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コヒブレ16回目:国家公務員(キャリア官僚)のお仕事Part3
前回15回目に続き、Part3です。
今回は、中途で霞ヶ関の国家公務員を目指す方に向けて、霞ヶ関の雰囲気をお伝えしたいと思います。
桐島が官僚を目指したきっかけ
それでは、今更ですが、私が官僚を目指したきっかけをお伝えします。
私は、1年浪人して、東京都内の有名私立(経済学部)に1年間通っていました。
そこから、京都の大学に入学しました。
そのため、実質的に2浪という状態で大学生活をおくりました(当時は2浪だと就職が不利という都市伝説もあり)就職活動を、1発で終わらせたいとかなり真剣に考えていました。
2009年にリーマンショックが起き、学生の就職難が訪れていました。
経済が振るわず、その余波は京都にも押し寄せていて、先輩たちの就職が苦戦している様子が目に見えてわかりました。
このような時代背景のなか、自分は何がしたいのか、真剣に日々悩みました。
そして、下宿先から大学に行かず、かわりに岡崎の平安神宮近くの京都府立図書館の2階のDVDコーナーに行き、NHKの「プロフェッショナル仕事の流儀」を見続けました。
そして、多くのプロフェッショナルの方を自己投影してみると、将来的には、ドラゴン桜のモデルになった予備校英語教師の竹岡広信先生や、京都市立堀川高校校長の荒瀬克己先生のように、若い人に希望と動機を与えるような先生になりたいと強く感じました。
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しかし、先生という職業をよくよく調べてみると、厳しいことが判明しました。
予備校教師は、実力主義で、待遇があまり良くない。学校の先生は、あまりに拘束時間が長く、自分が成長する機会に乏しかったのです。
よくよく考えてみると、私は、京都でボランティアガイドサークル(Good Samaritan Club)に所属し、外国人に対するガイドをしていたため、日本国内にとどまらず、いつか海外で勉強してみたい、という夢がありました。
そのため、大学を卒業して、すぐに教師になることは、賢い選択ではなく、海外に留学できる機会がある職場を希望しました。
そこで、色々と調べてみると、魅力的な職業がありました♪
「いつか海外で学んでみたい」そんな望みをかなえてくれる選択肢として私の目の前に現れたのは、そう、「国家公務員」でした。
よくよく調べてみると、国家公務員という職は、ある程度の期間働くと、人事院による「行政官長期在外研究員制度」(もちろん、中途採用の方にも機会があります)というものがあるのです。
堅苦しそうですが、要するに、政府がお金を出してくれて、2年間海外の大学院に派遣してくれるという仕組みでした。
また、国家公務員の仕事自体も世界を股にかける国際的なルールメイキングができる非常に魅力的なものであるとわかりました。
大学では国際経済学を学んでいましたし、将来、(Good Samaritan Clubの影響もあり)日本と世界の架け橋になるような仕事をしたいと思っていた私にとっては、「国家公務員」は、目指すべき目標になりました。
そして、それなりに勉強をして、それなりに難易度が高かった国家1種試験を経済職区分で受験、合格して、倍率が高かった官庁訪問も無事にクリアして、希望通りの省庁に入省しました。
下記も参照ください♪
役所に生息する人たち
役所に入ってみると、国1区分の人の80%以上は、東大卒業生でした。そのため、東大をはじめ、出身大学や学歴が全く意味をなさない世界でした。
(1960年代、70年代の東大生は霞ヶ関に行くか、鉄鋼会社に行くのが主流だったという事情もあります)
それよりも、圧倒的な知識、トーク力、体力を備えた人たちばかりで驚きました。魅力的で尊敬できる上司、同僚が沢山いて、コンプレックスを抱えたのも事実です!
(確かに、面接時に体力にどのぐらい自信があるかという質問がありましたし、官庁訪問も朝8時~夜11時ぐらいまで拘束された記憶があります)
2021年頃、パナソニックから出向していた女性が、「社会人になってから、周りに東大出身の方がこんな多い環境で働いたことがありませんでした。みんな東大出身なので驚きました」と言っていました。
省内では、どこの大学出身かなんて、話題にもならないので、私にとって、このコメントは新鮮でした。
※なお、私は東大出身ではなくて良かったと思っています
私が所属している役所は東大卒比率が高いですが、もちろん、比率が低い省庁もあります!
参考までに1992年度(入省32年目で現在の局長より2、3年下の世代)の東大卒数は以下です。
5大省庁(警察庁、大蔵省、通商産業省、自治省)の比率が圧倒的に大きいことがわかります。
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東大生が減っている!?
最近、東大生が官僚にならなくなったことがニュースになっています。
正直、あまり価値のないニュースだと思います。
いままで、官僚にあまりに東大卒が多すぎたため、長らく「多様化!」がかけ声になっていました。
しかも、東大卒といっても、文系も理系も、学卒も修士卒も博士号卒もいるので、私の組織でも、だいぶ多様性がありました。
東大生と一括りにしても意味がないのです。
しかも、さすが、国内トップ大学ということで、航空宇宙の修士の人、社会基盤の博士の人、司法試験に合格した人など、大学で学んだことを、仕事にも活用しようというマインドを持った、まじめで頭の良い人が多いのは事実です。
東大生が減ったと言われても、
2023年の総合職試験(春試験分)の出身大学別合格者数をよく見ると、結局、未だに東大卒の受験者数が1位であることに代わりはありません。
東京大学193名、京都大学118名、北海道大学97名、早稲田大学96名、立命館大学78名、東北大学70名、中央大学68名、岡山大学55名、九州大学51名、慶應大学51名、広島大学50名、明治大学49名、大阪大学48名、千葉大学47名、東京工業大学46名、筑波大学41名、他
私が試験を受けた10年以上前は、国1(いまの総合職)は東大、京大、阪大、早稲田、慶應、その他旧帝大しか受験しないもの、という雰囲気がありました。
しかし、いまでは、あらゆる大学の方がチャレンジ出来る雰囲気になり、門戸が開かれたという点で、良い兆しだと思います(特に、立命館は凄いですね、10年前は考えられませんでした。私より上の世代で、立命館出身の総合職は1人もいません!)
公務員の人気がなくなっている!?
1989年(平成元年)から、2023年までの国家公務員試験総合職(1種)の申込者数の変遷をグラフにしました。
1996年に45,254人でピークを迎えた後は、減少傾向です。
時代によって国家公務員人気は、上下することがわかります。
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このグラフを加工すると、よくメディアで取り上げられる最近10年の変化になります。ここ12年でも、試験申込者数は27,567人(2011年)→18,386人(2023年)と、3分の2になっています。
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霞ヶ関はブラック?!
2015年12月に電通に勤務していた女性従業員が自殺をしました。
その後、矢継ぎ早に①若者雇用促進法、②働き方改革関連法、③パワーハラスメント防止法、の3本の法律が成立しました。
これにより、民間企業での働き方は、急激に変化しました(あの戦略コンサルでさえも!)。
詳細を知りたい方は、以下を参照下さい。
さて、霞ヶ関の働き方はどうなのでしょうか?
厚労省をお辞めになって独立された千正さんが、2020年11月に「ブラック霞ヶ関」を出版し、霞ヶ関の労働環境の実態が世の中に広く知られるようになりました。
1官僚として、本当に感謝しています♪( ´▽`)
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そのため、徐々にではありますが、働き方は改善されています。
私の勤め先では、一部の課室にフリーアドレス制を導入していますし、ノートPCも軽く、持ち運び自由なので、職場環境は改善しています。
残るは最後の砦ですが、霞ヶ関の外部要因である、議員による国会の質問通告の時間を早めること、質問主意書の数の制限が実現すれば、国家公務員の働き方は、一気に改善されることになります。
※昔は、国会の質問が出るまで、国会待機といって、全課室に文字通り、「待機」命令がかかり、家に帰ることができませんでした。しかし、今ではPCを家に持ち帰って、仮に質問があたってしまっても、家で作業できるようになりました(もちろん、事前に大量に質問が当たると予想されている課室は当然、帰れません!)
国家公務員の採用増の流れ
最近、以下のニュースがありました。
国家公務員の定員、来年度100人増…国会答弁作成などの超過勤務の緩和に本腰
2023/12/30 17:07
政府は2024年度に国家公務員の定員を100人増やし、超過勤務の緩和に本腰を入れる。内閣人事局によると、残業対策を目的とした定員増は初めて。国家公務員離れの一因とされる長時間労働の抑制につなげたい考えだ。
定員増は、国土交通省の17人が最も多く、法務省10人、財務省と経済産業省の各8人が続く。28年度までの時限的な措置とし、デジタル化による業務の効率化や国会業務の状況などを踏まえ、29年度以降の対応は改めて検討する。
人事院の調査では、21年度に超過勤務の上限を超えて働いた国家公務員の割合は9.1%に上った。19年度に調査を開始して以来、最も高い水準となっている。
最も重い負担になっているのは国会業務だ。与野党の議員が政府に対し、国会での質問内容を事前に伝える「質問通告」が遅く、答弁の作成作業が委員会の開かれる当日未明まで及ぶことは珍しくない。
国家公務員のうち、「キャリア官僚」と呼ばれる総合職の春の試験では、申込者数が23年度に過去2番目の少なさとなった。中途退職者も増えており、国家公務員離れの歯止め策は喫緊の課題になっている。
このニュースだけでは、100人増のインパクトが分かりません。
そのため、1989年(平成元年)から2022年までの総合職の採用者数の変遷をグラフにしました。
ピークは、1992年の854人、ボトムは2012年の389人です。
2012年は、2009年8月30日に政権を取った民主党が、事業仕分けや公務員削減で、鉈を振るった年でした。
そのため、2011年549人→2012年389人と激減しました。
一般職も同様で、2011年1,719人→2012年1,364人となりました。
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しかし、現在では、総合職の新規採用数は、以下のグラフのように2012年以降、増加傾向にあります。一般職も2012年1,364人→2013年2,728人→2021年3,446人と増加傾向にあります。
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これらの流れを見ると、国家公務員としての働き方は、少しずつ改善しています。
他方、戦略コンサルと同様、改善のしわ寄せが、管理職に寄る現象は、霞が関でも見られます。
いままで、中途採用がほとんどありませんでしたが、門を開き始めたことから、霞が関も、悩みながら、改善しているといえます。
続きは、Part4にて
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