まったりM&A現場閑話★独禁法Part.3(ガンジャンピング・クリーンチーム)
独禁法(国際的には競争法という)シリーズがまさかの第三弾に!?
(前回はこちら)
今日の話題は、ガンジャンピングです。
恒例の質問、さて、どういう意味でしょう?
答えは、『フライング』です。
野村証券HPの解説によると、『陸上競技などでスタート合図のピストルが鳴る前に飛び出すフライングを表す英語の意味に由来する』ですって。
ガンが鳴る前にジャンプしちゃう……確かにフライングですね。
M&Aにおけるガンジャンピングは注意しなければいけない大きなポイントです。
M&Aの手続きが完了(クロージング)する前に、
✔価格や顧客取引条件などの重要な営業情報の交換
✔相手会社を先行して支配、協調行動をとる
等をすることをガンジャンピングと呼び、競争法違反とみなされます。
だって、クロージングできない可能性がありますもんね。
特に競合企業やバリューチェーン上下の企業とのM&Aでは要注意です。
下手するとカルテルと見なされるかもしれません。怖いです。
クロージングしたらすぐに情報交換や協調・統合作業ができるように、計画を作ったり環境を整えたりするのはいいのですが、具体的な行動には出ないように気を付けましょう。
★以下オマケ★
競合他社等は価格や顧客取引条件などの重要な営業情報の交換はカルテルにあたるのでクロージングまでは避けるべしと説明しましたが、じゃあ……
『どうやってDD(デューディリジェンス:買収候補先の企業調査)するの?』
って思いますよね?
その時は、情報交換を適切に行うためのプロトコル(決めごと)を設定することになります。
プロトコルにおいては、
✔カルテル観点からやばい情報(センシティブ情報)と非センシティブ情報を区別
✔『クリーンチーム』を設立
✔センシティブ情報はクリーンチームメンバーのみがアクセスできる
と定義します。
クリーンチームのメンバーには、事業の意思決定(価格や調達、生産、将来開発等)に直接かかわらない間接部門(法務や経理、M&A専門部隊、外部アドバイザー)などが入ります。
判断は難しいので弁護士相談しましょうね。
ちなみに、私もM&A部隊という立場上、クリーンチームに入ります。
なお、心がクリーンかどうかは関係ないようですm(__)m
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ガンジャンピング
https://www.nomura.co.jp/terms/japan/ka/A03172.html
クリーンチーム
https://www.nishimura.com/sites/default/files/images/newsletter_201901_ma.pdf
センシティブ情報の事例
✔価格に関する情報
✔製造原価等のコストに関する情報
✔販売数量に関する情報
✔マーケティング戦略・計画に関する情報
✔製造能力に関する情報
✔将来の売上予測に関する情報
✔各取引先の名称・取引数量・取引条件の情報等
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