詩「萬代橋」

高い空に薄い雲がかかり
低く黒いおぼろな雲は風で流れゆく
西の彼方は褐色の太陽の残滓が隙間を埋めて
街灯やビルの、白や橙の光を層状に帯びながら
水面は微細に周期的に震える

こちらとあちらを繋ぐ方法の一つ
地図上に記載される人工物
名と形を持つ境界

向こう岸のホテルから金管楽器の不確かな音色が聞こえて
微かな潮の香りが私を寂しくする

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