マガジンのカバー画像

掌小説 弐 (投げ銭)

10
運営しているクリエイター

記事一覧

ハグ

実物を見たらハグしたくなくなるに 5000点
実物を見たらハグするに 1万点。
クイズダービーだったか 古い。
だがこの賭けは成立しまい。なぜってハグするのはdonc僕だから。
事の起こりはあるミニブログ、cricのこんな書き込みから始まった。

>TAVELTの寿司コーナーは最近休日でなくても
わさび抜きを作ってくれてあるので有り難い。
でも絶対レジで「これ!あら!わさび抜きですよ!」って言われ

もっとみる

ライフライン

急に引っ越すことになった。
ガラクタはリサイクルショップに引き取ってもらった。
ライフラインの解約。大家に電話。
「ここに電話してもらえば」

ガス xxxx-xx-xxxx
電気 xxxx-xx-xxxx
水道 xxxx-xx-xxxx

「本当にクリーンにしたいですか」
「はい」
「じゃー 0120-849-0401」

ガス、電気、水道 無機質な応答が。
さて最後 アニメキャラのような声が

もっとみる

赤い風船

久しぶりにバスに乗った。
赤い風船を持った女の子が手を振っている。運転手に? 私に?
時間調整だろうか、バスは私一人 乗りこむ客もいないのに走り出さない。
女の子はまだ手を振っている。5歳ぐらいだろうか。

「お客さん 懐かしいだろ」
と運転手が振り返らずに
そういえば奇妙に懐かしい。

「あの子 小花っていうんだ」
「えー 私と同じだ」

バスは走りだした。
振り返ると赤い風船だけが停留所にくく

もっとみる

雨があがったら

名前、もちろん ネットで使うハンドルでもいい。
生年月日 これもお遊びだからネットデビューの日でもいいだろう。
ちなみに私は
donc これは2007年からネットで使用している私のハンドル。
2007年5月17日 これは donc 誕生の日
さてこの2つをこのページに。

The 葬式 

あなたのお葬式はこんな参列者でした。ご愁傷さまです

donc 享年77歳 

参列者は横に5人で3列の15

もっとみる

25分

25分待ってくれ。
となりのおばちゃんが大阪へ行くという。
膝が痛くて息子さんの所に行くという。
朝7時 留守するからとおばちゃん、ワケギをたくさん持ってきてくれた。

なんかないかななんか

冷蔵庫開けたら昨日貰った卵が
4つ取り出して水の中へ
スイッチオン。
メニューは温泉卵。
そう、うちの炊飯器は温泉卵が作れる。
そう、25分だ

大阪へ行くの待ってくれ
元気になる温泉卵だ
今生の別れになる

もっとみる

忘れもの

目がさめたら電車はホームに。
もう着いたかと思ったら急行の待合駅。
終電の一本前 みな眠そうだ。前の男もネクタイを緩めて眠りこけている。
急行が窓を震わせ通りすぎた。

その音が目覚ましだったのか前の男がとろっと目をあけ
きょろきょろ見回してあわてて飛び降りた。
彼の座っていた網棚に黒いビジネスカバンが
「忘れもの」と僕は鞄を持って追いかけた。
「どろぼうー」と後ろから誰かが
えーっと止ろうとした

もっとみる

先手必勝

ぞっとすることを聞いてしまった。

この村秋にマムシが出るんだそうだ。
鹿が出る。猿が出る。猪が出るって聞いていたけどマムシはね。
それにもう秋じゃないか。

マムシ調べてみるか
何々 卵胎生 1年以上体内で卵を孵しているのか 
それを産むために秋に出てくる。
水辺の叢に。

この家は3方用水に囲まれている。残る一つは隣の蔵だ。
これでは家から出ることもできない。
冬まで待つわけにもいかんしな。

もっとみる

六の倍数

元日の「おめでとう」電話かと思ったら
「雑煮の餅を喉に詰まらせて死んだ」と姉から電話。
姉の連れ合いの安(やす)さん75歳。
雪のちらつく峠を越えて、ちょうどスタットレスタイヤに履き替えていた。
2日の午後葬儀社の仮安置所に。
白い棺(ひつぎ)の中に青白い安さんがいた。

姉が棺に煙草を入れた。葬儀社の若い社員(増田さん)がマッチを添えた。
安さんはヘビースモーカー。
安さんの胸には小さな袋が。

もっとみる

達人

明石は立呑が多い。ここでいう立呑とは酒の販売店が傍らでやってるもの。
簡単な袋物のつまみや缶詰だけのところから、居酒屋顔負け豊富なメニューのところもある。
明石市内に立呑は30軒近くあるとか。私ももっぱら立呑に。

最近なぜか会えぬ達人に。何の達人かって、決まってる立呑の達人。

年のころは65過ぎコールテンの上着とコールテンのズボン、丸眼鏡。
午後6時ぴったりにきて
濁り酒 コップ半分と6Pチー

もっとみる

オフ会

おせっかいなKUMIが
もうオフ会やるっきゃないと。
BBS シネマメランコリーの。
参加者は20名 幹事はいいだしっぺのKUMI
自己紹介が一通り終わったがみな落ち着かない。
炎上の主役がいない。

「あの まよさん と 泰司さん からメールが入っておりました
お二人とも急用でこれなくなったそうです」
と管理人の私が。

「あら そのあとかしらお二人から私にメールが、
まよさん は10分ぐらい、

もっとみる