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「実存主義」って気持ちラク〜
「絵本作家入門:心に響く/名作を生み出す思想哲学」を受講してみた
先日、美大の公開講座で 絵本の背景にある思想哲学を学んだのですが、その中の「実存主義」というのがすてきだったので備忘録として書きます。
なぜすてきだと思ったのかは、たぶん私がいま会社員として効率を求められて働いており隙間がなくて疲れているから、そしてその先に何があるのかわからなくなっているから。
これを知ったことで社会の中の自分である前に「じぶんの中のじぶん」という自分ファーストで良いのだと、思想から、絵から感じたからだと思います。
「実存主義」って
実存主義って「人は何か決められた役割(本質)のために生きているのではなく、まず生まれて(実在)、そこから自分を磨いていく」ということ。
その「まず生まれた(実在)」時に、親や周りから世話をされてぬくぬくしている時代があって(庇護されている)、その愛しまれた事実が自分の存在の土台になっているということ。
わたし自身、幼少期に ふくふく、すやすや、ちんまりと感じていたかは思い出せないけど、小さいもの(動物や昆虫)がでてくる絵本を見ていつもあたたかい気持ちになるのは、きっとわたしが生まれた事実がわたしにそれを感じさせてくれているのだろうな。
そして「人は死の恐怖から、何よりもまず自分の存在を気遣うもので、自分中心、わたしありき、主観、いまここ、を根底にするもの」だと。おぉ「主観」でいいのか・・・。
社会や会社の中の私、でなく、わたし自身がどう感じるのか、でいいのか・・・。ほっ。生まれて、今生きている、ということだけでもいいのかも・・・。
「住まうこと」
生まれたあと、社会に出ると、剥き出しの自分ではいられないため、自分を守る場所としての「住まい」も大切らしい。
「住まい」の解釈はもっと奥深いものがあるようだけど、自分が安心して素のままの自分でいられる場所があることが大切。
わたしはコロナ禍中にいえを購入したのですが、そこからようやく自分がずっと描いていた自分の空間を作ってきて(といっても高級なものではないが)、ずっと「自分には手が届かないもの」と我慢していた住まいを自分で整えられたのは必然の流れだったのかもしれない。
構造主義
私は 若い時には色々な経験をしてみたくて、早く動く、軽やかでいることを大切に生活していたのですが、これら「流動的、ノマド、軽やか」は「さすらい」の要素で、「構造主義」の要素でもあるという。
さらに「構造主義」は自分中心でなく、「全体中心、構造の一部、効率性重視、デジタル、大量コピー可能で再現性が高い、均質的、合理的」の要素があり、私の若い頃(そして今の一部)は構造主義が大半を占めていたなと振り返る・・・。
「要素」という言葉自体、構造を因数分解したものですね。ちょっと笑い。
どっちの主義でも最終はクリエイティブであること
実存主義も構造主義も、最終はクリエイティブであることを目指しているそう。クリエイティブとは何か大それたことでなくてもよく、日々の生活で工夫したり楽しんでみることもクリエイティブなことになる。
この数ヶ月、わたしは三食自炊をしていて、野菜をトントン切る、コトコト煮る、ジューっと焼く、フライパンをカンカン振る、じわじわ待つ、ジャーっと流す、セロリの筋をスーッと取る、熟れたトマトをギュルっと掴むなどなど、いままでにない触感?を感触?日々扱っている。どうすれば食材を余らせないか、次の買い出しまで凌げるかを大袈裟でなく慎重すぎることもなく考えながら過ごしている。
構造主義について、手元にある仕事で使うためのフレームワーク集のイントロダクションを見てみたところ、「フレームワークを使いこなし最短で本質に到達」、「チャートを使いこなしデータの見える化」、「ITを使いこなしアウトプット効率の最大化」がポイントで、その先に「クリエイティブ(創造性の高い仕事を楽しむ自分」、「リッチ(レベルの高い成果を生み出し報酬UP)」、「豊かな人生(家族と健康、自分らしい暮らし)」がある、と書いてある。
やはりどちらの主義もゴールは一緒。ただ生きているうちにその過程に巻き込まれ、一つの方法しか見えなくなってしまいがち。構造主義のゴールが「豊かな人生」っていうのは遅すぎる・・・。生きてる過程が豊かでないとね。わたしの場合、フレームワークを使いこなそうと頑張っている間に時間が経ってしまう・・・。
いろんな過程があって、じぶんはどの過程がやりやすいか、気持ちがよく過ごせるかをたまに考えてみるといいかもと思いました。
わたしの好きな本、これから読みたい本
わたしが小さい時に読んでいた絵本。寝つけなくて天井を見たら割れ目があってそこに蜘蛛がいて気になってしまったり、椅子にかかった毛布が怪獣に見えたり、眠れないから台所に行ったらお母さんとお父さんがミルクをくれてそれを飲んでいつの間にか眠っていた、、なんともない、いつもあるような、でも暖かいお話です。
今回の講座で紹介され、すぐに買った本。霧の中に馬がいて、馬より小さなハリネズミが「馬が霧の中で溺れたらどうしよう」と思ったり、友達の子グマに会いに好物の野苺のハチミツ煮を袋に入れていくシーンや、途中で不思議なものに襲われるシーンなど、小さなもの、可愛いものへのいじらしい想いが溢れてしまいました。
これもわたしが小さい時に読んだ本。内容はもう覚えていないのですが、読んでいて音(韻)が楽しかったのと、わたしも子豚と一緒ににんじんを作っている感覚があった気がする・・・。「ぱぴぷぺぽ」っていう音、可愛いし、鍬で土を掘り起こすようなリズムがある。
かこさとしさんの『からすのパンやさん』も楽しかった。これも内容を覚えいていないのに楽しかった記憶。
今回の講座でも紹介されていましたが、文化人類学者の辻信一氏がその著書『ナマケモノ教授のムダのてつがく』で「愛とは時間をムダにすること」と触れいていた。役割でもなく、報酬でもなく、ただ好き、愛しいから時間をかけること。
献辞の「おとなは、だれも、はじめは子どもだった」に涙。
今回の講座の講師、金澤麻由子先生のご著書。小さきもの、か弱きものへのまなざしや、作品づくりの思想(軸)の大切さを今回教わりました。