イノベーション・オブ・ライフを再読する③衛生要因と動機付け要因
クレイトン・クリステンセンさん「イノベーション・オブ・ライフ」を再読している。45ページ、第1部「幸せなキャリアを歩む」第2講「わたしたちを動かすもの」までをまとめる。
タイトル通り、第2講ではわたしたちを動かすもの、すなわちインセンティブやモチベーションと呼ばれるものに関する理論が示される。
ポイントは、インセンティブ理論とモチベーション理論が全く別物だということだ。
インセンティブ理論は一般的にイメージしやすく、固定観念になっていると言っても良い。仕事の生産性や意欲を高めるには、インセンティブ(誘引要因)を高めればよい。例えば報酬がその代表である。
一方でモチベーション理論は「二要因理論」とも呼ばれる。つまり、インセンティブとモチベーションは違うのだという話。クリステンセンさんは、二要因理論の方が人間の実態に則していると考える。
二要因理論において、インセンティブは「衛生要因」、モチベーションは「動機づけ要因」と類型化される。
衛生要因は、「不満を軽減する要素」だ。それがあると精神衛生的によいと考えれば理解しやすい。それは快適なオフィス環境や、問題のない上司が含まれる。
対して「動機づけ要因」は、人間を真に活性化させる要素。モチベーションの源泉だ。それは仕事のやりがいや、深みであり、あればあるほど「満足度が高まる」。
ポイントは、報酬や役職は衛生要因に分類されるということ。つまり、表面的な名声をいくら求めても、不満がなくなるだけで満足度は高まらない。
この考え方は、私生活にも応用できそうだ。あるものごとは衛生要因にしかすぎず、一方で思わぬ要素が動機づけ要因かもしれない。パートナーや家族と、衛生要因/動機づけ要因の擦り合わせを行うことも大切だろう。
自分は衛生要因に振り回されてはいないか?ときに立ち止まるべき大切な問いだ。