連載小説★M&A春風 第58話 嵐の前の……パート7
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風物詩である潮騒が静かに流れる沖縄料理屋。
店の中に入ると、ここが新橋だとは信じられない雰囲気だ。
目の前に広がるのは明るく開放的な空間。
テーブルには鮮やかな沖縄の花が飾られている。
床には砂や小石を模した装飾が敷かれ、海岸に足を踏み入れたかのような感覚。
山田はメニューを手に取った。
豊富な種類の沖縄料理が並んでいる。
料理が運ばれてくると、香ばしいそばの香りとゴーヤーチャンプルのスパイシーな香りが漂った。タコライスは、ジューシーなタコとトマトソースがご飯と一体となり、見た目にも食欲をそそる一品だ。
二人はオリオンビールで乾杯し、箸を進めた。
「今日はお疲れ様。うまくリードできていたと思うよ」
「あ、ありがとうございます。いえ、まだまだです。IWBC証券さんの提案が凄くて圧倒されちゃいました」
「気合い入ってたもんね。フィーも頑張っているし、良い提案書だったよ」
真奈美はクスクス笑った。
「でも、ビューコンちらつかせるなんて……意地悪ですよね?」
「ははは、冗談で言ったんだけど、真に受けちゃったみたいだね」
「まったく……人が悪いですよ」
山田も頭を書いて笑う。
ラフテーが運ばれると、二人の口の中にジワーッと旨みが広がる。
「次、泡盛飲んでみる?」
「泡盛ですか?私、飲んだことなくて……ちょっと怖いですね」
「沖縄では泡盛を使ってラフテーを煮込むらしいよ。この旨みもその恩恵かもね。だから、ラフテーには泡盛が合うと言われているんだけど……」
山田の提案を聞き、真奈美は唾をごくりと飲み込んだ。
「チャレンジしてみる?」
「……ぜひ!」
こうして、真奈美にとっては平日連チャンとなる飲み会はまだまだ続くのであった。