僕を成仏させてくれてありがとうSEED FREEDOM
〇前置きの前置き
初日最速で見てきたのにこんなに経っちゃった……
4回目見ました
〇前置き
「機動戦士ガンダムSEED」シリーズの劇場版、「機動戦士ガンダムSEED FREEDOM」(以下、FREEDOM)。
2002年の「機動戦士ガンダムSEED」(以下、SEED)2004年の「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」(以下、DESTINY)の正式続編である今作が2024年1月26日に公開されました。
以下、公式サイトより抜粋。
筆者はSEED放送当時小学校低学年でした。
前番組のウルトラマンコスモスからシフトする形で見始めた初めての「ガンダム」。
当時何も知らない子供だった私はただただ純粋に「かっこいいロボット」のアニメとして熱中して見ていました。
「21世紀のファーストガンダム」を掲げたSEEDの評判は凄まじく、作品自体の評判は後年知りましたが、
実際私の周囲では、その後特にガンダムを見るようなタイプではなかった同級生ですら見ていたほど大きな作品でした。
そんな作品が約20年の時を経て劇場版としてスクリーンに蘇る。
夢中になった幼少期、他のガンダムファンから蔑まれてきた青春時代、大人になり、見返し、作品のメッセージの読み取り方や見え方も変わり、
それでもSEEDシリーズが好きだと思い続けてきました。
もちろん最速公開を予約し、妻と共に赴いた映画館。
何が出てもすべて受け止めよう。
仮に、もし仮に面白くなかったとしても、それでも……。
以下、ネタバレを含みます。
〇感想羅列
公開直後ははっきり言って言いたいことがありすぎて言葉がまとまりませんでした。
だって……
・フリーダム強奪事件てなんだよ!(あれを強奪されるの、怖すぎる)(さらっと流すな流すな!)
・アークエンジェル……嘘だろ……(そんなあっさり沈まないでくれよ!)(不沈艦じゃなかったのか大天使)
・アスランがズゴックに乗ってくる(しかも強い)(しかも中身はジャスティス)(イオリ・セイはこれ見てビルドバーニング仕込んだんか?)(さすがに観客笑ってた)(ここからなんか様子がおかしくなった)
・本音をこぼしてウジウジするキラをぶん殴るアスラン(これがテレビ版のときにできていたらどんなに楽だったか……)(アスランお前……頼りになりすぎだろ)(突然殴られるシン)
・シンは大活躍する(お前がジャスティス乗るんかい!)(アスランに敵意むき出しの子犬)(おいあの分身なんだよ)(おいあの特級過呪怨霊ステラはなんだよ)(お前そんなに可愛い奴だったんだな……)(レクイエム、壊せてよかったな……)(いまだかつてこんなにデスティニーがカッコ良く見えたことないぜ……)
・イザークとディアッカは突然核動力のデュエルとバスターに乗る(パンフ見たらデュエルブリッツって書いてあって胸に来た)(お前ニコル死んだことかなり気にかけてたもんな)(死者を忘れないためにも繰り返してはいけないとかお前が一番まっとうなこと言ってるよイザーク)(お前がシリアス最後の砦や)(それはそれとしてその二機返還したんじゃねーの)
・アカツキがメガ・バズーカ・ランチャー撃つ(テレビ版の忘れ物①)(金ぴかの機体つったらメガバズやろ精神)(ついでにレクイエム跳ね返すの無法すぎる)
・ストフリ突然のハイメガキャノン(テレビ版の忘れ物②)(いや確かにZ拾うならZZも拾わなきゃだけどさ)(真面目か?)(というかその武装何……怖……)(スターゲイザー?)
・ラスボス含めて後半クロスアンジュ成分高くない?(エンブリオのほうが格は高かったけど)(イングリット、サリアかお前は)(クロスアンジュ再履修、無駄じゃなかった)
・嘘だろ二時間でなんでこんなに纏まってんのこのアニメ
・あの偽ルルーシュと昼行灯艦長、いいキャラすぎる
・希望を見せてくれてありがとう……
これ徹夜明けで速攻で纏めるのは無理でした。
二回目見てからでようやくここから言いたいことを引き出せそうだったので今こうして書いています。(なおすでに四回)
感情の波については先に動画を作ったのでよろしければそちらもどうぞ。
ここからとりあえず整理した感想タイム
①希望を見せてくれてありがとう
SEEDを見たことある人であれば全員同意いただけると思いますがあの世界は根本的に詰んでいます。
「核は持っててうれしいコレクションじゃない」とかのセリフにあるようにすーぐ大量破壊兵器が飛び交う地獄のような世界です。
バットエンド一直線。
でも、今回の映画で公式から「いや?この世界だってハッピーエンド、いけるよ」って提示されたと思うんです。
終盤の謎兵器フリーダムやお色気戦法アスラン、影分身デスティニーや謎のステラなどはっきり言って悪ノリ、ともすればこれまでのSEEDと比べふざけすぎているようにも感じられます。
どちらかというとクロスアンジュのノリだなと。
実際これが合わない人は結構いると思うし、僕も影分身はともかく怨霊ステラとお色気アスランはちょっと引っかかる部分はありました。
でも、逆に僕はそれが救いだなと思えたんです。
いつまでも陰鬱じゃないよ、彼らだってやろうと思えばここまで振り切れるんだよ、と。
クロスアンジュをご覧になった方はわかると思いますが、今回はあの作品ばりにノリと勢いで突っ走って強引にハッピーエンドに持っていってます。
ともすればそれはSEEDに必要なことでした
振り返れば、クルーゼに「それでも守りたい世界がある」(意訳:うるせえ、こっちはこっちでやりたいことがあるんだ)って言っていたあたりその片鱗はあったんだと思います。
ただキャラがみんな真面目だから振り切れなくて悩んでしまって、それでどんどん負のスパイラルに陥って……。
ある意味今回はそれを再整理して、そのうえでハッピーエンドに持っていくパワーを見せつけてくれました。
本当にありがとう……。
ちなみに20年前にこれが出ていたら僕も多分キレていたと思いますよ。
受け入れられたのはその20年で様々なコンテンツを見てきて、SEEDそのものに対しても良いところ悪いところを認識してそのすべてを笑えるようになったからと、前述のようにクロスアンジュを見たからです。
そういう意味ではこの20年は必要な時間でもあったのかもしれませんね。
②キラがやっと解放された
これ、前項と被る部分はあるんですが、今回はようやくキラが人を頼ったのもポイント高かったですよ。
前述の通りCE世界って詰んでいて、そんな世界を背負おうとするキラはお労しいとかのレベルじゃないんですよ。
もう世界の悪意に押しつぶされてそれこそ今回の映画で闇落ちするか死ぬかだと思っていたし。
クルーゼに好き勝手言われて、その時に知った自分の出生を抱えながら議長のプランを否定して戦うことを決めたキラはもう「こうなったからには全て背負わなきゃ」ってなってたんでしょうね。
冒頭の「優しいのです彼は」のラクスのセリフの通り。
ふせったーで書きましたが僕は映画見るまで「キラはシンに撃墜されたとき死んでたほうが幸せだった」と思ってました。
でも、今回でようやく「生きていてよかった」と思えたし、キラ自身もそう思えたんじゃないかなと。
シンが「もっと頼ってほしいんだよね」って前半で言ったときに僕は「あ、これ明るいルートあるかも」と思いました。
多分キラが周りに頼れるようになる話かなって。
その通りになって本当によかった。
キラは今回アスランに殴られました。
あれは他ならぬアスランが殴ってくれたことに意味があります。
「だって君たちが弱いから」
すごく傲慢なセリフですけど、過去の出来事を振り返ればキラはそう言える立場にあるし、何よりマリューさんやシン、なんならラクスですらこれを否定できないと思うんです。
だって実際にキラに動いてもらって助けてもらったりしてきたから。
でもアスランは、(時々フラフラしてたけど)いつも最後は隣で戦ってたんですよ。
技量面はなんなら本気のアスランにはキラは負けてるわけじゃないですかSEEDのときに。
親友であり、力量はともすればキラと同等以上のアスランが「一人で抱え込んでないで頼れ馬鹿野郎!」って殴りつけるの、すごくいいシーンだなって。
そして、他者に頼ることを覚えたことで、ラクスを守るべき少女ではなく、共に戦うパートナーとして受け入れることができたキラ。
最後のオルフェとの戦いは「パートナー(イングリット)を後ろに置いて見向きもしないオルフェ」と「パートナー(ラクス)と並ぶキラ」で綺麗に対比になってましたね。
③クルーゼとデュランダル議長への再度のアンサー
FREEDOMはDESTINYの続編なのも相まって議長の「争いはなくならないよ」に「覚悟はある、僕は戦う」と返した呪縛が比重高めでした。
今回、ちゃんとそこへのアンサーにはなっていたとは思いますが個人的にはクルーゼへの20年越しのアンサーじゃないかと思うんです。
ラクスは「人は必要から産まれるのではなく、愛から産まれる」と言い切りました。
そしてキラは愛を自覚し、頼ることを覚えたことで明確に前を向いて戦えるようになりました。(ラクスの愛が武器だとまで言い切りました)
SEEDの最後までクルーゼは自分を産み出した世界を憎んでいましたし、世界の歪みの象徴とも言えるスーパーコーディネーターのキラにいかに世界が壊れているかを突き付けてましたが、でもクルーゼってラクスの歌は好きだったって言ってるんですよね。
そして世界は君の歌ほど優しくないと。
多分クルーゼもほんとは世界に何かを期待をしたかったんですけどその出自ゆえに出来なかったキャラだと思っています。
それこそ愛を知らないしわからない。
だからこそ世界を憎むしかないし、人の業で世界は滅ぶと言う。
SEEDでキラがクルーゼにぶつけた「それでも守りたい世界がある」はあのときのキラが絞り出した精いっぱいの抵抗だったし、あのときのキラを想えばそれが本心かつ限界の答えだったんでしょう。
友人との別離、死闘、無意識の偏見や差別、愛した少女の死亡等々が起きるこの世界であっても、でも自分にはまだ友達も家族も愛する人もいるこの世界を守りたいという当時16歳の少年の叫びですね。
クルーゼへの一応のアンサーではあったと思いますが、今回そこから更に一歩踏み込んだな、と思いました。
「人の業」ばかりじゃない、世界に「愛」がある。
ともすれば、クルーゼだって今ではない何処かで誰かが愛してくれたかもしれない。
そういう答えだったと思います。
だからこそSEED最終回を彷彿とさせるようにマイティストライクフリーダムは輝くし、愛を知り人を頼れるようになったフリーダムは五体満足で帰還している。
「それでも守りたい世界があるんだ」は本当に絞り出したような答えでしたけど、「僕は自分の手で未来を選ぶ」は胸を張って堂々とキラが宣言したような、そんな印象のセリフでした。
④なんでこの尺で収まった
映画の上映時間は2時間6分。ED等々を加味しても2時間。
正直2時間の枠に収まる内容じゃないのに意外と綺麗に収まってるんですよね。
不思議すぎる。
いやほんとに。
〇まとめ
随分と期間を置いた割に書きたいことが結局まとまりきってないような印象ですが、いったんこれで……とりあえず今週末のイベントとあと4DXも見に行かなきゃ……。
とにもかくにも、SEEDで育ち、ネット文化に触れてSEEDたたきにショックを受け、レスバしていた青春時代の僕は成仏しました。
ありがとうガンダムSEED。