地震で道路バキバキの中安易な気持ちで巨大カメ衝動買いした馬鹿ヤク中🐢
2024年は変化の年だった。
元旦に起きた能登半島地震で、北陸在住のシャブ家の周りもかなりの被害が出た。
シャブ家は幸いデカめのヒビ数本で大丈夫だったが、近所の駅の階段は半端なく損壊してニュースに取り上げられたし、道路は辺り一面バキバキ。マンホールから水が吹き出していた。
ガス漏れ騒ぎなのか消防車が昼夜問わず出動し、またあの揺れがくると思うと怖くて眠れず、正月休みはかなり精神的にやられてしまった。
そんな中、嬉しい変化もあった。数年ぶりにペットを飼ったのだ。
ハムスターの源次郎が亡くなって早5年、毎日過酷な仕事に追われて、趣味も生きがいも見つけられなかったシャブはこの頃が人生で一番薬物に依存していた。
2023年12月31日
いくらなんでも薬のやりすぎだし、なんでもいいから癒しが欲しい。しかしハムスターのようなすぐに死ぬ動物ではペットロスですぐヤク中に逆戻りだと思ったシャブは足りない頭で必死に次のペットを考えていた。
長生きしてくれて、親が許してくれそうで、丈夫なやつ。
ふと、近所の亀専門店のWebサイトが目に入った。
〝ケヅメリクガメ多甲板のためお値下げ〟
こいついいじゃん。リクガメに興味はなかったが、値段的にも条件的にもかなり良かった。
多甲板ってのは、孵卵中に胚の発育に何かしらの影響があると起こるらしい。要は奇形。
シャブも産まれてすぐ胆道に問題があって手術したと母からよく聞かされた。そのせいもあってかこいつに謎のシンパシーを感じていた。
明日は元旦だし酒の入った親に頼めば亀1匹ぐらい買ってきても怒らないだろうと思ったシャブは紅白を見ながらそればかり考えていた。
この写真を撮った数秒後脱糞する。
2024年1月1日 7時半
前日遅く寝た割には早起きした事を覚えている。両親からの亀飼育許可は結構あっさりOKが出たため、すぐさま亀屋にメールを送った。
その後全く音沙汰無いため電話をかけ、1月4日の午前中に受け取りに行く約束をした。
当たり前に、何事も無く平穏無事でお正月休みを満喫する。
はずだった。
16時10分
家族でテレビを見ながら、唐揚げでもつまもうと思った時、家が揺れた。
最初、そんな事どうでもよかった。震度3ぐらいの地震なんて日本に住んでいればしょっちゅうだったから。
が、今回は違った。テレビのチャンネルが地震速報に切り替わって数秒後、尻もちをついた。
何が起こったか分からないくらい家が揺れた。
急いで玄関の扉を開けて、逃げた。
近所の人も飛び出してくる。
見た事ないくらい道路が盛り上がっていた。
しばらくして祖父母の安否確認の後、会社にシャブ無事の連絡を入れた。
人生で一番壮絶な元旦だった。
その夜はフル充電のスマホとリュックサックを枕元に置いて靴下を履いたまま寝た。
全く寝れなかった。
2024年1月2日 早朝5時
結局あまり眠れず、外をほっつき歩くことにした。
震度7というのは恐ろしい。町の景観を一瞬で変えてしまう。
しばらく進むと郵便局には頭から泥水に浸かった車が数台止まっていて、持ち主らしき男性が絶望していた。
天理教の施設は駐車場が1mくらい盛り上がっていて、絶えず水道水が漏れ出していた。
とんでもない事が起こったと落ち込んだが、
お隣の石川県ではここの100倍以上酷いことになっていた。
建物が倒壊して、民家がぺしゃんこに潰れていた。ビルが横倒しになっていた。
何百人も亡くなったとニュースで知った。
2024年1月4日
亀お受け取りの日になった。
亀屋は車で20分くらいの場所にあって、母と2人で取りに行った。
「うわーここ見て！ここが一番酷い！」
運転中、窓から見える景色は散々だった。道路数本挟んだだけなのに、シャブ家の周りよりさらに悲惨な家ばかりだった。
亀屋の付近は傾いた家もバキバキの道路もなかった。閑静な住宅街を進み、緊張しながらインターホンを鳴らす。
駐車場のようなスペースには水陸問わず色んな亀がいた。お目当てのケヅメリクガメは元気いっぱいに小松菜を食い散らかしていた。
「生まれて2年くらいの子亀です。大事にしてやってください。」
亀は熊本県からはるばるやってきたらしい。
書類にサインしたあと、少し店主と喋った。
どうやら郵便局の水没カーの中の1台がこの人の車らしい。切ない。
亀の買い方をレクチャーされ、作り置き用タッパーに詰められて渡された。
帰り際餌を買いにスーパーに寄った。
ふと見ると、亀は脱糞とおしっこをしていた。
家に着いてケージに入れると、数分は甲羅に引っ込んで、その後レタスを爆食いした。
んでふと思った。こいつ何年ぐらい生きるんだろうか？スマホで検索する。
は？飼育下50年！？野生下だと100年！？
嘘だろおい！？！？！
さらに生体の最終サイズが追い打ちをかける。
〝小柄なメスでも40kgぐらいにはなる〟
〝最大甲長さ80cm、体重100kg超えの子も〟
読んでて頭が痛くなった。アホなシャブはそんな事調べず購入したのだ。
さすがADHD。この時シャブは本気で自分のことが怖くなった。
衝動買い巨大亀こと〝卍(まんじ)〟は今も元気いっぱいに成長を続けている。
名前の由来は卍ポーズで寝るため。
たまにハー○ンクロイツになっているが。
名前こそつけたものの
母は〝かめ子〟父は〝亀吉〟妹は〝亀ちゃん〟
と家族皆好き勝手に呼んで可愛がっている。
最近のシャブは寝ながらうんこを漏らす亀にムカついて、〝寝うんちゃん〟というあだもプレゼントした。
230gだった体重は10ヶ月程で800gを超え、
今なお成長期。ぐんぐん大きくなっている。
亀を飼ってからミジンコ程だが責任感がうまれ、薬物接種量はかなり落ちた。終生こいつの面倒を見るには長生き必須だ。
オスかメスかは全く不明だが、どうだっていい。どうせでかくなるのだから。
最近は慣れた様子で部屋を物色し、シャブの足の上にわざわざ乗っかってくる。
今はいいが、ボンちゃんサイズでやられたら 、たまったもんじゃないため今すぐにでもやめさせたい。が、何故か日課になってしまった。
しゃーない。安全靴でも買うかね…。
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