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独日家庭の鍋から駒
日本の一般的なお家の日常の食事で、キャンドルライトともしてムーディに食べている人たちってあまりいませんよね?その理由にふと気がつきました。
まず、日本は家の照明が明るいのでキャンドルの光が映えない。
そして日本の場合は料理を取り分けることが多いので、キャンドルなんか食卓に立っていると普通に危険。
そんなことを思ったのは、鍋の準備をしている時でした。
鍋って楽しいし美味しいけど、ドイツ人を招待したらどう反応するんだろう?
まず、具材がテーブルにたくさん盛られているのは日本人的には心躍るけど、西洋人が思う豪華な食卓ではないよね?
じゃ、おにぎわしにキャンドルでも立ててみる?
・・・・どう考えても邪魔!かつ危ないだろ。
大体、おもてなし料理だと、スープなんかも鍋から陶器のスープポットにうつして食卓でスープ皿に盛ったりするもの。洗い物は増えるしスープも冷めるのに。
丁寧だなぁ。(棒読み)
それを踏まえると、食卓に鍋をおいちゃった上に、そこで調理するのって、西洋文化的にいえば、もうほぼキャンプ飯?
そんなことを子供達に言ったら、長女が私に「パパに聞いてみたら?」と。
「私もそうしようかと思ったけど、あの人もう染まっちゃって普通のドイツ人の感覚じゃないから。」
長女はそれで納得したけれど、めげずに次女が旦那さんにストレートに質問しました。
「ねえパパ、ドイツ人は鍋料理のことどう思うんだろう?」。
染まっている旦那さんは即答しない。
そこで私が沈黙をうめて、
「こちらにもフォンデュとかはあるけどね」
と子供達に意見を言ったのです。
すると、私がそれを言い終えた瞬間に旦那さんが
「フォンデュはあるよ!」と。
全員で沈黙に。
私は子供に日本語でしか話さず、旦那さんがいる場でもそれは崩しません。
うちの旦那さんの日本語レベルは、なんとなく知っている言葉を繋げて勘で理解する程度。
そんな彼は、私が日本語で子供達に言ったことを、すかさずそのままドイツ語で子供達に言う、ということをよくやるのです。
例えば、「今日は寒いよ」と私が子供達に言うと、ドイツ語でまた子供達に「今日は寒いよ」と言う。
子供達からはそこそこ不評。「2回言う必要ないじゃん」と。
私もそれにプラスの感情はないながらも、「こう見えて日本語わかってるんだからな!」というアピールなのかな?と思ってました。
しかし、このフォンデュ発言はあまりにも謎で、耐えきれず長女がツッコミました。
「それ今ママが言ったけど」
そしたら、それに対する返事がなんと
「気がつかなかった」
・・・・全員困惑。
私はここでワンテンポ遅れてあることを思い出し、楽しくなってきました。
それは、船場吉兆のささやき女将会見事件。
彼にとって私は、自分のために台詞を囁いてくれる女将なのかも?
まさかその「ささやき」が全員に丸聞こえだとは?てやつ。・・・いや、ささやいてませんがね。
いや、もしかしてもしかすると。
「誰!?私の頭の中に直接話しかけて来るのは!?これは、テレパシー!?」という、よくあるSF映画的なものだと思ってる?
いえ、頭の中に直接どころか、全員の鼓膜を震わせてお伝えしたんですが。旦那さんは不思議少年なのか?いや、不思議中年ね。
いやいやいや、もしかしてさらにもしかして。大ヒット映画、シックスセンス的な。
旦那さんはコール少年。私はマルコス医師。「僕は死者の声が見えるんだ」関係。
家族と食卓を囲んでいるつもりの私は、旦那さんにしか見えていない。
と旦那さんが思い込んでいる・・・・としたら、だいぶ重症であります。
なぜ私がニヤニヤするのが子供達が問い詰めてくるので、とりあえず「ささやき女将」について子供達にレクチャー。子供たちは当時の映像を探して「頭の中が真っ白になった息子」が想像よりも立派におじさんであることに驚愕したりして盛り上がったわけですが。
「ささやき女将」。いつか古事熟語の中に含まれるかもしれないと思うんですけど、どうでしょう。