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AUT VIAM INVENIAM AUT FACIAMーミニ読書感想『世界はラテン語でできている』(ラテン語さん)
ラテン語さんの『世界はラテン語でできている』(2024年1月15日初版発行、SB新書)が、シンプルに面白かったです。世界史、政治、宗教、エンタメ…さまざまな分野に今も根付き、数々の言葉の語源になっているラテン語。その魅力を次々披露してくれる、豆知識・トリビアの本です。気軽に読めて、確実に「へ〜」と驚ける。
特に興味深かったのは、世界史のさまざまな場面で登場するラテン語でした。世界史好きには刺さる話が多い。たとえば、リンカーンを暗殺したブースは、その瞬間にラテン語の格言を叫んだと言います。
さて、ここで出てくるのがラテン語です。銃撃直前にブースが、ラテン語で「暴君には常にかくのごとく(Sic semper tyrannis)」と叫んだと伝えられています。
かくのごとくとは、即ち「抹殺されるべきだ」「排除されるべきだ」ということを指している。ラテン語のフレーズを引用することで、歴史は繰り返されるのだということを訴えたいわけですね。
あるいは現代においても、ラテン語や、それが話されていたローマ時代の人物が引き合いに出される。人騒がせなリーダーとして名を馳せた英国のボリス・ジョンソン氏は、政治的指導者として何度も担がれながらも任期終了後はさっさと引退して畑仕事に戻ったキンキンナートゥスに自分の身を重ねたと言います。
また、イギリスのボリス・ジョンソン元首相も、辞任する際のスピーチで「私はキンキンナートゥスのように、畑に戻る」と述べていました。
もちろん、そんなローマ人を知らなくても、文脈からなんとなく想像はつく。でもこのトリビアを知っていると、歴史的コンテストが上塗りされて、より味わい深いものになる。
英語のかなりの部分の語源もラテン語です。たとえば、ハガレンでだいぶ馴染んだであろうalchemy(錬金術)もそうで、こうしたalが付く言葉はイスラム文化も反映しているといいます。ローマ文化はイスラムを経由して再び欧州に輸入された経緯からです。世界史って長くて深い。
タイトルに選んだ「AUT VIAM INVENIAM AUT FACIAM」もラテン語。慶應義塾の系列校校舎に掲げられていると言います。意味は「私は道を発見するだろう、でなければ作るだろう」。カッコいいですね。
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