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スイーツメモリー(白玉抹茶あんみつ)

丸盆に、白玉抹茶あんみつと、蓋つきの湯呑、盃にいれた黒蜜を並べると、なんだか奈良の和カフェで出される品のようで嬉しい。

ヴィオラダガンバを始めた頃、奈良までレッスンに通っていた。奈良駅で降り、奈良町商店街を通り抜ける。先生の家は、猿沢の家のすぐ近く、文化財指定の町屋造りだった。ガラガラと格子戸をあけて入ってすぐ土間の左の部屋が、レッスン室だった。格子を通して、すりガラスからぼんやりと柔らかい光が差し込む穏やかな部屋に、チェンバロや太鼓、リュート等が、置いてあった。

ヴィオラ ダ ガンバ 絵画

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その部屋では、時間がゆったりと流れているようだった。レッスンの後には、必ずポットに入れてあるコーヒーを出してくれた。「ヴィーラント先生もこうしてポットに入れてコーヒーを出してくれていた」と。

レッスンが終わると、猿沢の池の脇を通り、興福寺へ行く。興福寺といえば、何と言っても阿修羅像が有名だ。阿修羅像が東京で展示された時は、大騒ぎ。あのか細い腕がぽきんと折れやしないか、運搬には細心の注意を払って梱包される様子がテレビで取り上げられていた。東京では、阿修羅像の周りを、二重三重に人が周り、じっとしないよう注意を受け、ゾロゾロ歩きながら見ている様子がニュースでやっていた。

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国宝館ができて数年後、再び興福寺に行った時、何故かその日は閑散としていて、国宝館もガラガラだった。ぽつんと阿修羅像が立って、周りに誰もいなかった。(えっ? 阿修羅を一人で見られる?) 

信じられない思いで対峙すると、大勢に囲まれた時には、見せなかった阿修羅の表情がそこにあるような気がしたのだった。

おうちカフェ 白玉抹茶あんみつ

〇材料 … 白玉粉 抹茶 寒天 砂糖 餡


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