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スイーツメモリー(フルーツゼリー)

アガーなんて、最近まで知らなかった。お菓子作りで固めると言えば寒天かゼラチン。ところが、アガーはまったく透明に固められる。

透明は素晴らしい。「行ってみたい世界の絶景」によく出てくる、海水が透明すぎて、船が宙に浮かんで見えるところがある。透明は素敵だ。

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水泳は得意だった。透明な水の中にいることが好きだった。学生の頃のある日、一緒にスイミングスクールに通っていた美人のE子が、レッスンの最後に、プールの中にコンタクトレンズを落としてしまった。「コントタクトレンズ、嵌めたまま泳ぐのかい?」と思われるかもしれないけれど、全然、平気なのだ。どういう仕組みなのかは知らないけれど、ゴーグルをつけていれば、レンズを落とすことなく、泳げる。何しろ、E子は、極度の近眼で、コンタクトレンズがないと、ほとんど見えない。ビート板とまな板の区別もつかない。

その頃のコンタクトレンズは、多分、ハードレンズで一枚が高価なものだったと思う。しかしなんといっても水の中だから、大変なのだ。私たちは「いいです、いいです、もう大変だから諦めます」と言っていたのだが、若いしなやかなコーチ達が、「僕たちに任せてください!」と、ひきしまったお腹にダイビングの重りのベルトを巻いて、次々プールに飛び込んでいった。

今思うと、彼らは、エネルギーの有り余っている若者で、遊び好きで、くだらないことや、はしゃぐことが好きな、ラッコやアザラシだったのかもしれない。まるでゲームに興じる子供のように、水底を泳ぎ回っていた。

そのうち、一人のコーチが、黄金伝説の濱口優みたいに、水の中から拳を振り上げ「あったぞーっ!」

遂に、透明な水の中から、コンタクトレンズを見つけたのだ。「おおぉぉーっ!」という歓声と拍手を受けて、勇者のように、意気揚々と上がってくるコーチ。皆の称賛を受けて、鼻の穴を膨らませながら、E子にコンタクトレンズを渡してくれた。しきりに恐縮するE子に、「なんてことないですよ」 って。

あの頃は平和だったのかな。それに加えて、私たちが若くて、E子が可愛かったっていうのもあるかな。今だったら「勝手に困ってろ」と目もかけてもらえないよ。

ええっと何の話だったっけ?そうそう、アガーは透明で素敵なお菓子が作られるってことだった。

冷たいグラスに水滴がついて、透明に見えなくて、ちょっと残念!

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〇材料… アガー 砂糖 フルーツ(ブルーベリー さくらんぼ 葡萄)       ヨーグルトムース(ヨーグルト 生クリーム ゼラチン)





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