映画『燃ゆる女の肖像』に沼った話。
久しぶりに映画を観たくなった。
ほっこりしたり、ぐふふと笑ったり、スカッとしたり、そういうんじゃない。
観たあとに、深く沼に沈んでしまうような映画を観たかった。
ということでアマプラを物色。
AIがオススメしてくれたのがこちら。
カンヌ国際映画祭で話題になったらしいので、そんなにマイナーな映画ではないのかな?
私は知らなかったけれども、シャーリーズ・セロンが4回観たというほど絶賛していたのだから間違いない。
フランスの映画監督がとった作品で、18世紀のブルターニュの孤島が舞台になっている。
登場人物は画家のマリアンヌ。
ミラノの貴族との結婚を控える娘のエロイーズ。
エロイーズの母親。
館に仕える使用人のソフィー。
ほぼこの4名でストーリーが展開していく。
マリアンヌはエロイーズの母親から娘の縁談用の絵を描いて欲しいと依頼を受け、館のある島へ渡る。
縁談に乗り気ではないエロイーズとともに過ごしていく中で、少しずつ心を開き、語り、笑い合う中で、二人の間に愛が芽生えていく。
という感じのストーリー。
18世紀という現代とは違った時代背景でありながら、女性同士の恋愛を繊細に美しく表現されている。
ちなみに公式サイトはこちら。
まず、飛ぶと予告が流れるのだけど、その音楽が素敵。
グイィィィィィィッと引き込まれるんだよな〜。
作品の中で音楽は2曲しか使われていないから余計に印象的なのかな。
感情の高まりを感じずにはいられないのよね。
で、この映画を観終わって、パッと出てきたことがあって。
あったかもしれない未来、訪れたはずの未来、来なかった未来、来るはずもなかった未来。
この4つの未来は同じ情景だったとしても、その情景に佇む当事者の感情は全く違うものである、ってことなんだけど。
書いてて、ちょっとわかりにくいな。
誰しもが、過去になんか色々あるもんだと思うのだけど。
過去っていうのは、あの時別の道を進んでたら、今はどうしてたかな、みたいな。ちょっと感傷的になってしまうような過去のこと。
その過去「あの時ああして」たら、当時からすると未来である”今”は、あったかもしれないし、訪れたはずだったかもしれないし、来なかったかもしれないし、そもそも来るはずもなかったかもしれない。
この4つの未来である今は、今の自分がどれだけ過去を浄化・消化できているかで、全く違う感情を抱くことになると思うのよね。
やっぱりわかりにくいかな。
ま、いいや。
で、この映画を観て、私の中にある感傷的な過去がまぁきれいに掘り起こされた。
だから、観てる最中はとにかくかき乱されて、息をのんで、胸がわしゃわしゃされて、しんどかった。
だけど、観終わったら全てが浄化されていたというか。
すっと肩の荷が下りた感じだった。
ずっと感傷的な過去だと思っていたけど、実は私の中ではすでに終わらせられていたんだなと。
年齢を重ねたということなんでしょうか。
ずっと抽象的な感じで話を進めてきたけれど、具体的なことはここに残さないでおこう。
もう消化してたからね。
とにかく、この映画は、繊細で、儚くて、強くて、不条理で、ちょっと自由で、芯のある女たちが描かれている。
絶対観た方がいい。
ちなみに、私がぐわっと心持ってかれたシーンは、ソフィーの顔に赤ちゃんの手が触れるところ。
この監督は、すごい。と素直に思ったシーンだった。
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