【マーケティングとブランディングの違いって何?】マーケターの役割とは何か?

本記事の要約
・マーケターが行う大きな役割は「マーケティング」と「ブランディング」
・マーケティングとは「市場を創る」こと
・ブランディングとは「選好理由を創る」こと
・もっと上位概念の「事業参入領域を決める」ことは経営の仕事

企業でマーケティングを担う「マーケター」

マーケターの仕事としてパッと思い浮かぶのが「商品企画とそのための市場調査」「CMなど販促活動の取り仕切り」「CMプランナーと協力しながらCMを創る」など、商品作りと広告宣伝を取り仕切っていくイメージと思います。

実は、このマーケターの役割をまとめると、「マーケティング」と「ブランディング」に切り分けられるのです。

そもそもこの2つの要素、素人目に見ると同じように感じられますが、実は明確に定義ができるそう。定義としては以下にまとめられます。

マーケティングとは
属性の順位を転換して「勝てる」市場を作ること=ニーズを作ること

ブランディングとは
ブランドの意味の確立=ベネフィットと「選好理由」を作ること

少しわかりづらいですね。次に具体的な事例で考えてみます。

マーケティングとは何か?

マーケティングとは先の定義で言うと「新しい課題を見つけて市場を創ること」なので、具体的な事例をいくつか挙げてみましょう。ここでは、「参入市場:過去の市場トレンド→生み出した市場トレンド」の順に整理してみます。

ガム市場 : 虫歯になりにくいガム→虫歯を予防するガム

洗濯洗剤 : 際立つ白さ→除菌抗菌できる

自動車 : スタイリッシュなデートカー→友達みんなで楽しめる使い勝手の良さ

見ていただくと分かる通り、それぞれの市場(ガム市場、洗濯洗剤市場、自動車市場)自体は過去からある市場ですが、それまでのトレンド価値に対し、その時々での消費者トレンドを捉え、それに合わせた新しい価値の提案=新しい市場を作り出していることが分かると思います。

さらに言えば市場を生み出すだけではだめで、その市場の中でNo.1にならなければその生み出した市場は他社のものになってしまいます。だからこそ生み出す市場は自社がNo.1になれる市場でなければなりません。

まとめると、マーケティングの役割とは

顧客の価値変化に寄り添い、No.1市場を作り出すこと

と定義できるでしょう。

ブランディングとは何か?

次に「ブランディング」を見ていきます。

ブランディングとは先の定義で言うと「ベネフィットを提案し、選好する理由を創ること」なので、ここでも具体的な事例をいくつか挙げて考えてみます。ここでも先ほどのマーケティングの例同様に、「参入市場:過去の市場トレンド:生み出した市場トレンド」の順に整理してみます。

ガム市場:キシリトールガムはロッテ

洗濯洗剤:洗うだけでウイルス除去 アタックゼロ

自動車:遊べる軽、スズキ ハスラー

先ほどのマーケティングの中で紹介した通り、生み出した市場は各社のNo.1出なければなりません。ただ、例えNo.1の市場を見出したとしてもターゲット顧客に「うちがNo.1ですよ!」と伝えない限りターゲット顧客には伝わりません。逆に他者が先に「うちこそNo.1ですよ!」と伝えてしまえば、せっかく生み出した市場をそっくりそのまま他社に奪われてしまいます。それでは意味がないですよね。

そこで重要になるのが、顧客が求めるベネフィット(求める価値)に対する「ファーストチョイス」を創りだすブランディング活動です。わかりやすい事例であればTVCMを流したり、広告を出稿したりして「自社がNo.1であること」をターゲット顧客へ伝え、自社商品を選好してもらうための「認知拡大活動」をしていくことです。楽天市場などで「〜ランキングNo.1!」と謳っているのをよく目にしますが、これもその領域でNo.1であることを伝え、選好してもらうための広告活動なんですね。

先に挙げた事例は各社が自社がNo.1であることをターゲット顧客に伝えるための「メッセージ」です。全て、「自社」が「そのターゲット市場」の「No.1の企業及び商品を持っている」ことをメッセージ一言にまとめてターゲット顧客に様々な媒体を通じて伝えています。

ブランディングとは、ただ闇雲にCMを打てば解決できるかと言えば、当然ですがそうではありません。

企業活動の目的は「顧客の獲得」、つまりはお客様に自社の商品を選んで購買、利用いただくことです。そのため「知ってもらう」だけでは意味がなく、「手に取り、購入いただき、利用いただき、愛用(リピート)いただく」ところまで至って初めて成功と言えます。

そのため、ブランディングを効果的に行うためには、

・ターゲット顧客が目にしやすい「広告媒体(TVCMやWeb広告など)」の選択
・ターゲット顧客が共感し選好に至るような「メッセージの検討」
・広告活動の効果測定とそれを受けての修正

などターゲット顧客を愛用に至らしめるために多くの試行錯誤を「与えられた予算に合わせて」実行していく必要があります。

まとめると、ブランディングの役割とは

顧客が求めるベネフィット(求める価値)に対する「ファーストチョイス」を創りだすこと

だと定義できるでしょう。

マーケターの役割とは何か?

ここまでを振り返ると、やはりマーケティングの原点は「参入市場」の特定と言えるのではないでしょうか。

自社がNo.1となれる参入市場を見定め

ターゲット顧客の価値観、トレンド、競合の既存提供価値、ブランディングを特定し

新たな課題に対する商品を創り

ファーストチョイスになれるブランディング施策を展開する

その司令塔になるのがマーケターの役割である、と言えると思います。

投資市場の選定は経営者の仕事

一方、さらにその上位概念である「投資市場」、具体的に言えば家庭用洗剤市場とか軽自動車市場などと言った「商品やサービス提供領域の選定」はマーケターの仕事ではなく「経営者」の仕事、責任になるのだと思います。

場合によっては商品領域の選定上、大きな投資判断が生じることもあり、その場合はマーケターから投資判断に参画することもあるかと思いますが、ここまでみてきた通り、マーケターの主たる役割は参入を決めた投資領域での「マーケティングによる商品市場作りとブランディングによる選好の獲得」。

そのため、投資市場判断とその投資市場における商品市場開発は分けて考える必要がある、というのが私の主張です。

まとめ

今回はマーケターの主たる役割である「マーケティング」と「ブランディング」の違いについて考えてきました。マーケティングとは顧客の価値変化に寄り添い、No.1市場を作り出すことを主たる目的とし、ブランディングとは顧客が求めるベネフィット(求める価値)に対する「ファーストチョイス」を創りだすことを主たる目的とした活動だと言えます。どちらも新商品開発には非常に重要な役割であり、それを担うマーケターとはまさに企業の「ブレーン」と言えるでしょう。

一方、個人的には日本の企業ではマーケターに「投資領域判断」も担わせる傾向があるように感じていますが、これはあくまでも経営の役割です。判断の材料をマーケターと協力して集め、最後は経営陣が直接目で見て、耳で聞いて投資判断をする、この役割分担は忘れてはいけないと思います。

本noteが皆さんのマーケティング理解、新商品開発のきっかけとに役立てば幸いです。

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参考文献


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