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人類のこれから
夜の灯りクリニックのヨルです。
今回は三話続いた記事の最終話になります。
まだご覧になっていない方は一話と二話もご覧下さい。「人類は絶滅するのか」「人類は絶滅しないのか」というタイトルで人類絶滅リスクをご紹介しました。
おい、オレの筋肉!!
人類は絶滅するのかい!?
しないのかい!?
どっちなんだい!? ᕦ(ò_óˇ)
今回は俯瞰的な視点で、地球に絶滅しない生物が存在するのかしないのかについて考えてみたいと思います。
絶滅していなかった生物、シーラカンスをご存知ですか。
彼らは現在「生きている化石」と呼ばれています。
シーラカンスは4億年前に誕生した後、6600万年前にチクシュルーブ衝突体が地球に衝突した時に非鳥類型恐竜と一緒に絶滅したと考えられていました。
しかし、1938年に南アフリカのカルムナ川で現生種が発見されました。発見したラティマーさんとカルムナ川にちなみ学名はラティメリア・カルムナエです。
シーラカンスは不思議なロマンを秘めた生物です。
4億年前の古生代を生きた古代種。
白亜期末の隕石衝突を生き延びた大型生物。
筋肉質のヒレや原始的な肺をもつ人類の共通祖先に近い魚類。
100~700mの深海に生息し、4億年前から形態を変えていない深海魚。
こういうミステリアスな要素がシーラカンスの魅力なのかもしれません。
シーラカンスの遺伝子を研究することによって、絶滅しない生物の秘密を解明することはできないでしょうか。シーラカンスが4億年を生きたのならば、人類が4億年を生きることも可能なはずです。なにしろ人類はこれまでにも不可能だと思われることを知恵を使って成し遂げてきた生物ですから。希望が見えてきた気がしませんか。
残念ながらそうとは言いきれません。そもそもシーラカンスが4億年を生きたという表現に誇張があります。すみません。
現生種のシーラカンスは南アフリカのラティメリア・カルムナエと、インドネシアのラティメリア・メナドエンシスの二種が確認されています。
ラティメリアたちは私たちと同じ時間を生きる現代魚です。生殖可能になるのは10~20年、寿命は100年と言われていますから、ホモ・サピエンスの生活史と似ています。彼らも私たちと同じようにミレニアル世代やZ世代であったりしますが、明治を知っているラティメリアは少ないでしょう。
人類は4億年前には存在していませんでした。それと同じくラティメリアたちも4億年前には存在していませんでした。彼らに4億年を生きた気持ちはいかがですかと聞いても怪訝な顔をして通り過ぎるだけでしょう。
それではなぜ「生きている化石」と言われているのでしょうか。たまたま祖先と骨格が似ているからです。ラティメリアは深海に生息していますから、環境が安定しており、進化の速度が遅いことが形態が変化しないことに一役買っています。
逆に言えば、形態が似ているというだけで、古代のシーラカンスと現代のシーラカンスは異なる生物種です。
古代のシーラカンスは淡水や浅海に生息し、現代のシーラカンスは深海に生息しています。隕石衝突による環境変化を回避するために、白亜紀末のシーラカンスは深海に逃げ延びたのでしょう。素晴らしい適応能力ですが、もしも現代のシーラカンスがタイムスリップして古代のシーラカンスと出会ったとしても、交雑して子孫を残すことは不可能です。彼らは例えばそれぞれ地球と火星で進化した異なる生物なのです。
私たち、ホモ・サピエンスはどうでしょうか。
ホモ・サピエンスが生活する地上の文明社会はシーラカンスが生活する深海のように安定した環境ではありません。このため、ホモ・サピエンスの進化速度はシーラカンスよりも遥かに速くならざるを得ません。
仮にホモ・サピエンスの子孫が4億年生きたとして、現代のホモ・サピエンスとホモ・サピエンスの子孫が互いに交雑することは不可能です。私たちと彼らは例えばそれぞれ地上と深海で進化した異なる生物なのです。
4億年どころか、ヒト属の生物種でもっとも長く繁栄したホモ・エレクトスでさえ、200万年を生きた後、次のヒト属に生態学的ニッチを譲り、絶滅しました。
ヒト属の進化速度を考えれば、200万年を待たずにホモ・サピエンスは新しい生物種に進化していると考えるべきです。
とはいえ、200万年後、バイオテクノロジーによって現代のホモ・サピエンスが復元され、他のヒト属のご先祖たちと一緒に保護されている未来があるかもしれません。我々だって、ホモ・エレクトスや、ネアンデルタール人に会えるのならば、会ってみたいと思いませんか。彼らは私たちのご先祖なのですから。
人類は絶滅しないのでしょうか。宇宙の大に比べれば、生命も天体も一点の燐火に違いありません。
地球はいつまで生命のゆりかごでいてくれるのでしょうか。地球にも寿命があります。時期の予測誤差はありますが、10億年前後で、全ての生物が地球上から絶滅するというのが科学者の共通認識です。
人類が絶滅せずに生き延びることを望むなら、銀河を越える旅をして、おそらく新しいシステムの生命に保護されて、地球外環境で生活しなければなりません。
故郷の地球にさえ適応できていない我々ですから、地球外環境で生活することは、絶滅を回避することよりも遥かに憂鬱な選択であるのに違いありません。
一点の燐火を絶やさずに銀河を越えて旅をするのは大変な作業です。
しかし、いずれにしてもその作業をするのはホモ・サピエンスではないのでしょう。
ホモ・サピエンスが何かを決断することができた時代はそろそろ終わりに近づいています。あるいは私たちはその最後の世代かもしれません。それは不幸なことかもしれませんし、幸運なことかもしれません。
シーラカンスのように深海に住処を求める人類もいるでしょう。私たちの深海はどこに広がっているのでしょうか。私はこれからそれを考えていこうと思います。
パワー!