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ff7、ロールプレイングゲームの魅力と無常

前回の自分の記事を読んで誤解する人がいたら不味いなと思って今日の記事を書き始めた訳だが、正直なところどんな印象を抱いたものだろう。
当たり前の話ではあるのだが、あれはff7の断片にしか言及出来ていないのであるからして、そこは前もって弁解しておきたい。
文章を書き始めて最近思う事、何かの題材を引っ張ってきてそれについて論じる事が多い普段の自身における2000字程度の記事だけではどうしても抜け落ちてしまう部分が存在するのだ。

ff7は、というか最近のロールプレイングゲーム全般において、類稀な異才を持った英雄(主人公)が何かしらの正義感でもって周りを見渡したところ、的確に悪の根源を見つけた為に、拳を握りしめ、果敢に突進して行き、けりを付けるに至る物語とは限らないのである。桃太郎の世界とはちょっと違うのだ。

ドラゴンクエスト1、2、3なんかは典型的桃太郎だと思うが、それでは詰まらないと思ったのだろう。平凡な主人公を採用するようになったのである。例えばff5、例えばマザー2。確か、どちらもある一般市民の生活空間に突如隕石が降ってくる場面から話が始まったのではなかったか。マザー2に至っては最早大人ですらなく子供である。「うわ~、これってなんだろう?」とか言っていて、あーだこーだやっている内にいつの間にか物語に巻き込まれ、気付いたら中心人物へと担がれてしまっていたという感じなのだ。物語と言ったのは後付けの論理、プレイヤーによる外側から見た他人行儀な意見に過ぎない。

カチッとした桃太郎的物語の型(運命)からはみ出して、流れ行く人生の不思議について言及しようといった制作陣の意図を感じるのである。ff6はさらに進んで、誰しもが主人公といった方式を採用した。一応、作中エピソードの充実している人物が4, 5人存在しているので、彼彼女達が中心の話なんだとは言えるだろう。しかし、
「誰にも人生の不思議はあるし、突然それはやってくる」
と仄めかされているのだ。

そこで次に考え出されたのは、何に対しても「興味ないね」と言ってはねつけてしまうような人間的未熟者を物語の主人公に持ってくる事。ff7である。これが人間臭くて良いなと思った訳で、別に捻くれ者や人格破綻者が好きな訳ではない。しかし、考えようによっては誰しもが「興味ないね」といった分野をどうしても抱えているだろうと、考え至ればある意味共感も出来るというものだ。英雄や無色透明な無個性人物、或いは子供なんかよりは案外感情移入が出来るかもしれない。

しかも、主人公がものすごく脆い。新世紀エヴァンゲリオンみたく「逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ」とまで言わせてしまうと流石にやり過ぎだと僕は思うのだが、魔が差してしまってやらかしてしまう位の弱さだったら誰でも心当たりがあるだろう。ちょっと魔が差した瞬間につけいられ敵に操られてしまうというのはff4においても検証済みではあったのだが、これがウケた。ff4のカインというキャラクターは、主人公の親友でありながら、片思いの女性を主人公にとられてしまったといった複雑な関係。プレイヤーの側からすると、仲間に加わっていてくれさえすれば相当に高戦力な心強い味方であるのだが、如何せん戦闘に参加して働いてくれる期間がかなり短い。早々仲間になったと思ったら、ふとした拍子に離れ離れになり、再び現れた頃には主人公の恋人であり片思いのその人を拉致してしまっていて尚且つ敵陣の一角に与した旨が明らかにされるのである。
奇跡的に洗脳が解かれるも、再び敵の甘言に靡いてしまう。三度目の正直で戻ってきて最後の戦いに参戦してくれるのはありがたいのだが、「こいつしょうがねえな」との思いはプレイヤーなら誰しも抱いた事だろう。
再度のマインドコントロールによって2回目裏切る直前に放たれた片言セリフ
「だいじょうぶだ・・・おれはしょうきにもどった!」
は界隈であまりに有名。

嫉妬や羨望でここまでやらないまでも、なきにしもあらずな面は内心皆んな知っているからこそff4のカインは人気を維持しているのだろう。これに味を占めたのだろうか。今度は主人公に対して適用したのである。そして裏切りに加え、記憶改ざん型嘘つきといった特徴を備えた人物として設定された。本人は心底架空の人物に浸っているので、嘘はまあバレない。ただし、幼馴染みの女の子だけは密かに知っていてその様子を黙って見ているのである。「この人大丈夫かしら」といった調子で。

プレイヤーは女の子の不自然な様子を見、「これは何かあるな」と思ってネタバラシを楽しみにするのである。ネタバラシのタイミングは、主人公にとって恥辱を受け入れる瞬間でありそれは唐突にもたらされる。人目には些細な事なのだが、プライドの高い彼にとっては耐え難かったのだろう。ff7のモチーフ「自分探し」は、自身の欠点を飲み込みそれを乗り越えるといった形を取ることによって解決したとしたのだ。ちょっと物足りない気もするが、万人向けテレビゲームでは今迄経験のなかった、人生における1テーマを表現出来たのだから悪くはなかったのではないか。女の子の意味ありげな態度で「こいつは危ない」と匂わせつつ引っ張ったやり方はサスペンスに通じるし、カインとは違って身近に親身な理解者を配置したのは見てて安心する上、恋愛要素も回収しているのである。

そんな不安定主人公が、“星の危機”を救うなんて普通に考えれば難しいのだが、本人そこまでやる気はなくとも他の皆んなが何もしないので気付いたら少しずつ前へと背中を押されて弾き出されてしまい、気付けば最前線へと立たされてしまった。以下の画像はそんな様子を表している気がするのである。

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