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お金がすべてじゃないってあるから言える言葉だと思うのは、わたしだけだろうか

金は権力で、貧乏は暴力だよ

黄色い家 川上未映子

今回の本はなんだか読むのが、正直しんどかった。
分厚いとかではなく、考えさせられる本だった。
家庭環境に恵まれなかった花。
他の家庭とは違うことを大きくなるにつれて、
理解するもそこに対して、なにか思うわけでもなく、
母親となんとなく生活をしていた。
そして、ある日黄美子に出会う。
そこから花の人生が大きく変化することになる。

自分が家を出ることで、なんだか母親を置き去りにするような、
自分だけがあの暮らしから逃げ出そうとしているんじゃないかとか、
そんな罪悪感めいた思いにもかられていた。

生まれも育ちも環境を選べない。
幼い頃は、母親が絶対でなにもかもが正しい。
その世界を私も知っている。
幼い頃は、母が絶対でいなくなったらどうしよう。
少しでも愛して欲しくて、なにか一生懸命やっては報告していた。
いつしか無駄だという、
諦めを覚えていくことになるのだが。
傍から見れば、母親が悪い。
でも、子供はどんな母親でも母親で、
訳の分からないことで罪悪感を持ってしまうものなのだ。
それが、なまじ理解力のある脳みそを持ってしまうと。

しあわせな人間っていうのは、たしかにいるんだよ。
でもそれは金があるから、仕事があるから、
幸せなんじゃないよ。
あいつらは、考えないから幸せなんだよ

黄色い家 川上未映子

知らぬが仏とは、よく言ったものだ。
きっとその通りなんだとの思う。
理解できないから、気が付かないから幸せ。
こんなこといっぱいあるんだ。世の中には。
幸せな人間ってなんだろう。
ある程度、鈍感じゃないと
きっと潰れてしまう世の中なんじゃないのか。
考えれちゃう人にとっては、
果てしなく気が付くことが多いから。

だいたいは、調子の問題だよ。
理由とか、本当はどうかとか、そういうの誰もいらないんだよ。
調子に乗ってるやつといると、自分までうまくいってるように感じるだろ、
気分よくなって、ぜんぶうまくいってるように思える。
みんなそれが好きなんだよ。
だから調子に乗ってるやつに、
人も金も、運も集まる。力をもつ。
だからいちばん調子にのってるやつの言うことが、
そのときいちばん正しいってことになるんだ。

黄色い家 川上未映子

感情が揺さぶられる本だった。
少し何かが、違えばこうなったかもしれない。
なんだかあるようなないような不思議な世界。
でも、確かに花は黄美子によって救われたのだ。
その人それぞれで、なにが救いになるかわからない。
私を救ってくれた人も、
どんな別れだったにせよ、確かに救い、幸せを教えてくれた。
今の私がいるのは、間違いなくそのおかげで。
人間は何かを信じたい、救われたい生き物なのだ。

でも、一つ言えるのは、お金がすべてではないが、
お金がないとこの世の中だいたいのことはできないということ。
綺麗事だけでは、生きてはいけない。
でも、綺麗事なしでも生きてはいけない。
考え、自分がいいと思うことを
その瞬間、瞬間で考え、判断しないといけないのだ。
お金がすべてではないって、お金を持ってるからこそ言えるセリフだ。
お金がない人からしたら、お金がすべてなのだ。

この物語を読んで、あなたの心に残った言葉はなんですか?
ぜひ読んでみてください。

Written by なおこ
アラフォー女



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