はるは、はなばたけ、はばたけアンサーソング
それは2017年の春のこと、視界に突如として植物が降臨した。
野草、特に1cmに満たないような小さな花をつけるもの。
お犬と、かがみ込んで野草の写真を撮っているおばちゃんがいたら、あたたかく見守ってあげませうね。
本日のお散歩から。ピンクコーナー、ホトケノザ絶好調。ヒメオドリコソウとカラスノエンドウ、小さくて色が薄いのはスズメノエンドウ。アメリカフウロ少し。ヒメツルソバ。
青コーナー、この近辺では不思議とオオイヌノフグリが少ない。紫がかったツタバウンラン始まりました。
推しはキュウリグサです。揉んだらキュウリの匂いがするというけど、微妙。
キュウリグサ
白は、ハコベから始まる。梅より桜より、わたしにはハコベが春の使者。ナズナ(ぺんぺん草)、タネツケバナ、オランダミミナグサ、ヤエムグラ。
ちらちらとツメクサ(シロツメクサとは別物)。歩道の隙間なんぞで、這うようにびっちり茂る。皆さんぐいぐい踏んでいると思います、毎日。
黄の一推しは、もうちょっと後で咲くコメツブツメクサ。公園なんかで、広いスペースに咲き乱れるとすごいよ。イメージとしてはツツジの頃に満開です。
タイトル画像で、つくしの隣にいるのはオニタビラコ。これで直径1cmくらい。
黄色:コメツブツメクサ 白:ナズナ 青:タチイヌノフグリ 昨年4月中旬
珍しいものではないので、都会でもそこらじゅうで見つかると思います。
ところが。ある日忽然と消失する。
わかっておりますよ、刈って整備するのがお仕事ですもんね。
楽園だったんだけどなあ。
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あれは中学生の頃。
学級対抗合唱コンクールってありました。誰が伴奏する? クラスにピアノの弾ける女子、わたしを含めて3人。
「穂音ちゃんが、一番歌ヘタだから、ピアノしてよ」
あんたらな。
そういう時は、一番ピアノ上手だから弾いてよとか、言わんかい。
と思えるのは、いまのわたしなのであって。
瞬間凍結されたわたしは、黙ってピアノを弾いた。
曲の盛り上がりは音を大きくね。フォルテシモ。譜面に書いてあります。
ちょっと、ピアノうるさすぎて声が聞こえんわあ。
何言っとんじゃボケ、40人かかってきて、1人のピアノに負けるんかおどれらは。
と思えるのは、いまのわたしなのであって。
そっとわたしは、弱音ペダルを踏んだ。
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仕事で、頻回に講演をしていたある日、事件が起きた。
「いやあ、穂音さんの講演は良いなあ。なんと言っても、声がいい。とっても癒しボイスです」
今、なんて言いました? びっくり1回目。
昔から声が小さい。
え? ってしょっちゅう聞き返される。
お店で「すいませーん」と言っても、気づいてもらえない。
2曲くらい歌うと、すぐにかすれて出なくなる。
だからあの時、一番ヘタだって言われたじゃない。
歌が好きなんです習いたいです、でもとってもヘタなんです。
そう言ったとき、叱られた。
先生に叱られたのは、いまのところ、その一回だけ。
自分でヘタだなんて言わないの!!
地声と裏声があってね。地声は声帯が閉じる方向、裏声は開く方向。
穂音さんの発声は全部裏声なのね。空気がシューシュー漏れていくの。
日常喋っている声も、全部裏声みたいだね。
ははあ。
謎が解けましたな。小さくて通らなくて、すぐに息が不安定になってブレて、かすれて。
しょっちゅう大きな声を出すお仕事の方だと、地声が鍛えられてきてよく通るんだけど。男の子の兄弟育ててる人とかも、毎日シャウトしてるからすごいのよ。でも、全部地声で歌っちゃって、裏声へ抜かせたり、囁くように歌ったり、できないって悩むのよ。
そういう人からしたら、穂音さんのような声が出したいわけね。
びっくり2回目。
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なにごとも、色んな見方があって、味方があって。
雨が降ってがっかりする日もあれば、落ち着くなあ、っていう日もあって。
雑草は花畑で、花畑は雑草で。
ああ、いいんじゃない、それで。
なんて、思えるようになったお年頃、わたしは歌うのです。
いつも素敵なうわの空さん。出逢えて、嬉しいです。
An answer song for you.