母さんはハマってるから、緑茶の方にはいかない」
とのことだった。
しかし、友人は「でも、見たんだけどな俺、茶室…」と話す。
「いつ見たんだ?」と水を向けると、
「先週遊びに来た時に、トイレ借りようと思って、何気に窓から裏を見たらあった。確かに見えた。ああ、すごい!って思って…」
と答えた。
また、帰り際に自転車を止めてあるガレージに行った際にも、裏庭が近かったこともあり、再び見ることができたとのことだった。
そこまで聞いて各々が、
「何かと見間違えたんだと思うけど、なんでお前は茶室だと思ったんだ?」
「ちっちゃい小屋があったとして、物置かもしんないじゃん遠目から見て」
「そっからお茶を持った先生とかが出てきたら、茶室かな?って思うけど。分かんないじゃん、なんでそう思ったの?」
と疑問を呈した。
すると友人は、
「俺、茶室ちょっと分かんだけど」
と偉ぶった雰囲気の前置きをした上で、
「入りにくい入口じゃん茶室って。下の方から入る感じで。そんな感じで、すげぇ入りにくい入口があったんだ。だからあれは茶室だ」
と話した。
「どんなんだ?」と更に詳しく訊くと「鉄格子があった」と話した。
小学生でも流石にそれはおかしいとなり、
「それ違うぞ!」
「お前、茶室の情報が入りにくい入口しかないのか⁉」
と、他の友人と共にツッコミを入れ、半ば笑い話にしてその場は収まった。
体験された方は帰宅後、家族にそのことを話し、
「あいつまたバカなこと言ってる」
「そんな茶室、監禁茶室じゃねぇか!」
などとゲラゲラと笑っていたが、何日も経ってからA君も同様に家族の人へ笑い話として話したということを知った。
しかし、A君の親はその話を聞いて、いい顔をしなかったのだという。
詳しく事情を聴くと、そもそもその家は新築で建てた家ではなく、もともとあった家を買ったとのことだった。
中古の物件とはいえ立派な家だった為、(買ったら、高いんだろうな…)とA君の親は思っていたが、相場より少しだけ安かったのだそうだ。
お金もある為改築などもしていたが、不動産の人からは、「裏にこんもりとした小山みたいな部分があるんですけど、そこは地質が悪いため立てちゃだめですよ」と言われたという。
(まぁそんなもんか、地盤がおかしいってこともあんのかなぁ)と、A君の親はその言葉の通りに何も建てずにいた。
しかしA君からの話を聞いて、(もし昔からある家だとしたら、もしかしたら病気を持った人を隔離していた座敷牢とかだったんじゃないか?)という、疑いが出てきた。
そのことを親から聞かされたA君は、気持ち悪くなり家族ともに、裏庭の地面を確認することにした。
すると、確かに建物があった跡が地面にあったのだという。
その後A君一家は、「じゃあ、供養しなきゃ。」ということになり、お金を掛けて祠のようなものを作ったのだそうだ。
それからは再び「その建物を見た」などの話は聞かれず、特に変なことは起きていないとのことだ。
出典:【シン・禍話 第三十九夜 (聞き手の鬼登板回)】
(2021/12/25 )(4:05~) より
本記事は【猟奇ユニットFEAR飯】が、提供するツイキャス【禍話】にて
語られた怖い話を一部抜粋し、【禍話 二次創作に関して】に準じリライト・投稿しています。
題名はドント氏(https://twitter.com/dontbetrue)の命名の題名に準じています。
シン・禍話 第三十九夜 12月25日(通算238回目)https://t.co/Nbuspldg2E
— ドント (@dontbetrue) December 25, 2021
庭の茶室/青い物置・補遺/見たことのある……/校庭の穴/悪口娘/犬はいない/煙の仏壇/余寒さんの褒め褒めパワー/中の叫ぶ顔 ★佐藤実さんによる替え歌が適宜挿入されます
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