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恋は何かを教えてくれる

島本理生さん特集第2弾!
今回紹介する本は
「わたしたちは銀のフォークと薬を手にして」
です。

仕事優先で生きてきた知世は、30代で独身。
月に2回ほどデートする仲の椎名さんとは
つかず離れずの関係を続けていた。
ある日、江ノ島にドライブデートに誘われる。
一緒に過ごすうちに知世は

この人にもっとそばにいてほしい。

と思うようになる。
でも、同時に

そんなことを思っても積極的に恋愛を始めるには、30歳という年齢はいささか現実を中途半端に知りすぎている。

とも。
でも、椎名さんには簡単には付き合えない理由があった。
それは椎名さんが病気にかかっていることだった。
でも、知世は

ゆっくり会いながら考えよう。


そこから二人はゆっくり大切にお互いを知り、
かけがえのない存在になっていく。

いつもなら通り過ぎてしまうようなことでも、
その人の時には
ふっといつもと違うことをしてしまう。
そこからなにかが始まっていく。

健康だから。
病気じゃないから。
それだけで人は体をびっくりするほど粗雑に扱う。

本当にそうだと思った。
愛する人もそうだが、自分に対してもそうなのだ。
だからこそ、目の前の当たり前を当たり前じゃないと思ってる人は、
本当に素晴らしいと思う。
そんな人に愛し、愛されてみたい。
知世みたいに。

「他にもいい人いるって」
「いないよ」
知世は静かな声で答えた。
「なに一つ特別じゃない私の話を
いつまでも飽きずに聞いてくれて、
真剣に心配したり、
絶対に傷つける言葉を使わずにアドバイスしてくれたり。
旅行すれば、楽しくて、なにを食べても二人一緒なら美味しい。
初めてだったよ。そんな人」

この本を読んで、人と恋をすることの大切さを思い出した。
恋だけが教えてくれる何かがある。
そして、恋だけが救える自分がいることも。
けっしてそれだけがすべてではない。
でも、心から想い、想われること。
これからでもできるだろうか。
きっとできる。
大人で恋を忘れてしまったあなたに読んでほしい。
そんな一冊。

Written by なおこ
 
アラフォー女


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