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【感想】『シークレット・インベージョン』『SIX HACK』
先日、配信開始したMCUのドラマ『シークレット・インベージョン』を視聴するべくDisney+に再加入した。
マーベル・スタジオの新シリーズ「シークレット・インベージョン」は現代のMCUを舞台にし、ニック・フューリーが、姿を変える「シェイプシフター」スクラル人の一派による地球への極秘侵略計画の存在を知る。フューリーは、エヴェレット・ロス、マリア・ヒル、そして地球で生活を営むスクラル人タロスなどの仲間と合流。彼らは共に、迫り来るスクラル人の侵略を阻止し、人類を救うために時間との闘いに挑む。
日本語での報道が不足しているため、私も把握できていないが、どうやらロシア情勢に大きな動きがあったらしい。そのような状況下で、本作は
MOSCOW
PRESENT DAY
黒い背景に白い文字で「モスクワ 現在」と記された画面で幕を開ける。ロシアが舞台ゆえに緊張感が高まっている。
想像してみろ。情報が信用できない世界を。
難しくないだろ?ニュースがこう言い、ウェブは違う事を言う。
社会は論争で溢れる。
信じられるのは大事な者達だけ。
だがその彼らも彼らではなかったら?
もしも、一番近しい者が、今まで信じてきた相手が、まるで別人だったら?
彼らが人間ですらなかったら?
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先日、大学の講義で『ブレードランナー』を題材に社会学者ジャン・ボードリヤールが提唱した「ハイパーリアル」という概念が紹介された。これはオリジナルと精巧なコピーが区別できない現代社会のような状況を指すものだ。ChatGPTや優れたAIイラストの登場により、一層「ハイパーリアル」な空気感が共有される現代に、シェイプシフターの侵略という陰謀論(現実世界では爬虫類人が有名)的世界観を重ねた『シークレット・インベージョン』は是非リアルタイムで追いたい同時代性のある作品と位置づけられるだろう。そんな本作のオープニング映像がAIを用いて制作されたのは必然的だ。
#シークレット・インベージョン のオープニング。AIジェネレートのオープニング、あらゆる人物に“擬態”できるスクラル人の侵略という、ドラマとの親和性が良すぎる。この使い方はすごい。pic.twitter.com/3D7KgTGP8U
— 萩原幸也 ®️ (@onipro) June 21, 2023
「侵略」「AI」と聞いて想起するのは先日に完結(?)した番組『SIX HACK』だろう。「SIX HACK 検証」(第4話)では『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』における「インターセプター」のようなアイデアが見受けられた。それは、私たちが見ている世界のどこまでが現実で、もしくは虚構なのかという問いである。『攻殻機動隊』では前述の疑念と共に、サイボーグは人間なのかという問題も設定されている。つまり、二重(あるいは幾重も)の虚構性を扱っていると私は解釈した。
そうすると(?)、『シークレット・インベージョン』も第2話以降の展開で「今まで信じてきた相手が、まるで別人だったら?」という認知的な問いの他に、「故郷」を失い原発跡地で生活しながら地球侵略を試みる知的生命体であるスクラル人は人間なのかという問いも併置されると予想する事はそう難しくない。とにかく、このドラマは面白いので是非ご覧になってください。