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フロムソフトウェアのキャラの魅力

私はフロムの作るゲームがなんだかんだで好きだ。
ゲーム体験は勿論そうなのだが、本当にこのシリーズ、なんといっても世界観とキャラクターがあまりにも素晴らしいなーと。
よくこんなものを考えつくものだな、と本当に感服する。

個人的にはゲームデザインより世界観の方にのめり込んでしまった。

とにかく中二病にブッ刺さる世界観を作るのがマジで上手い。

「ソウルライク」というジャンルで海外のゲーム会社がフロムゲーの後追いで似たようなゲームをたくさん開発しているが、世界観・設定・ストーリーのセンスはフロムが頭一つ抜けており、このセンスは表面上の付け焼刃でどうにかなる代物じゃないのだろうな、と、他社のソウルライクゲームをプレイしていて痛感する。

ソウルシリーズの産みの親、宮崎氏は紛れもない天才なのだと実感させられる。

単純なゲーム体験だけでなく、世界観にも徹底的にこだわる。
だからこそフロムのゲームは唯一無二なのだと思う。

「世界観」というものにだけ焦点を当てるのであれば、ブラッドボーンとエルデンリングが特に好きだ。

ミケラの刃 マレニア (エルデンリング)

「エルデンリング」に登場する大ボスは「不完全な神」という設定を持っている。
簡単に説明すると、神の後継者を作ろうとしたのだが、ある1人を除いてものの見事に全員失敗作として産まれてしまった。

マレニアもその一人であり、「赤い腐敗」という障害を持って産まれてしまった不運な人物。
異名は「ミケラの刃」または「腐敗の女神」

毒とか呪い、ではなく「赤い腐敗」っていうところがもうセンスあるよね。
腐敗に犯されており、視力すらも失っている。
右腕は義手だが、腐敗による影響で腕を失っているのかもしれない。
女神のようなビジュアルが美しくカッコイイ。

設定上では最強の失敗作で、実際裏ボスとして登場する。プレイしたことなくても「マレニアが強すぎてヤバイ」みたいな声を聴いたことがある人が多いのではないだろうか。

マレニアは双子の妹で、ミケラという兄がいる。ミケラは腐敗に苦しむマレニアを救うために色々と奮闘するのだが、結果としてそれは叶わず命を落とすことになってしまう。

1人で静かに眠りながら、戻ることはないミケラの帰りを待ち続けるマレニアの姿は凄く儚い。

ボソボソと覇気のない喋り声は赤い腐敗によるものなのか、ミケラの死に対する絶望なのか、両方か。
最強でありながら、本当に欲しいものは手に入れることは叶わなかった悲運が彼女の魅力ではないだろうか。


最初の狩人 ゲールマン(blood borne)

フロムソフトウェア、かっこいいジジイを作るのが上手すぎる。

ブラッドボーンのラスボス。
ラスボスだが決して悪人ではない。

人々が自我を失い狂ってしまった混沌とした世界で、武器の大鎌は相手の弔いの意味が込められており、彼にとって狩りは娯楽などではなく、あくまでも慈悲。葬るために殺すのだ。

夢の怪物「月の魔物」に魅入られ、夢の中で理想の世界を叶えようとした、これもまた悲しき人物だと思う。

夢の中ならば、あらゆる苦痛から解放される。

この感覚は、普段から生き辛さを抱える私にも凄く共感できる部分がある。

夢の中は確かに楽園だ。しかしそれが作られた虚無の世界であると悟ってしまったとき、そこに真の幸せはあるのだろうか?

夢の怪物に支配され、夢から覚めたくともその世界から抜け出せなくなってしまった。
楽園を求めて夢の世界に入ったはずなのに、いつしかその楽園が地獄と化してしまう。

かつて愛し、この世を去ってしまった女性 時計塔のマリア。
その代替品として、見た目がそっくりのカラクリ人形を作り魂を吹き込んだとしても、所詮は作り物。満たされることはない。

最後にゲールマンにトドメを刺した時の彼のセリフ

「全て、長い夜の夢だったよ……」

このセリフは長い悪夢が終焉を迎える、安堵の声のようにも私には聞こえた。
死は救済。私が常日頃から考えていることだ。

ブラッドボーンはフロムが作るゲームの中で一番設定やストーリーが練り込まれており、その魅力に魅入られるファンは多い。
フロムゲーの中で最も美しい作品だと思う。
故にその人気は根強く、発売から十年近く経った今でも続編を望む声は強い。
フロムのセンスが「これでもか」、というほどに濃縮して詰め込まれた作品だと思う。




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