忘れもの
目がさめたら電車はホームに。
もう着いたかと思ったら急行の待合駅。
終電の一本前 みな眠そうだ。前の男もネクタイを緩めて眠りこけている。
急行が窓を震わせ通りすぎた。
その音が目覚ましだったのか前の男がとろっと目をあけ
きょろきょろ見回してあわてて飛び降りた。
彼の座っていた網棚に黒いビジネスカバンが
「忘れもの」と僕は鞄を持って追いかけた。
「どろぼうー」と後ろから誰かが
えーっと止ろうとしたとき横のドアからでてきた男が
足をかけたのか
気がついたとき僕は駅務室、冷たい眼をした男に囲まれていた。
読み切り。投げ銭スタイル
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