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読んだ本たち①ーそもそもを問う話
最近読んだ本たちをまとめてます。「未来」とか「幸せ」とか「自分」とか、「そもそもなんだっけ」を問う内容が共通しました。
①「さよなら未来」(若林恵さん、岩波書店)
WIRED元編集長の若林恵さんのエッセイなどを、2010年分から集めたクロニクル。「未来に期待するより、未来に驚かされる方が面白い」というメッセージが根幹だと思います。「AIが仕事を奪う」とか「これからの未来はこうだ」とか予想するばっかりじゃなくて、自分を驚かしにくる未来と組み手ができるよう、ちゃんと今や過去に目を向けてみようという気持ちになります。ぐっと来たフレーズはこれ。
未来ーーあるいは、ここでは人生って言ってもいいんだけどーーにやみくもに期待し続けることから脱けだせなかった、ヒトはいつまで経っても未来というものの奴隷なんだというのが、その本意だと思う。そう考えると、「いつも人生に驚かせていたい」っていうのは、まさにそこからの脱却を語ったことばなんだよね。めちゃめちゃ感動した。(p510)
②「脱北者たち 北朝鮮から亡命、ビジネスで大成功、奇跡の物語」(申美花さん、駒草出版)
タイトル通りのインタビュー集。共産主義を骨の髄まで叩き込まれても、そこから資本主義をハックして、成功できるんだなと驚きます。食品小売店を創業したキム・スジンさんの場合、鳴かず飛ばずの店を盛り上げるために、とにかく通りに立って挨拶をしまくった。北朝鮮で培った懸命さ、人への誠実さを、韓国でもどストレートに表現したことが突破口になったというのが考えさせられました。
③「接触」(クレア・ノースさん、角川文庫)
人に触れるとその人格、身体を乗っ取れる「ゴースト」を主人公にしたSF小説。「インセプション」とかが好きな人は絶対にはまると思います。女性にも男性にもなれる、マリリン・モンローにもホームレスにもなれるゴーストにとって、自分って何?人生って何?というのが根っこのテーマで面白い。ぐっときたフレーズはこれ。
「物語よ。人の人生はすべて物語でしかない。他人が語る物語でしかない。私の人生をふくめて。物語は私たちに残せるたったひとつの軌跡」(p273)
④「データの見えざる手」(矢野和男さん、草思社文庫)
ウェアラブル端末で集めたビックデータで「ハピネス」や「生産性」を可視化できるというお話。たとえば会話が盛り上がっていれば、体の動きが活発になる。つまり行動量によって「会話の盛り上がり度」を定量化できる。「幸せはそれぞれの心の問題」というのを「社会の問題」に拡張していける可能性を感じる一冊でした。データサイエンティストとかデータアナリストとかに関心がある人にはぴったりな一冊だと思います。
書影の画像が大きすぎて入れられなかったので、次回はもう少し工夫したい次第。「さよなら未来」ははてなブログで詳しく感想を書いています。
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