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淡麗でも、ぶっとんでる
みなさまごめんくださいまし。
先日、「長夜の長兵衛」を完走いたしました。詳細はこちらに記したのですが、あとがき、のようなつもりで気合いを入れすぎてカッチコッチの固い記事になっております。
あらためまして、長らくご愛読いただきましてありがとうございました。
皆さまのスキとかコメントなしに、ここまでくることは出来ませんでした。これは掛け値なしの本音です。読んでいただけるって、本当に有難いことですのね、you gave me a lot of energy!
この一年、七十二候を駆け抜ける中で、奇跡のようなコラボレーションの機会をいただきました。
お一人目、橘鶫さんです。
長夜の長兵衛は一作読み切り、が基本ですが、唯一の(上)(下)にまたがった作品となりました。いただいた二枚の絵、切り離して考えることができなかったのです。
鶫さんは先だって、画集を上梓されました。手にされた方も多いことと思います。そして、絵だけではなく、物語を紡ぐ方でもあります。
超大作「物語の欠片」。その世界は、長兵衛の世界と物凄く親和性が高いのです。でも主人公たちが直接出会ったり、言葉を交わしたりすることはあり得ません。鶫さんの物語と、私の物語は、異なる次元違う時空で流れていくものだからです。それでも脈々と、感じます、近くにいるぞ、と。
「長兵衛」「金兵衛」に相応しい鳥を、とお願いしたのでした。鶫さんは長兵衛に「モモアカノスリ(ハリスホーク)」、金兵衛に「オオワシ」をイメージしてくださったのです。
これしかないよね、という二枚。
七十二候の中からこの二候を選んで物語を書きました。長兵衛の目に、鶫さんの世界と交叉した一瞬が映ったのはスリリングな出来事でした。
さて、「鷹乃学習」のときは、この候ありきで、お願いをいたしました。
いただいたのは「クマタカ」。
わたくし長兵衛世界の登場人物を全部猛禽類にしてみました。これは自分のメモにしかありません(秘)。サイズとか性質とか好物とか、調べてみた。
お前、銅十郎やな。
そう思って、鶫さんにお伝えしたら、「誰になるかなあと思ってました。銀兵衛さんじゃないなあって」と。
ですよねですよね。そのイメージを共有できていることが嬉しい。
お二人目、KaoRu IsjDhaさんです。
KaoRuさんも絵、小説共にたしなまれるお方です。
「その名はカフカ」本も出されています。カフカ=ニシコクマルカラス。ここ重要。
KaoRuさんは色々なタイプの絵を描かれます。水墨まで使われるのです。
一月でしたが、私が伊藤若冲の本墨画を見に行った日に、KaoRuさんの「墨で鳥」の記事が出たのはもう運命としか言いようがなかった。この中で、拙作「ミズ・ミステリオーザ」に登場するカラスを描いてくださっていたのです。
四月にももう一度。
私は私で、源兵衛なら墨絵を嗜むだろうと、作中で菖蒲を描かせたのです。
そしたらKaoRuさんたら、菖蒲を描いてくれちゃってもう、頭がおかしくなりそうでした(喜)。
まだ続くんです。
先ほど、鶫さんのクマタカ、ありましたね?
即、出ましたKaoRuさんのクマタカ花鳥画。カラスの画もあったのよ。それから、長兵衛と和尚さんがみている襖絵も、あったの。
もう、一人でバンザイ三唱です。
お願いをいたしましたら、なんと二つも描いてくださると言うではありませんか。
鶺鴒がとても若々しく、瑞々しいのですが、その感性を誰に求めましょうか。脇役として、ちょこちょこ顔を出す、名前のない「婆さま」。
そして最終回に「紅葉とニシコクマルカラス」。
先にでたカラスは「ハシボソガラス」です。「ハシブト」「ハシボソ」は日本でもお馴染みのカラスですが、ニシコクマルカラスは日本にいません。
いいんですか? とKaoRuさん。
いいんですよ。だってね。
お話の舞台がいつで、どこにあるのか、作中で具体的に明かしたことはない。ついでに言うなら、長兵衛が人間であると書いたこともない。
ここで、実は鶫さんの世界と再び交わるのですが。
先のコラボ作品の中で、金兵衛さんのところに大鴉様がやってきます。
金兵衛の頭上すれすれを、一等強い風がかすめてゆく。
大鴉様が来なすった。
金兵衛は左の手を高く高く差し出す。
実は、鶫さんの「物語の欠片」でも、重要な登場人物であるエンジュにはヤナギという名のカラスの相棒がいます。
カラスはどうも悪魔や魔女の手先だったり、悪役だったり卑怯だったり、よくてもダークヒーローだったり、といった扱われ方をすることが多いのですけれど。
私はお犬と散歩しながら、カラスたちが実に豊かな会話をしていると思いはじめ、この鳥のことが好きになりました。
だから鶫さんの世界でカラスが大事にされていることが、とても嬉しくて。
先の「ミズ・ミステリオーザ」では賢くて頼りになる存在として、長兵衛世界では師匠である金兵衛を、さらに導く立場としてカラスを登場させました。実は二十四節気の折にも。
あの書き付けは流そうと大鴉様が思われたのだから、これで良い。お社様へお納めして言霊を鎮めてもらうよ、と金兵衛は言った。
カラスが最終回の墨絵に〜(歓喜)。
白い。
はじめて見る鴉であった。漆黒でないだけで白いと思うてしまうものだ、と金兵衛はあの日に思いを馳せる。
出逢うたか、長兵衛。
金兵衛のところにおいでになる大鴉さまより、ひとまわり、いやふたまわりは小さい。
はい。見つけていただきました。
鶫さん、KaoRuさん、誠にありがとうございました。ありがとう、だけでは伝えきれないくらい、感謝しております。びっくりするような、インスピレーションが飛び交う感じ。もっとはっきりと、誤解を恐れずに言うならお二人とのコラボは、どこか狂気の応酬のようなところがありました。そのことは、ひどく私を喜ばせました。
この頃、創作って狂気かもと思ったりなどしています。
変なコトモノが出てくるとか辻褄合わないとか、才能がどうとか、そういうことではない。
淡麗でも、ぶっとんでる。
このお話は、また改めて書きたいと思います。
二十四節気と七十二候を二年かけて巡りながら、この世界とか物語の全貌が浮かんできたのでした。
一つの通した物語になるように、これからまた推敲して改稿していきたいと思っています。
どうも、プロットが立てられないと時間がかかるよ、という見本のような、私であります。
でもほら、二十四節気を始める前に書いていたのが4話あって。
4+24+72=100
おめでとう私。
そして
ありがとうみなさま!!
追伸
こちらの小説サイトでも公開していますが、時々、たくさん読んで「いいね」してくださる方のおかげで、総合ランキングで10位までに入ることがあります。
ひそかに、noteの読者さまではないか、と思っております。ね、きっと貴方様ですよね。
本当にありがとうございます!
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