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万事快調〈オール・グリーンズ〉【JKが○○で一攫千金!?】

青春小説はお好きですか?

大人からすると、透き通っていて、純情で、でも甘酸っぱくも苦くもある"青春"という舞台で、学生たちが事件にあったり、恋に落ちたりする青春小説。

読むと、
「あの頃に戻りたいなあ」
「自分もこういう学生生活を送ってみたかった」
「登場人物たちには大人になってもこの時のことを忘れないでほしいなあ」

など、爽やかな読後感にしてくれるものが多いですよね。

今回は『万事快調〈オール・グリーンズ〉』という女子高生が主役の青春小説をご紹介します。

ここまで語ってきて何ですが、爽やか、純情、甘酸っぱいとはかけ離れた、口が悪すぎる女子高生が登場する"過激派"の青春小説です。




○著者

波木 銅
弱冠21歳の現役大学生!!(当時)

○ジャンル

青春小説
松本清張賞受賞作

○あらすじ

北関東の工業高校に通う女子高生の朴秀美。
何にもない文字通り"クソ田舎"の村や、自らの将来が見えず自他ともに認める"底辺"工業高校に閉塞感や嫌気が募る毎日。

そんな朴はある時、この絶望的な状況から切り抜けることのできるアイデアを思いつく。

何と、学校の屋上で大麻(マリファナ)を育て、売りさばくという"大麻ビジネス"だった……

○感想

【〇〇すぎる】

・まず、題材がヤバすぎる(笑)

・登場人物がとんでもない人が多く、みんな口が悪すぎる

(スクールカースト上位層を見ながら)
「高校での人間関係なんて卒業したら無意味なんだから、のちのちああいうヤツらから落ちぶれてくわけ。楽しみー。早く死にゃあいいのに」

(中島みゆきの「ファイト!」の歌詞『闘う君の唄を、闘わない奴等が笑うだろう、ファイト!』を引用する校長に対し)
「中島みゆきの浅薄な引用ほどクソカスなものはないね。つーかお前らは、『出てくならお前の身内も住めんようにしちゃる』って言う側のヤツだろ」

なかなか刺激的な悪口である。

ただ、1つ目のように気持ちが良いほど切れ味の良い悪口もあれば、2つ目のように下手したら知的センスを感じさせる悪口もある。

このように、登場人物たちが多種多様な悪口を繰り広げるので会話文がとにかく面白い。


また、主人公が自分の住む北関東に対する説明もなかなか。

「この地域ではまだスタバが物珍しいもののひとつなのだ。北関東、とくに茨城の北部はまだ文明が未開であり、火が発明されたのも去年のことだ」

どこからツッコんだらいいんだ(笑)
北関東(茨城県)生まれの著者だからこそ、書いても許される説明文である。


ヒップホップ、映画、漫画、小説などのセリフ等が多く引用されており、このようなカルチャーが好きな方にとってはたまらないと思う。

・タッチはヤバい雰囲気で坦々と書かれているものの、家庭内暴力や性犯罪なども扱われていて、それらの渦中の人たちの生活やリアルな感じが読み取れる。

ある意味たくましいというか、何があっても生きていけそうで、ちょっとだけ羨ましい。そういう意味では、青春小説で見られる読後感の主人公たちへの憧れという点は外していない。

・終わり方が特徴的すぎて、「思わず何やそれ(笑)」と笑ってしまった。

・生きていてれば、とんでもないことや、まずいこと、不愉快なことは少なからず発生するが、とりあえず「万事快調!」と親指を立てたくなる。


以上です!

この本は、YouTubeやSNSで結構見たことがあり、以前から気になっていましたが大当たりでした!
また、表紙の緑のジャケットもなかなか格好良いです。(大麻(マリファナ)なんですけどね)

皆さんもぜひ読んでみてください!
万事快調!

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