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あなたならどんな物語を紡ぎますか?「名探偵のままでいて」

こんにちは、読書子です。
本日、紹介する本はこちら。
小西マサテル作「名探偵のままでいて」

第21回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作です。

最初は穏やかなストーリー展開ですが、終盤は一気に話が進み目が離せません。
ドキドキする場面もありましたが、最後は優しい気持ちになりました。
心温まる素敵なミステリー小説です。

では、簡単にあらすじを紹介しましょう。

レビー小体型認知症を患う祖父は、介護を受けながら静かに暮らしている元小学校の校長先生です。
祖父に憧れ小学校教師となった孫娘・楓は、度々祖父の下を訪れ、身の回りで起こった「謎」を話し聞かせていました。

近所の居酒屋で起こった密室殺人の謎。
小学校のプールの授業中に、突然消えた美人教師の行方。
生徒が32人しかいない教室に、突然現れた謎の33人目。
事件の目撃者である女性が姿を消した理由。

楓が話し終わると、祖父は孫娘にこう尋ねます。
「それで、楓はどんな物語を紡ぐ?」

切れ者の祖父がお気に入りの煙草を吸いながら自らの推理を語る時、見えなかった真実が浮かび上がる。

孫娘から話を聞いただけで、謎をあっという間に解決してしまう名探偵おじいちゃん。
私も推理しましたが、予想外な結末に驚くばかり。
認知症を患っているのが嘘だと思うくらい、見事な推理力でした。

特に面白かったのが、授業中に突然先生が消えてしまった話です。

楓の友人が勤める小学校で授業中、ある女性教師が行方不明になります。
消えた教師はとても美しく「マドンナ先生」と呼ばれていました。

マドンナ先生はプールの授業を行っていましたが、授業終了間際に「ドボン」とプールに飛び込んだような音を残し、消えてしまいます。
楓の友人含め他の教師たちは学校や町内を探し回りましたが、誰も彼女を見た人はいません。
一体、マドンナ先生はどこに行ってしまったのでしょうか?

この話を読んだ時、最初は「目撃証言がないなら校内で殺されてしまったのでは?」と思いました。
祖父も楓の話を聞き、最初は「マドンナ先生は殺されたのだ」と話していましたが、途中で違う物語を話し始めます。
祖父が語る真実は意外で、でもほっこりとした気持ちになる結末でした。

この小説は祖父の推理力が見物ですが、祖父と楓との会話も素敵です。
お互いを大切に思う気持ちがよく伝わり、そして、祖父が物語を話す時、楓と同じようにワクワクします。

祖父がどのような物語を紡ぐのか?
気になる方は、ご自身の目で確かめてみてください。




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