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イノベーション・オブ・ライフを再読する⑨信頼とは新規事業なのかも


クレイトン・クリステンセンさん「イノベーション・オブ・ライフ」を再読している。第10講「この一度だけ……」までを振り返る。

本講はなかなかアクロバティック。仕事上の不正や不倫などの悪徳がなぜ許されないのかを、「限界費用と総費用」の理論で説明している。

限界費用と総費用の理論は、目先の費用(限界費用) を最も優先すると、結果的に新しい事業が育たず、会社そのものが衰退して莫大なコスト(総費用)を支払うことになるとの皮肉を指摘している。

これと同様に、目先の快楽や利益に目がくらむと、仕事上や私生活の信頼が崩壊し、人生そのものが立ち行かなくなりますよ、ということ。だから、一度の過ちも許されないという強い気持ちで自分を律するべきだ、と。

信頼というのはどちらかというと既存事業の印象があるだけに、若干ねじれた印象もうける。しかしこれは、信頼とは常に新規事業だと考え直すことですっきりする。

たとえば、子育て。パートナーでペアで生きることが既存事業だとすれば、それに固執してはうまく子育てが回っていかない。あるいは子どもが少年期、思春期になれば、それもまたやるべきことが変わる。

信頼というのは、押し寄せる波に次々と対応すること。そう考えると、限界費用ではなく、総費用を支払わされるリスクをいつでも警戒するべきなんだろう。納得できる。

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